けいけんしよう!(たのしむんだよ)
『ただいま』
『お帰りなさい。しゅん、どうしたの?』
『うん…』
『何?いいよ。話してみて』
今日、ぼくは悔しかった。
体育の時間、マラソンをした。
ぼくは、走る事が好きなんだ。
3年生になって、少しお兄ちゃんになって。
だから、誰にも負けたくなくて、頑張って走ったんだ。
でも、3位だった。
1位でも、2位でもなくて、3位。
それでも、みんなは『すごいね!』って言ってくれた。
でも、ぼくは悔しかった。
もっと、頑張らないと!!
まだまだ頑張らないと!って思ったんだ。
でも、そう思えば思うほど、なんだか胸がギューって苦しくて。
そうお母さんに話した。
『そう、悔しかったんだね。』
『でもね、しゅんは、とってもいい経験できてるんだよ。』
『え?』
『だって、3位の気持ちを知ったじゃない?』
『3位は3位の経験。悔しいって経験。2位は2位の楽しさ。1位は1位の嬉しさ。順番に経験したらいいんだよ。』
『経験?悔しいとか、楽しいとか、嬉しいとか?』
『そう。もっと頑張らないと!って苦しい気持ちにならなくてもいいの。経験を大事にするの。全部、新しい気持ちが生まれるから。それぞれの、気持ちが分かるようになるからね』
『そっか、ぼくは3位になって、3位の気持ちを経験できたんだね。もっともっとって頑張る気持ちじゃなくて、次はどんな気持ちを経験しようかって楽しめばいいの?』
『そうだね、なんで?なんでできないの?って思うと苦しくなるでしょ?じゃ、次どんな風にしよっかな?って新しく考えるようにすると気持ちも苦しくないからね』
『うん!』
ぼくは、なんだかいい気持ちになった。
あんなに胸がギューってなってたのに。
ぼくは、3位の経験ができたんだ、気持ちを知ったんだ!
よーし、次はどんな新しい経験しようかな!
おしまい
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