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共同親権の導入が決定!親権と監護権について。
みなさん、こんにちは。
行政書士の黒澤正人です。先日、国会にて改正民法が成立され、離婚後も両親が互いに親権を持ち続けることになるいわゆる「共同親権」が今後2年以内に施行されることが決定しました。
共同親権については後日説明することにして、本日は親権と監護権の違いについてお伝えいたします。
法律用語には似通った言葉が多く存在し、時に人の理解を妨げることがありますね。今回ご説明する2つの権利も、親権に比べて監護権という言葉は聞きなれないかもしれません。
また、夫婦が離婚する際も「親権はどちらが持つか」という議論に終始しがちですが、実は親権と監護権は分けて設定することが可能です。本日はその点について、双方の権利の理解を深めていただければ幸いです。
親権とは何か?
親権とは、「財産管理権」と「身上監護権」に分けられます。一般的に言う親権とは、これら2つの権利を合わせたもののことです。
なんとなく親権というものの理解としては、保護者がその子の法的な代表者として機能し、子どもの法的、社会的、教育的利益を守る権利と義務というところでしょうか。さらに、住所地の決定や医療や教育に関する決定権、さらには子どもの名前や国籍の変更などの決定も含まれます。
また、親権者は子どもの財産を管理し、必要に応じてその財産を用いることができる権限を持ちます。未成年者が行った契約を、保護者は取り消すことができますので、財産管理という点で子どもを守ることが可能です。
権利であると同時に義務でもありますので、適切に行使されないと刑罰が科されます。
監護権とは何か?
監護権は、子どもの日常生活を管理する権利と義務を指します。これには、子どもの食事、睡眠、衛生管理から、日常の安全確保、感情のケアまでが含まれます。
また、居所指定権を有しますので監護権者は、子どもが健やかに成長するための日々の環境を整える責任を負います。
さらに、将来子どもがアルバイトをする際などに許可を与えることができます。
親権と監護権を分離できる
協議離婚に際し、親権に関して当事者の合意を交わす場合には、親権と監護権を分けて夫婦それぞれが持つようにすることが法律上認められています。つまり、親権は監護権と分けることができるのです。
たとえば、親権は夫が持ち監護権は妻が持つと定めることができます。これによって、子どもの法律上の代理人となるのは夫となりますが、実際に子どもを手元に置いて育てる(監護する)のは妻となります。
親権と監護権を明確に分けることで、協議離婚が成立しやすくなることもあるでしょう。離婚時にもめることで時間がかかり、子どもに負担がかかることを防ぐこともできるでしょう。
注意点
親権者と監護権者を分けた場合、子どもを実際に育てるのは監護権者となります。そのため、いくら親権者であったとしても無理やり子どもを引き取ることや、相手に会わせなくするということは法律違反となります。
監護権は小さいお子様では特に母親に認められることが多い権利です。離婚に際して母親の住環境やこれまでの監護状況(どちらが実際に世話をしているか)を審査されます。
また、一度監護権者が決定されたとしても、その後の状況の変化に応じて変更を申し立てることが可能です。
まとめ
親権と監護権を正しく理解しておくことは、子どもの健全な成長と法的保護の両方を確実にするために必要です。自分の子をどのようにしたいのか、それぞれ夫婦の考えもあるでしょう。正しく知ることで離婚手続きをスムーズに進めることができるかもしれません。
とはいえ、具体的な状況に応じて不明点もあるでしょう。その場合は、ぜひ専門家にご相談ください。
身近な相談から複雑な手続きまで、お問合せはくろさわ行政書士法務事務所まで。いつでもお待ちしております。