やっと2回目に至ったのに
もう結婚相談所を辞めようと思ってた頃、自社会員の人から申し込みをもらい、お見合いをした。
お見合いで対面した彼は、総合的にとてもまともな人で、
「もしかして相談所が引き止め工作として送り込んだサクラでは…?」とすら穿った。(そんなわけはないのだが)
お酒好きという共通点もあり、帰り際に、次は食事でもと誘ってもらい、お見合いの翌週末、食事(というか飲み)をすることになった。
お店も向こうがスピーディーに探してくれ、お見合いの2日後には2回目のための全ての手筈が整った。
お、これはもしかして縁のある人とはスムーズに進むというやつ…?
2回目に進んだところで、上手くいかない可能性の方が遥かに高いのは頭では重々分かっていたけど、若干の期待を持たなくはなかった。
相談所で同じ人と2回目に会うのは、約1年ぶり。
多分彼は、カウントが間違っていなければお見合いした22人目。
前回複数回会ったのは一番最初にお見合いした人だったから、21人ぶりの2回目…
計算するのもはばかられるくらい、とんでもない低打率。
よくこんなんで相談所続けてきたな自分…と改めて思う。
これに賭けることなんて全然出来ないよなと思いつつ、彼と再び会う前の1週間、私の生活には若干のワクワクというかハリが出た。
そして当日。
その日は昼間ものすごい猛暑だったけど、夕方から雷雨になった。
雨が激しすぎて家から出られない。
少し止んだので家を出たが、待ち合わせのお店の最寄り駅についたら、またとんでもない豪雨で、駅の出口付近には雨宿りしている人がたくさんいた。
げ…この中を行くのか…
でも行かないと待ち合わせ時間に遅れるし、相手からも特に雨のため遅れるという連絡は来ていない。
仕方なく豪雨の中に突撃してお店に向かったけど、これまでの人生で一番というくらい激しい雨で、傘を差してはいても全身ずぶ濡れになった。
髪型も化粧も家を出てくる前に念入りに整えたけど、意味なかった。
…これは…今日はあまり上手く行かないかもしれないな…
なんとなくそう思った。
待ち合わせ場所で会った相手は、前回よりもちょっとかっこよく見えた。
3歳上だけど、比較的若々しい雰囲気で、背もそこそこあり、体型もシュッとしている。
服装もシンプルな感じでおかしくない。
相談所におけるかなりのレアキャラと会えたなーと思う一方、よく知らない人との食事というの自体があまりにも久しぶりで緊張する。
お見合いよりもある意味緊張するな…と考えながら着席。
スカートが濡れているので、席に座るともう不快指数マックスだった。あぁ…
靴が浸水しているだけならまだどうにかなるが、スカートはきついな…と思いつつ、ここは頑張らねばと気を取り直して彼と会話を始める。
…が。
なんか盛り上がらない。
1回目の方が話弾んだな。これがよく聞く2回目の方が話す内容がないっていう現象か。
沈黙が気まずい。何か話さないと…と焦るけど、うまく出てこない。雰囲気がマックス硬い。多分向こうも焦ってそう。
まぁ、初対面に近い状態で二人っきりで向き合ってるのだから仕方ないよね…
お酒が入ればどうにかなるよね…
しかし。
お酒を飲んでも、気まずさが消えない。
そして、なんか話しにくい。
こちらの話を聞いてくれてはいるし、相槌も打ってくれてるのだけど、なんとなく人工的な雰囲気に見えてしまう。ロボットの相槌っていうか…
あと、細かいことなんだろうけど、ここでその話題…?みたいなことが気になってしまった。
別に特別変なことを言っているわけではないんだけど…
この場でこの関係性で話すにはちょっとそれどうでも良すぎないか?とか、それここでわざわざ言う?とか、あれちょっと価値観違うかな?みたいなことを話されて、反応にやや困る場面がちょいちょいあった。
大いに気にするほどのことでもないんだろうけど、なんとなく引っかかってしまった。
沈黙回避すべく、頑張って話してくれてたのかもしれないから、感謝しないといけないんだろうけど…
なんだこの違和感は。
良い人なのは間違いないんだろうけど、ちょっと苦手かも…
服がずぶ濡れなのも相まって、途中トイレに行って一人になった時、疲れたという感想しか出てこなかった。
まだ2回目なので緊張感があるのは当然なんだけど、あんまり良い意味での緊張感ではない気がした。
もしかしたら私にとって、楽しく飲むのは少し難しい相手なのかなと思った。
週末だったので2時間きっかりでお店の人に追い出され、退店。
そのまま駅に向かった。
相手も微妙だった…と思ってるかもなーと思いつつ、今日の礼を述べると、
「また近々、美味しいお店見つけて行きましょう」と言われた。
1回目に会った帰り際に食事行きましょうと言われた時は「ぜひぜひー!」と答えたけど、今回はとりあえず笑顔を作り軽く頷くことしかできなかった。
彼からは別れてすぐに、またお会いしたいです!いつがご都合良いですか?というメッセージが来ていたけど、返すことができなかった。
うーん。
帰り道、モヤモヤ感と、不完全燃焼感を引きずり、真っ直ぐ帰宅する気になれず、最近見つけた地元の飲み屋に行き、店主と他のお客さんに、話の流れで、
「実はさっきあまり親しくない人と飲んできたんですが、微妙で…ええ、そうです、婚活的なやつです…」みたいな話をしてしまった。
今考えるとそんなことほぼ見知らぬ人に言わなくても良かった気がするが、誰かに喋りたかった。お酒も入ってたし。
結局そこに3時間くらい滞在し、4杯くらい飲んでしまった。
友人に2回目が微妙だったとLINEで伝えると、もう一回くらい会ってみれば?と言われて、まぁそれもありかな…と思ったけど、翌朝、アルコールの抜けた頭で考えると、やっぱり無しなのではと思った。
もう一回会ったら緊張が解けてきて楽しく会話できる?その可能性はゼロだとは言い切れないけれど…果てしなく低い気がした。
緊張だけじゃない、合わないものを感じてしまった。
そもそも途中で引っかかる時点でご縁はないのかもしれない。
以前も、2回目くらいの時にちょっと違和感を感じたけど、そのまま進んで、結果やっぱり無理ってなってしまった人がいた。
そうなるよりは今断ったほうがいい。
3回会ったら向こうだって上手く行ってると思ってしまうだろうし。
とはいえ、約1年ぶり、21人ぶりの2回目に繋がった人。
良い人ではあるだろうし、真面目そう。
ルックスも相談所ではあまりに稀有な異性としてokの範囲内。
そんな人を断って良いのか。
もうそんなのないかもしれない。
もしかしたら、もしかのもしかしたら、3回目で印象変わるかも…
グルグルとしながらも、最終的にはやっぱり自分の直感に素直に従って、丁重にお断りの連絡を入れることにした。
(友人に異性としてどうなのか?と問われて、あれ、最初に会った時は大丈夫だったはずなのに2回目会った後、ダメ寄りになってる…と気付いたのもある)
お断りのメッセージは作ったが、気が重くて、送信することができず、1、2時間置いてから送信した。
相手からはすぐに丁重な返信が来た。
やはりとても真面目でまともな人だったな。
人間の相性ってなんでこんなに難しいのか。
真面目で良さそうな人なのに。
お酒好き、グルメ好きというところも合うのに。
なぜだ…
まじで針の穴に糸を通すより難しい作業じゃないか、異性としてokで、かつ内面も合う人で、かつ向こうからもokと思われる人を見つけるのなんて。途方に暮れる。
全てがぴったり合う人なんていないけど、現時点で違和感あって疲れてしまうような人とはやっぱり合わないんだろうと分かってはいる。
いるけれど。
やっとこぎつけた2回目だったのに…という気持ちが湧き上がる。
あと、自分に好意を持ってくれた人を断った罪悪感みたいなのも少し。
断り断られるなんて婚活では日常茶飯事で、そこまで気にする必要ないことは頭では分かっているけど、どっと疲れて気分が落ち込む。
次に2回目に繋がるのはまた1年後なわけ?
まもなくまた1歳年を取って、より戦局は厳しくなるし。
超低確率で、2回目に至ったところで、なんか違うと思ったり思われたりなわけで、このペースじゃ閉経する頃しか相手見つからないのでは?
どうしようか、相談所やめて、やめたところで出会いなんてないから、腹決めてもう独身を覚悟するか。
そんな心境の月曜日。