駆け出し産業機械屋のnote3

産業機械は、工場もしくは事業所の中において据え付けられる機械装置であると説明されることがあります。
要するに産業機械とは、オートメーション化された工程を受け持つ機械であり、ロボットともいえるでしょう。
例えば、自動車工場で活躍している多くの機械は産業機械です。
日本産業機械工業会では、化学機械や鉱山機械、環境装置、業務用洗濯機、ボイラ・原動機、動力伝導装置、タンクなどを産業機械であると定義しているのです。
産業機械とは、機械を全般的に指す言葉です。

例えば車載カメラの生産機械を見学した内容をnoteします。

車載カメラの組付けライン

1.ケース供給機
2.放熱グリス塗布機
3.レンズ部品供給機
4.レーザー溶着機
5.エアリーク検査機
6.完成品収納機

1.ケース供給機
車載カメラの外装ケース(ハウジング)を製造ラインに供給します。ケース供給機は、一定数のケースを整列させ、次の工程に送り出します。
パレット(トレイ)に5x10個程度のケースが入っており、
装置の横から6連のトレイを入れるトレイ供給システムがあり、
ケースをチャックして工程に流していく。

製品のX-Yとθを2Dカメラで検知できる
z軸方向はみれない

2.放熱グリス塗布機
 カメラ内部の電子部品やセンサー部分に放熱グリスを塗布します。放熱グリスは、熱を効率的に拡散させるために重要です。カメラ内部の発熱対策を行い、製品の耐久性と性能を向上させることが目的です。
 2液型のグリスで、空気に触れると固化する
 放っておくと油と固形物に分離するので攪拌して脱泡が必要
 放熱シートか放熱グリス塗布にするかはその会社次第


3.レンズ部品供給機
 カメラのレンズをケースに組み込むために、レンズユニットや関連部品を供給します。この工程では、レンズを正確に配置する必要があります。
 レンズの掴み代がない
 ばねコネクタ(ばねコネ)の検出

4.レーザー溶着機
 レンズや他の部品をケースに固定するためにレーザー溶着を行います。レーザー溶着は、精密で耐久性のある接合を実現します。
 Panasonicのガルバノレーザーが有名
 搬送ローダー上では、しっかり加圧できないから溶着できない
 加圧治具上で加圧しながらレーザーを打って溶着する 
 沈み込み4か所についてIAIの変位センサで検出している

5.エアリーク検査機
 組み立てられたカメラの気密性を検査します。カメラが外部環境からの水や埃の侵入を防ぐために、この工程でエアリークがないか確認します。
 レンズ部品の下にNOKのOリング
 エアリーク検査 何MPa
  
 リーク試験では、大きく分けて三つ方法がある
 正圧リーク試験
 真空引きで負圧リーク試験
 ヘリウムを使ったリーク試験

6.完成品収納機 
 全ての工程を経た完成品のカメラを、自動で取り出し、梱包や出荷のために整列させたり、収納したりします。
 NGワーク置き場→NG品はすぐ廃棄ではなく再利用できないかと考える

トレーサビリティがとられている、一番初めの工程のトレイの部品と完成品は1対1ですべてデータが整合するようになっている、つまりどこの何の部品が、どう組み立てられて、Serial No.何番の製品となり、それらが不良の場合どういう不良だったか、良品の場合はそのまま1対1の整合性がとられて出荷される。

(余談)

産業機械の加圧には大きく2種類ある。
エアープレス加圧
サーボ加圧

基本的に一つの機能に一つの機器です、逆に言うと一つの機器に2つの機能はないという前提がある。

ロードセルは今、自分という機器にあ何Nかかっているかを電気信号で出すだけの機能をもっている。

シーケンサは有名なのは三菱電機、キーエンス、オムロン。

基本的に産業機械の頭はPLCです。

アクチュエータはIAI、ロボットはYASKAWA、FANACが有名。

・エアシリンダ
 空気圧(圧縮エア)でシリンダーを直線運動させる機
 正確な位置調整はできない
・エレクトリックシリンダー(エレシリ)=エアシリンダの電気版
 電動シリンダー、位置制御ができる
・ロボシリンダ 
 モーターの所にエンコーダが配置されており位置が検出できる
 ベースに設置されたリニアガイド上をスライダーが動作 
 偏荷重(モーメント負荷)が掛かる用途で安定動作 
 真直度0.05mm/mの直線動作が可能

ロボシリンダー構成一例

・ローダー(搬送ローダー)
 製造や加工のプロセスで材料、部品、製品などを自動的に移動させ、次の作業ステーションや加工機に供給するための装置。
 ローダーは、材料や部品を一定の間隔で、または指定されたタイミングで次の工程に供給します。これにより、生産ラインがスムーズに稼働し、手作業での供給に伴う遅延やミスを防ぎます。
・プラレールチェーン
 工場内で部品や製品を搬送するためのチェーンコンベアシステムです。このシステムは、まるでプラレールのように、特定の軌道(レール)に沿って動くチェーンを使用して、製品や部品を移動させます。

・電空

 電空制御システムでは、まず電気信号が制御の指示を与える役割を果たします。これには、センサーからの入力やプログラムされたコントローラー(PLCなど)からの指示が含まれます。 電気信号を受け取ると、ソレノイドバルブが動作し、圧縮空気の流れを制御します。ソレノイドバルブは、電気的な入力によってオン・オフの切り替えが行われ、空気圧の供給や遮断が制御されます。 ソレノイドバルブによって制御された圧縮空気が、アクチュエーター(シリンダーなど)を動作させ、機械的な動きを生み出します。空気圧は柔軟で強力な力を発生させるため、多くの産業用アプリケーションで使用されます。 電空制御のシステムにおいて、アクチュエーターは電気信号と圧縮空気を受けて物理的な動作(直線運動や回転運動)を行う装置です。例えば、エアシリンダーが直線的に動く場合や、空気圧モーターが回転する場合などがあります。

・エアー回路 
エアー回路は、圧縮空気を利用して産業機械の動作を制御するためのシステムであり、コンプレッサーから供給された圧縮空気を利用して、シリンダーやバルブなどのアクチュエーターを動かします。これにより、産業機械の正確かつ効率的な動作が可能となります。
(コンプレッサーの仕組みは、空気を取り込み、圧縮します。その圧縮気体を空圧機器に送り込むことで圧力がエネルギーとなり、稼働するという仕組みです)

駆け出し産業機械屋としては、理解すべきことや覚えることが多くて大変ですが、自らの糧となることは間違いないので、この道で励んでいきたいです。

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