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「悲しみのイレーヌ」を読んで ネタバレ含む感想文

初めてnoteを書く。
実は少し前から興味はあった。読書感想文というか、読書日記をつけたいと思っていた。何となく面倒くさそうで置いていた。

ピエール・ルメートル作「悲しみのイレーヌ」を今読み終え、あまりのことに放心、ショックから立ち直ってすぐにnoteに登録した。
とにかく今感じていることを残しておきたいと思った。

以前父から借りて「その女アレックス」を読み、面白かったので自分用に購入、ついでに前後作「悲しみのイレーヌ」「傷だらけのカミーユ」も買った。
アレックスを既に読んでいるから、うっすらネタバレしている状態から読み始めた。
だから、マレヴァルがなんかやらかすとか、イレーヌが義母のアトリエで死ぬとか、そうゆう事が分かった状態で読み進めたということ。

それなのに…いざ生きているイレーヌ(小説の中ではあるけど)の姿やカミーユとの仲睦まじいやり取り(これも小説の中だけど)を見ると…
最後の最後まで、救いを求めたくなるよなああああ!!!
イレーヌは死なないんじゃないかと思いたくなって、本から目を上げる度に
「この残りページのうちにイレーヌは死ぬんだよな…」
と絶望する。つらい…。

でも、逆に考えたら、アレックスを知る前にこの作品を読んでいたら、もっと苦しんでいたかもしれない。なんせあの結末…。
どうか助かってくれと疾走し、こっちも勢いに乗せられて「もう一展開あるか!?」と思わされ、挙句なんの救いも無く、呆気なく僅かな希望が打ち捨てられた上に、エピローグの書簡で追い討ちをかけられる。
正直、犯人は最後死ぬと思ってた。アレックスの方には出てこなかったし(たぶん。あとで再読するけど)。
それをさぁ!「生きています」なんかい!!お元気そうでな!!!
若干強がりにも見えるけれど、明らかにカミーユより上の立場から語りかけるあの手紙に、どん底に落とされる気分を味わわされた。つらい…。

その後のカミーユが、時間をかけはするけれど、警察官として立ち直りつつある「その女アレックス」の物語を知っているから、まだ良かったかなと思えてきた。

「悲しみのイレーヌ」、構成にもしっかり騙された。
まず第一部のラストで作中作的な感じだったと分かってから、第二部で知らん博士が出てきて
「あれ?クレスト博士ら辺は全部創作??」
「あれ?エリザベスとかもいねーの!?」
となり、まさに現実と芸術がごっちゃごちゃ。今理解しきれてるかと言われると怪しい。
「本当はどうだったのよー!!!」

本当は、で言うと、ビュイッソンのキャラクターもよく分からない。
最後の手紙が一番彼自身の言葉なんだろうけど、それも「カミーユにこうだと思われたい自分」な感じがして、いまいち本心が読めない。
まあ、人間って、そうだよね。
でもミステリー小説でくらい、「答え」を教えて欲しいじゃない!!

読後感の悪さとショックで、あまり良い感想が書けてないけど、全体としてはとても面白かったと思っている。
ミステリー小説に騙されることは大好きだから、こんなにネタバレした状態で尚、さらにどんでん返しが来るとは…!と歓喜してもいる。
登場人物も魅力的だし(特にアルマンが好き。アレックスの時ほど活躍してないけど)。
大量殺人だけど、ひとつひとつ理由があって、ただのグロテスク描写の為の殺人ではないところも好みだった。

そうなの…「面白い」と「つらい」で、ギリギリ「つらい」が勝ってるだけ…

つらかったから、すぐには「傷だらけのカミーユ」は読まないでおく。
一旦、鏑木蓮「イーハトーブ探偵 ながれたりげにながれたり」で心を洗って出直します。


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