
13 米国型資本主義の到来と、地方公務員の人材確保の関係
この記事は、すべてフィクションですのて、その点を十分ご理解ください。
(1) 真の資本主義の到来
昨今、少し景気がいい感じがする(?)のに、なぜか、大量のリストラが行われています。
・某有名製薬会社 1000人
・某有名自動車会社 世界で9000人
・某有名電気メーカー 3500人
・某有名小売店 1000人
・某化学会社 4000人
・某生命保険会社 1000人
・某有名オフィス機械メーカー 1000人 他多数
これらは、主に、2024年に発表されたリストラです。全世界でと言うのがあるので、純粋に日本国内の数字ではありませんが、ざっと2万人近くの人材が、言葉を選ばずに言えば、首になるのです。つまり、労働力として労働市場に放出されます。
こうした、リストラの流れは、今後も一層加速していくことが想定されます。と言うのも、日本も、米国型の真の資本主義の時代が到来していると考えられるからです。
米国型の真の資本主義とは、何か。ざっくりとしたイメージで言えば(あまり正確ではないかもしれませんが)、株主至上主義です。株主、すなわち、資本家ですが、出資してくれた株主の利益を第一に考えて、利益還元策を次々に実施していく。そうしないと、株主が新たな投資をしてくれないばりか、今いる株主も逃げていってしまう。相当高い率の資本の運用益を還元しないと、魅力のない会社だと思われて、投資家から見て価値のない会社になってしまう。
日本はこれまで資本主義を標榜していたのに、なぜ、今になって、騒いでいるの?と言うことですが、これまでの日本の資本主義が少し「いびつ」だったからです。
これまで、日本は戦後の復興、そして、高度経済成長など、敗戦から立ち直って、日本国民がみんなが食べるものに困らず、何とか生きていけるレベルに持っていかないといけないという大命題があり、競争より調和、個よりも社会が優先され、みんなのためにみんなが頑張るべきという幻想のもとで、国民が身を粉にして、働いてきました。その結果、時代も良かったのもあると思いますが、みんなが豊かさを実感できる社会の中で、1980年代にはJapan as no.1と言われるほどの成長を成し遂げました。
このときの日本株式会社の株主は誰だったのか。それは、日本株式会社自身です。いわゆる政策保有株といって、銀行、生保、損保をはじめとする金融機関などの機関投資家、それから系列の会社、取引先など、関係者で株を持ち合ってきました。自分の株主となっている会社を次々とたどっていくと、ひょっとして自分かもしれないという、輪廻転生のような世界になっていました。株式の利益の配当ではなく、みんなで仲良くして、みんなが本業で儲かればそれが一番という状態だったのです。つまり、本当の意味の資本家なんていなかったのです。そして、その後、数々の不況を乗り切って生き残ってきた企業は、何かの時のために、内部留保として、利益を投資や賃金に回さず万が一の時の貯金として、蓄えていったのです。その結果、日本全体として、莫大な額の内部留保が積み上がります。(2023年末で600兆円)
これに目を着けたのが、米国型資本主義の体現者
、ファンドです。本当の資本家の登場です。特に、アクティビストファンドと呼ばれる、物言う株主です。彼らは、この内部留保を株式の配当として、企業に吐き出させて、莫大な投資利益を得ようとします。今まで彼らの射程になかった日本企業ですが、気がついたら、実は、まるまる太った豚だったのです。
そこで、まず、政策保有株、株の持ち合いをやめさせます。KKR、カーライル、ブラックロックといったところが特に有名なファンドですが、彼らは米国政府にも多大な影響力を持ち、米国政府を通じて日本政府に大きなプレッシャーをかけてきています。その結果、これまで、政策保有株を良しとしてきた金融庁や証券取引所でさえ、資本効率を妨げる最悪の方策として、市場に放出するように求めています。
これによって、企業の株主は固定化していましたが、流動化することとなり、大量に放出された政策保有株によって、株価もお買い得感がある価格帯に、そして、何より発行株数に対して一定割合の株を市場で調達しやすくなり、物言う株主が、一層、ものを言いやすくなります。
発言権を増した物言う株主、アクティビストファンドは、より多くの株主還元策や、企業価値を高める施策を求めます。
例えば、収益性の高い事業以外の事業を売却して、より稼げる会社にするとか。これは、椿ブランドを売っぱらった資生堂や、アリナミンを売っぱらった武田薬品のパターンです。
売却はまだしも、撤退となると、その事業に従事している方は、整理されることになります。これは、西武百貨店の池袋店のパターンです。
これまで日本の会社はいろんな事業をいろんな理由で展開してきました。黒字になる事業もあれば、赤字になる事業もあるが、会社全体として黒字なら良いという感覚でした。しかし、投資家は、利益が上がらない事業はいらない。なぜなら本来株主に還元されるはずの利益が赤字の穴埋めに使われるからです。つまりドブに捨てられてるわけです。そうなると、株主は経営陣に不採算部門の廃止を要求してきます。これになかなか抗しきれないので、事業を廃止して、その事業に従事していた方を首にすることになります。米国型の真の資本主義の浸透によって、大量のリストラが行われるようになる。こうして、大量の労働力が市場に放出されることになるのです。
(2)大規模なリストラは、地方公務員のなり手不足を解消するのか。
今年の大きなリストラだけでも、2万人!これが毎年起こり、そして、その規模も大きくなっていくとすれば、大変な数の労働力が労働市場に放出されることになります。
しかし、地方公務員の総数は、280万人。毎年の定年退職者だけでも、推定10万人なのです。リストラにあった人が全員地方公務員を目指すわけでもなく、とてもチャンスになる程のことにはなりませんね。
しかし、今の地方公務員の現状は、藁にもすがりたいのではないでしょうか。特に、人気のない都道府県の状況は深刻だと思います。新卒の方々も、マーチのご出身の方でさえも、滅多にみない。今や早慶なんて皆無なのではないでしょうか。学歴はなくても、合理的に仕事に頑張ってくれればいいが、そうでもないかも。そうであれば、一流企業で働いてきた高学歴の方をゲットする狙い目の集団かもしれません。
かつても、第二新卒のような形で、民間経験がある方が入ってきていました。そんな人達は、民間を辞めたという、どちらかというと、後ろめたさや、劣等感がある。新卒ストレートで上級で入った人たちに比べて、そういう人たちは逆に強いですね。ここでも、芽が出ないという事態は自分で許せない。だから、中級採用とかではいってきても、頑張って上を目指しちゃう。私は、そういう人たちが、上を目指して、盲目的に頑張っちゃうことが、とても合理的だとは思わないのですが、世の中にはいろんな考え方をする人がいて、良しとする人が多いので、上にいっちゃうのでしょうね。
まあ、ひがみがましいことは、このくらいにして、今後、ますますリストラが増えてくれば、民間の首切りには辟易して、地方公務員を目指してくれる人も増えるかもしれません。
リストラされる方は、言い方は難しいのですが、専門性がなく、いらした会社ではもう役に立たない方々ですが、地方公務員にも専門性も必要ありませんので、大丈夫です。
こういう人たちをうまく吸収してやっていくしか、地方公共団体に未来はないと思います。もう、新卒で優秀な人材を確保できる時代ではないのですから。