ジャムおじさんの破産から学ぶ破産の流れ
↑のスピンオフです(笑)
ジャムおじさんが「菌橋法律事務所」の扉をくぐったとき、彼の顔には深い疲労がにじみ出ていた。
迎えたのは、冷静で鋭い目をした弁護士、梅菌 健一郎。
「どうも、ジャムさん。ようやく現実と向き合う気になったんですね。」
どこか皮肉めいた笑顔でそう言うと、梅菌は座るよう促した。
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弁護士との初対面
「まず、状況を整理しましょう。」
梅菌弁護士は小さなノートを開き、事務的な口調で話し始めた。
「現在、あなたのパン工場の負債総額は?」
「……2,000万円ほどです。」
「なるほど、資産は?」
「工場と土地だけです。でも、担保に入っていて…。現金はもうほとんどありません。」
梅菌は静かに頷きながらメモを取る。
「破産手続きが現実的ですね。ジャムさん、これは甘い話ではありません。ですが、正しく進めれば、再起の道も見えてきます。」
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破産手続きの説明
「破産は怖い言葉に聞こえるかもしれませんが、再スタートのための制度です。」
梅菌弁護士はそう前置きして説明を続けた。
破産手続きの流れ:
1. 破産申立書の提出
→ 負債や資産状況を詳細に記載した書類を裁判所に提出します。
2. 破産管財人の選任
→ 裁判所が「破産管財人」を選び、資産や負債を調査。必要なら工場の設備を売却して債務整理を進めます。
3. 債権者集会
→ 銀行や取引先に現状を説明し、今後の対応を決定します。
4. 免責許可
→ 最終的に、借金が返済不要になる「免責」を裁判所から受けられるかが決まります。
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「ただし、免責が認められるためには、不正や浪費がないことが条件です。」
梅菌弁護士はジャムおじさんをじっと見つめる。
「例えば、『顔を投げる』という用途でパンを無駄にしていませんか?」
ジャムおじさんはぎくりとする。
「い、いや、それは…アンパンマンが人を助けるためで…」
「なるほど、正義のためですか。ですが、裁判所がその正義をどう見るかは別の話です。」
皮肉たっぷりにそう言い放つ梅菌弁護士の言葉に、ジャムおじさんは肩を落とした。
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破産申請への決断
打ち合わせの後、ジャムおじさんは工場に戻り、アンパンマンやバタコさんに破産の決断を報告した。
「みんな、本当にすまない。工場を守ることができなかった。」
バタコさんは泣きながら言った。
「おじさん、私たちがもっと手伝っていれば…」
アンパンマンも拳を握りしめた。
「僕がもっとたくさん助けていれば、工場を救えたのに!」
だが、ジャムおじさんは静かに首を振った。
「いや、これは私の責任だ。でも、破産は終わりではない。これからまた一歩ずつやり直そう。」
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債権者集会――梅菌弁護士の本領発揮
数週間後、債権者集会が開かれた。
集まったのは銀行の担当者、材料業者、配達会社の代表たち。
一様に険しい表情で、ジャムおじさんを見つめている。
「ジャムおじさん、どうして返済が滞ったのか説明してください。」
銀行の担当者が冷たく問いかける。
ジャムおじさんは立ち上がり、声を震わせながら答えた。
「私が間違っていました。人を助けたいという気持ちが先立ち、経営の現実を見ていなかった…」
その瞬間、梅菌弁護士がスッと前に出た。
「みなさん、確かにジャムさんは借金を返済できていません。しかし、彼の行動が町の多くの人々を救ってきたのも事実です。」
彼の説得力ある言葉に、会場の空気が少しずつ和らいでいく。
ついには材料業者の一人がこう言った。
「ジャムおじさん、私たちもパン工場にお世話になってきました。だから、これからも応援しますよ。」
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免責の決定と再出発
数カ月後、裁判所から免責が認められたとの連絡が入った。
梅菌弁護士が静かに告げる。
「これで借金の返済義務はなくなりました。ジャムさん、これからが本当の勝負ですよ。」
ジャムおじさんは深く頭を下げた。
「本当にありがとう。梅菌先生、あなたがいなければここまで来られなかった。」
梅菌は微笑みながら言った。
「私は菌のようにしぶといんですよ。これからも町のために頑張ってください。」
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新たな未来へ
破産を経て、ジャムおじさんは小さなパン屋を始めた。
規模は小さいが、地域に寄り添った温かいサービスを提供する店として評判を集めている。
「正義と経営は違う。だけど、どちらも人を幸せにするためにある。」
ジャムおじさんはそうつぶやきながら、新しいパンを焼き続けている。
一方、梅菌弁護士は次の案件に向かう。
「さて、次はどんな依頼者が来るかな。」
菌のようにしぶとく、彼の活躍は続いていく。