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第9話 グループ発表って必要なの?②

主な登場人物(実在する人物と関係ありません)

  • 新任教諭(音楽専科)長谷川先生

  • 担任の先生(音楽部 長谷川先生の先輩)鈴木先生

  • 指導教官(ベテラン教務主任)村上先生

  • 斎藤先生と同期の音楽専科(他校に配属)岩倉先生

  • 研究会の主宰者(ベテラン音楽専科)日村先生

第9話 グループ発表って必要なの?②


「グループ発表って必要なの?」

音楽の授業後。長谷川のもとに駆け寄ってきたAさんが放った一言である。
この発言を受けてから今日が最初の授業。長谷川は「今後の授業の進め方を考えていく上で、今日の授業は大きな山場になるな」と感じていた。

授業が始まる前に、長谷川はAさんに声をかけた。

「前回のAさんからの相談を聴いて、先生はAさん以外の人にも考えてほしいと思ったんだけど、Aさんの考えを紹介してもいい?」

Aさんは、少し考えてから

「いいですよ!」

と承諾してくれた。そして授業の冒頭で前回の授業後にAさんから「グループ発表って必要なのかな?」という相談があったことをクラス全員に伝えた。

「みんなの前で発表するのは嫌だな・・」
「失敗したらトラウマになりそうだし・・」
「人前に立つ勇気をつけることができるんじゃないの?」
「人によって感じ方は違うかもね。自分は発表するのは全然大丈夫!」

たくさんの意見を子供たちは言ってくれた。
長谷川は「みんなの前で発表することで、身に付けられる力もあるね」と伝えながら、次のように問いかけた。

「先生が音楽の授業で、一番大切にしていることってなんだと思う?」

ある男の子が、

「みんなにとって楽しい音楽の授業をつくること」

このように答えてくれた。長谷川は「そうだよね。何度もそのことを伝えてきたね。」と頷いたあと、

「みんなの考えを聴いて、無理やり発表させるのはよくないなと先生も思いました。だから、発表はやってみたい!という人がやることにしようか。」

と子どもたちに伝えた。子どもたちも「それがいい!」と納得した様子だった。

作者コメント


「発表のために練習する。」

発表するという目的があるから、練習を頑張ることができるのではないか。このように長谷川先生は考えたのだと思います。しかし、発表するという目的がなくても「ただリコーダーを吹くことが楽しいから練習する。」「発表するしないに関わらず、曲を演奏できるようになることが楽しい。」ということも考えられるのではないでしょうか。むしろ、練習して上達していくと「だんだん人に聴いてほしいなと思う➨発表会を開きたい!」という順番の方が本当は自然なことなのかもしれないなと感じました。

人前に立つ勇気をつけることができるんじゃないの?」

もちろん、発表を通して上記のような力を身に付けさせることもできるかもしれません。ただし、上記の力を「リコーダーの演奏を発表すること」で身に付けさせることが適切か考える必要はあると思います。

長谷川先生は、「先生が音楽の授業で、一番大切にしていることってなんだと思う?」と子どもに問いかけていました。これは先生によっても違うことですよね。きっとこの違いによって、「グループ発表をするorしない」ということも変わってくるのではないかと思います。

おわりに

小説で振り返る音楽専科は、私が実際に体験した内容を元にして小説にしています。「第9話 グループ発表って必要なの?②」を書きながら改めて、自分が音楽の授業で大切にしていることはなんだろう?と考えることができました。

本記事を読んでくださった先生方が、音楽の授業で大切にされていることはなんですか? コメントして頂けると嬉しいです。



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