姿勢大事:隠し砦の三悪人
黒澤明監督『隠し砦の三悪人』を観た。
秋月家家臣の真壁六郎太(三船敏郎)の初登場シーンにビビる。
百姓の又七(藤原釜足)と太平(千秋実)が金探しに躍起になっているその上方で六郎太が見ているというシーン。表情は見えないけれど、太もも丸出しの雑兵みたいな格好をしているけれど、その佇まいだけで「こいつただの浪人や落武者じゃない!」という雰囲気。
この映画の4年前(1954年)に公開されている『七人の侍』も時代は戦国で、三船敏郎は粗暴な浪人演じててその時も太もも出してても暴れてたけど、この六郎太は見てて「あなたそんな格好してていい人じゃないでしょ!」と早く袴でも履かせてあげたい気持ちになった。
秋月家の姫、雪姫(上原美佐)もまた素敵で、嫡男が生まれなかったために代わりに男のように育てられたという生い立ちから、泰然自若として「姫」の気品を持ちながら獣のような隙のない佇まい。黒澤明監督が「気品と野性の二つの要素がかもしだす異様な雰囲気」を評価(Wikipedia情報)というのにも納得。
敵方に捕らえられ処刑に向かうシーンでは、馬に乗せられ後ろ手に縛られながらも背筋をピシッと伸ばしてまっすぐを見つめる雪姫、雪姫同様の姿勢の六郎太と、俯き加減に憔悴して暗い表情の娘(雪姫の命令で人買いから救って道中を共にした庶民)とが対照的で印象深い。
さらに、ダメ押しの雪姫のセリフ「犬死は無用!志あらば続け!」
心射抜かれました。