”自閉症スペクトラム„幼児のケ―ス
最近、成人の自閉症スペクトラム症状やADHDのケ―スをよく耳にします。
私達が、公的通園施設で療育に当たっていた頃、その障がい名に該当する子ども(男児)の症状について述べたいと思います。
Aちゃんのケ―ス:3~4歳だったでしょうか?言葉を発することはありません。施設には、お母さんや弟と一緒に通ってきました。
遊具も色々あったので、指導員に頼ってくることも少なく、自分の世界の中で、好きな遊びを黙々としていたような記憶があります。
絵の時間に白い画用紙に、黒のクレパスのみを使って、車のような絵を描きました。絵は、その子の心を表現するような、力強く塗りつぶした真っ黒の車の絵でした。
描画は力いっぱいに描き、形を為していました。が、集団行動は全くありません。
指導員は或る日、その子と弟の掌に、タバコの火を押し付けたような傷に気づきました。
指導員は、タバコを押し付けられてるのでは、といった疑念を持ちましたが、爛れた
傷ではありませんので、お母さんに尋ねていいものか…と迷いました。
お母さんは、いつも疲れた暗い表情をされていました。
Aちゃん一家は、アパートに住んでありました。お母さんが、ポツリポツリと話されました。アパートの隣室の窓が空いていると、
Aちゃんが隣室の窓から入り、水道の水を出しっ放しにしたりで、苦情を受けましたと。このようなことがあり、実家に一家で帰ろうと思いますと。
通常では考えられないような出来事があったようでした。
その後、一家で実家に身を寄せられました。
このようなケ―スの場合、母親が一番辛い立場に立たされます。
周りの方は、子どもの行動について、親の躾が悪いといった思いしか持ちません。このような問題行動が、障がいに因るものとの認識や理解はありません。
Aちゃんのケ―スを書きました。
思い出して、胸が痛みました。