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パチンコ依存の高齢おじさんが今日も自転車でやって来た
パチンコ依存症の80代の高齢者のおじさん(本当はこの呼び方をしてはいけない)は、かなりの距離を自転車に乗って、今日も明るい笑顔で社協にやって来た。
市の生活保護課のCW(ケ―スワ―カ―)から金銭管理の相談があり契約に至った方です。
面談の日程を調整して、ご本人宅(公営住宅)にて面談しました。
CWとともに部屋を訪ねると、丁度昼食中……
昼食のご飯は少し黄色く変色し、粗末な惣菜?でした。
部屋は伽藍堂で何もありません。
パチンコ費用の捻出のために、
市から緊急に支給された冷蔵庫もテレビも売り払われていました。
中古買い取り店に売って5000円しかならなかったと悔やんでいる。
CWは、この高齢者のことを大変心配し、日常生活自立支援事業に繋ぐことを考え……契約に至った。
ご本人は大変温厚で、笑顔のかわいい憎めない感じの方ではあったが、家族だったらそんな悠長なことは言えない。
この方には娘や妹がいる。
生活保護を利用するには、身内に扶養に関しての文書が行くので、身内も知っている筈だが、多分「扶養できない」との返答に…
100万~200万円ほどの借金があり生活が困難になり、取り敢えず、生保に至ったと思われる。
パチンコ浪費で出来た借金だと確信できた。
*但し、生保の支給金で借金の返済は禁止されている。
ご本人の勤務先は良い会社だったらしい。年金は月額20数万円で、企業年金も出ている。
妻の存命中は、金銭管理は妻がしていたとのこと。
妻が70代で亡くなり、その後パチンコに走ったと思われるケ―ス。
専門員は、借金返済等の支援計画を立て、生活支援員が計画に沿って生活費を届ける。
が、依存性がある方の支援は、殆ど計画通りにいかない。度々生活費を届けることが多い。
*引き落とし可能な諸々は、引き落としの手続きをする
支援計画に沿って、定期的に届けることが原則だが、浪費の方の支援は大変に至難なことになる。
この方は、定期的に届ける生活費内では収まらず、見出しのように自転車(小さな車輪の)を必死に漕いで、社協にやって来られる。
悲壮感はなく、ちょっと照れた笑顔で、色々・諸々の言い訳をして〇〇円が必要と……
「今月はもう、そんなに余裕はありませんよ」と言いながらも食生活を守るために苦渋の決断をする。
〇〇円を受け取ると、パチンコの楽しさを生き生きと眼を輝かせて話され、自転車で元気に帰って行かれた。
職員達は、ご本人の後ろ姿に「本当に元気ね┅」と驚きと同時に複雑な心境になる。
或る日、娘さんと妹さんが、社協の相談室に来訪された。
2人の言い分は、あんなに沢山の年金を貰っているのに、このサ―ビスの利用なんか必要ないと…クレ―ムに見えたのが理由。
私は、「この事業は解約はいつでも可能ですので、娘さんが金銭管理されるのでしたら、解約の手続きを致しますけど…」と。
お二人に、この事業を利用されることになった経緯を説明する。
娘さんも妹さんも、その事情に驚き、解約は取り止めになる。
市の生保のCWから、一時的な支援金の支給があり、専門員にも同席の依頼。*市で待ち合わせる。
ご本人が市に来訪。新調した背広を着用し杖使用。帽子も被ってあった記憶がある。
ご本人が、支給金を受け取った後、専門員に近付き「この支給金で刺身を食べたいけど…」と耳打ちをされた。
専門員が「ダメですよ」と釘を刺す。「背広はどうされたのですか?」と尋ねると、〇〇で買った。杖は5000円したと……本当に呆れてしまう。が、これが日常。
生活支援員が、〇〇さんが自転車で転倒し入院されたそうですよ。との報告がある。
暫くは入院だそうです。
余り危険な状態では無いので安心する。
不謹慎ながらも、職員達はやっと借金が減りますね~と……本音を洩らす。
暫くすると、ご本人が予定より早くに退院。相変わらずの笑顔で、自転車でやって来られる。
相談室の職員達が、お身体は大丈夫ですか?と声掛けすると、いつもの笑顔で、〇〇円を貰いに来たとのこと。
借金返済の予定は振り出しに~
ご本人が、元気なのが何よりだが、周りはそう簡単ではない。
近隣の人にも、借金があるのが分かった。いたちごっこだ。
その後も、再び自転車で転倒。今回の入院は長引きそうだとの報告を受ける。※下肢の骨折だったと記憶している。