日本の建国の時期は?【3】土笛から
『日本はいつ頃、建国されたのでしょうか?』
『いつ頃に建国されたのか?』という<時期>について理解を深めてきたく、いろいろな角度で考察をしていきます。
【土笛の普及時期】
ここでは「土笛」の普及について述べたいと思います。
この「土笛」という弥生時代の楽器をご存知でしょうか? 弥生時代の博物館などで「土笛作り体験」などのイベントが行われているため 見かけたことがあるかもしれません。
この「土笛」というのは、紀元前4世紀から前2世紀の限られた時代に登場します。しかもその出土場所は、出雲を中心とした日本海側に分布します。
古代中国・殷代の礼楽器の陶塤(とうけん)に似ていることから、農耕祭祀に使われた楽器の一種と考えられています。
現在の出土では、西は宗像地方まで、東は丹後地方までの分布です。
古事記にて出雲の大国主は「宗像」(福岡)から多紀理毘売命(たぎりひめ)を妻に迎え、高志(新潟)からは沼河比売(ぬなかわひめ)を妻に迎え、因幡(鳥取)からは八上比売(やがみひめ)を妻に迎えるなど、日本海側で政略結婚を進めています。ここで紹介した「土笛」の分布の傾向が、どことなく似ています。
弥生時代の土器には、福岡に由来する「遠賀川式土器」という有名な土器があるのですが、それとは別に綾羅木郷遺跡(山口)に由来する「綾羅木式土器」というのがあります。この「綾羅木式土器」は「土笛」の出土分布圏と重なっているそうです。
日本で農耕を始めた「北西部九州地方」とは異なる「土笛を使う日本海側の地域文化圏」が存在し、北東部九州と山陰地方の人々が交流していたことが思い描けます。
<ここからの学び>
紀元前4ー前2世紀に日本海側に限定される出雲族の勢力圏ができはじめたことが「土笛」の分布から示唆されます。
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