NewJeansを聴く
NewJeansが本日日本デビューです、とテレビで言っていた。自分にとってはまだ名前しか知らない彼女らには、すでに世界中にファンがいるのだろう。今の女子中高生が羨ましいと思っている。皆、清潔感がある身なりをしているからだ。日本のアイドルも韓国のアイドルも、かわいらしくてきれいで、且つ清潔感もあり、それらが街中で見かける10代の服装に影響しているのだろう。
私が女子中高生だったころはコギャルが流行っていた時代で、その流行りは私の住む田舎町にも届いた。私自身も含め、周りもなんとなくコギャルに近い服装やメイクをするようになった。当時のコギャルの見た目には、清潔感というものは同居していなかった。女子中高生本人たちに客観性や大人の視点は持ち合わせていないため、自分たちがどんな格好をしようが、周りの目は気にしない。肌を小麦色にするというところまでは意識はしなかったが、メイクはなるべく濃く、洋服はなるべく派手な色のものを選び、今振り返ると、あれは奇抜だったと言える格好をしていた時期が、一時あった。完成度が低い安上がりな田舎町のコギャルである。これが渋谷のような都会のど真ん中であれば、そういった集団は街に溶け込み、違和感は少なめなのだろうが、田舎町ではそうはいかない。周囲の大人は眉をひそめていたに違いない。
あれは中学3年生が終わった3月の春休みだっただろうか。同級生と東京へ遊びに行くことになった。当時、その同級生のお兄様が大学生で1人暮らしをしていて、そこに同級生と私と、2人で泊まった。そのアパートは、横浜の桜木町あたりにあったと思う。
15歳の女の子2人は東京の街へ繰り出した。LOVE BOATというお店に行くと、店の前に行列ができていた。店内で人数制限をしていたのだろう。私はそこで、化粧ポーチと、iPadよりふたまわり小さいくらいのサイズの長方形の鏡を買った。LOVE BOATは地元にはないお店だ。東京まで足を運んで行列に並ばないと買えない。そのポーチと鏡をカバンに入れ、私は高校へ通った。
高校1年生の時はルーズソックスを履いていた。2年生になるとき、通っていた高校ではルーズソックスが禁止になり、紺色のハイソックスを履くようになった。ルーズソックスが禁止になったあたりから、私自身の好みも変わり始め、紺色やカーキ色の服を好むようになった。周りの友だちも、スケーターのようなファッションをしたりと、その世代全体に変化が出てきたころだった。
もしも自分が令和の時代に女子中高生だったら。黒髪を長く伸ばし、前髪は眉と目のちょうど間くらいの長さで保ち、アイメイクは薄めの色で、目元をキラキラさせているのだろうか。今の10代はカラーコンタクトへの抵抗も少ないようだから、瞳の色だって変えているかもしれない。スマホを使って、TikTokerやらインスタグラマーの真似事もしているのだろうか。楽しそうである一方、SNSトラブルも多くあるようだし、この時代なりの苦労もありそうだ。写真アプリで加工した自分と、生身の自分との違いに苦悩している可能性もある。
韓国アイドルのダンスだって真似しようとしているはずだ。上半身と下半身で別々の動きをするなんて、自分には到底無理だから、早々に諦めているだろうけれど。東京まで一緒に遊びに行った同級生は、ダンスが上手だった。もしも自分が令和の時代に、あの子と一緒に女子中高生だったら。2人で一緒に韓国へ遊びに行く計画を立てているのかもしれない。その時は、あの子の優しいお兄様が、私達と一緒に、韓国まで同行してくれるのかもしれない。NewJeansを聴きながら、安室ちゃんも聴きたくなり、室内干ししたルーズソックスが、なかなか乾かないことまで、思い出す。