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夢のマイカー

運転免許証を持っていない。ペーパードライバーというわけでもなく、私は全く運転ができない状態にある。生まれ育った地元で暮らしているのであれば、これはあり得ないことだ。実家の近くにバス停があるから、かろうじて、バスを利用すれば、生活に困らないのかもしれない。朝バスに乗って駅に向かい、働いて、就業後にスーパーに寄って、バスに乗って帰ってくる。休みの日も、バスに乗って、駅に向かい、電車に乗って、少し遠くの街へ遊びに行く。とは言え、基本的には車は一家に一台、というより、一人一台持っている家が、地元には多い。

地元ではく、今現在住んでいる地域に住み続ける限り、私は運転免許証を保持していなくても生きていける。それでも、こんな車だったら、私だって運転してあげてもいいんだけどな、と少々上から目線で、理想の車を描いてみる。

私の夢のマイカーには、まず、最高時速は50キロしか出ないでもらいたい。いや、30キロにしよう。アクセルとブレーキの踏み間違えは、足で操作する仕様であるゆえに、起きやすくなってしまうのであり、手で操作した場合は、アクセルとブレーキを間違えにくいと、以前、新聞の記事で読んだことがあるから、車の発進と停止は、手で操作するタイプにしよう。その記事は、高齢者用の車についての記事で、高齢者だけじゃなくて、運転に苦手意識がある人にも、歓迎される車じゃないかな、と記事を読んでいて思った。

ボディは、丸みを帯びたかわいらしい形にしたい。fiat 500 や、三菱i、みたいな、コロンとした、角が強調されていないフォルム。大人4人が乗れて、大きいスーツケース1つは入る広さがあるトランクは、あった方がいいな。場合によっては、ツーシーターでも、いいか。

自動運転は絶対に必要だ。特に、駐車場であたふたして、周りの人に迷惑をかけたくないから、自動運転にアシストしてもらって、スムーズに駐車をしたい。タイヤ付近にカメラを取り付けて、子猫が接近しているのもわかるくらい、車の周囲、全方向の様子を知っておきたい。

ガソリンの匂いをかぐと、少し気持ちが悪くなってしまうことがあるから、電気か水素で走ってほしい。電気自動車は走行音が静かすぎて、歩行者の立場からすると、振り返ったらすぐそこに車が迫っていて、きゃっ、と驚くことがあるから、偽のエンジン音があるとよいかもしれない。お手洗いで見かける、音姫のようなことだ。偽のエンジン音は、ジャズミュージックにしたらどうだろう。歩行者が、私の車の存在に気がついていないときは、ビル・エヴァンスの Waltz for Debby で、車の接近をお知らせする。

夢のマイカーを手に入れるためには、夢の自動車教習所が必要になってくる。最高時速30キロしか出ず、アクセルとブレーキを手で操作する車で練習をさせてもらう。夢のマイカーで、高速道路は利用しないから、高速道路で運転の練習はしない。運転免許証の種類は、スロー車限定。

空飛ぶ車にしてしまうと、街の景色を眺めることができなくなってしまう。イチョウ並木の中や桜並木の中を走りたいから、夢のマイカーは、空を飛べる必要はなくて、コンクリートの上を走る仕様にしたい。

イチョウ並木の中を走るのにふさわしい、夢のマイカーに近い車をネットで見つけた。トッポリーノなのかトポリーノなのかわからないけれど、とてもかわいい。

電気自動車、水素自動車、手でアクセルとブレーキの操作ができる車、自動運転、は存在している。あとは、スロー車限定の運転免許証を発行してくれる、夢の自動車学校が現れてくれたらいいのだけれど。

夢のマイカーを運転しているときは、周囲の車も、時速30キロくらいしか出ていない状況にしていただきたい。スロー車限定の街があってもよさそうだ。歩行者天国があるように、新東名高速道路に最高速度120キロ区間があるように、スローなエリアもあったら、なんか全体的に、ハッピーになりそうだけどな。

結論、ヨーロッパに行ったら、スロー車とかスロータウンとか、なんとなく自分が思い描いている画が、そこにすでに存在していそうである。そんな街をのぞいてみたいけれど、遠いなぁ、ヨーロッパ。夢のマイカーについて想いを巡らせていたのに、ドラえもんのひみつ道具の1つ、どこでもドアが、欲しくなってきた。どこでもドアはさすがに、夢すぎる。


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