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ある盗み聞きの記録ー2024/12/10
①
T…PM16:40
P…都市公園
O…二人の対話
「ねぇ」
「何?」
「あの、覚えてる?幼稚園の時にさ、移動動物園ってあったじゃん」
「うん」
「あれさ、あたしめっちゃ怖かったんだよね」
「え、何で?」
「え、怖くなかったの?」
「いや、あたし好きだったけどな。普段動物園行く機会なかったし」
「え。×××すごいね!あたし毎回泣いちゃってた。」
「えー、かわいいじゃん。」
「×××はどこの移動動物園だったの?」
「え、分かんない。でも地元のところだったんじゃない?」
「×××って地元どこだっけ?」
「あたしずっとここ。」
「てことはあそこかな。」
「わかるの?」
「いや、多分ここらへんだとヘルプで行ったことあるな~て思って」
「?」
「あっ、…冗談冗談。あたし移動動物園好きだからさ、たまに見に行ったりするんだよね」
「でもさっきヘルプって。」
「移動動物園界隈は見に行くのをヘルプっていうんだって!」
「へー、何か面白そう。今度あったら連れてってよ。○○○と■■■も誘ったら来るかな~?」
「どうかな~」
「あ!あたし今日塾いかなきゃなんだった!やばい!電車でちゃう!ごめん!もう行くわ!バイバイ!!!!!!!!」
「ばいばい~」
②
T…PM16:50
P…都市公園
O…電話
「はい?△△△ですが。」
「はぁ?」
「死ねよ、てかお前誰だよ」
「うっせぇ。死ね。」
「しつけぇ!…お母さんか…危な…!はい、△△△です。」
「はい」
「はい、はい」
「はい、15の11時ですね。はい。移動動物園。人間展示ですね。はい。何人が宜しいでしょうか。17人。了解です。何歳が良いでしょうか。はい。16歳、はい。XXXですが、私がヘルプで出ても宜しいでしょうか。はい。私は大丈夫です。XXXでも可能ですが、まだ経験不足なので、今回の様な場に出すのはまだ怖がるかなと思いまして、はい。承知いたしました。はい。ありがとうございます。失礼いたします。」
「………」
「×××のやつ、どうしよ。」
③
T…PM16:52
P…都市公園
O…二人の対話
「15の11時に17人だってよ」
「これって規模観でいうとどれくらい何ですか?」
「うーん…場所にもよるが…まぁ…中~大程度だろうな。」
「???さんが見た中で一番多いのが何人だったんですか?」
「確か25人とかだな。」
「あ~そう考えると多いっすね。」
「ま、こっちのやることはきまってんだ。量は問題じゃねぇ。」
「そっすね。」
「にしても、健気っすね。さっき電話してた子。」
「以外とあんなんばっかだぞ。人間展示に出てる奴。」
「マジすか?ヘルプだったらお金貰えないんじゃないでしたっけ?」
「何でかはわかんねぇけどよ…。こっちが心痛むよ。」
「まぁ、先輩の言う通り、こっちは止めるしかないっすね。」
「ははっ、そうだな。」
「てか、15の11時なので、余り時間が無いですね。他部署の共有とか上にあげなくちゃいけない事ってありますか?」
「そうだな。電話してた子は公園の外で捕まえて、話聞く手筈だから、お前それに参加しろ。取り調べ立ち会った事ないだろ。いい機会だ。部署の共有とかは、組織犯罪対策部の¥¥¥って奴が俺の同期だから、そいつ通したら早いだろう。上にあげるのは俺がやっておく。」
「了解です。」
「これはお前の手柄だ。あの女が、ここで仕事の電話をする習慣見つけたのはお前だからな。」
「ありがとうございます。」
「でも、移動動物園て利益率悪いのに、何でやるんですかね。」
「考えてるだけじゃ、止められんさ。」
「あっ、電話の子移動し始めました。」
「頼んだ。西口まで連れていってくれ。車回してくる。」
T…PM16:55
P…都市公園西口
O…独白
「あんたたち何?痴漢!警察よぶから!」
「は?」
「有り得ない!あたし関係ないから!知らない!弁護士呼んでよ!黙秘!黙秘するから!」
「待って!お母さん!お母さん呼ぶから!」
「だから知らないって!うるさい!死ねよ!ホント最悪!」
「…何で繋がらないの。」
「もっかいかけるから!離れて!触んないでよ!」
「なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで」
「番号は間違ってないし、えーと、えーと、何で。分かんない…」
「……」
「あたし何もしてない…何も悪いことしてない…何で…」