現状を確定させ予測する
寒くてトレーナーを引っ張り出しました。
補助金があるから良いじゃないかとよく聞きますが今の牛飼いさんでそう思ってる方がいますでしょうか?あれは雑収入に入りますしもちろん税金を支払う類いの収入ですから基本的にボクはあまり喜んではいないです。
そもそも肉牛は100万円以下は免税です。これは100万円以上で売買しなければとても所得税なんか支払えるものではないという事です。
今の我々は商売に例えると仕入値で右から左に渡しているようなものです。殆どは仕入値より安く販売しています。
この世には様々な商売がありますが仕入値より安く販売して補助金があるからトントンですなんて商売があるでしょうか。
うどん一杯だって原材料費に販管費や利益を合計した価格で販売しています。我々とうどん屋さんが違うのはうどん屋さんには価格決定権があります。うどんは明日から競りでお願いいたしますとか言ったら皆辞めてしまいそうです。
もちろん競りにも良い面があります。際限無く相場が上がる事があります。それと全部売れます。売れ残る事はあまりありません。
では牛に値札をつけるのは現実的かというとかなり難しいと思いますしそれが正しいことにも思えません。
しかし現実は我々は競りに苦しめられています。牛が増えすぎているからです。やっと新聞に載ったくらいです。
問題は牛を増やすのに補助金を使った事です。減らさなければいけないのですが増やすのに補助金を使って減らすのに補助金を使うのかという事です。これは国民感情からしても難しいと思います。
そもそもどうしてこんな状態になるまで気付かなかったのかという問題があります。見てみぬフリというよりもボクは本当に分からなかったんだろうなと思っています。
トップに貼り付けているのは人口動態統計グラフです。殆どの企業はこのグラフを必ず見ます。これ程正確なグラフは他にありませんしこれを基に戦略を立てます。
このグラフを見るだけで未来を予測する事が出来ます。どう見ても殆どの企業が存続出来るような気がしませんよね。それを踏まえて戦略を立てる訳です。
先ほど牛がいったいどれ程いるか分かっていなかったなと書きました。無計画に牛を増やした罪は消して軽くはないです。補助金があるからなんて軽々しく言うなら所得税が支払える位の保障をして然るべきでしょう。
焼肉屋さんも精肉店も食肉卸しも肥育農家さんも繁殖農家さんも誰もが苦しめられています。誰も幸せではありません。我々は365日営業する仕事です。他人より儲けて当たり前なぐらいです。
ボクはとても不思議なのですが増やせと指導した方々はどうして責任持って増えた分を売らないのでしょうか?まあそんな事言ってもしょうがない。売る事が何より難しいという事はボクは知っています。
本題なのですが牛が増えすぎている現状で淘汰は現実的ではありません。屠畜場はキャパ超えてるんじゃないでしょうか。これから年末にかけてそれは加速していきます。
そうなると淘汰は現実的ではありません。
牛の一番の問題は現状認識が甘いという事です。今日、牛が何頭いるのか全ての関係機関が同じ情報を共有されていないだろうなと思います。まあそれも大した問題ではない。
一番大事なのは今日、いったい何頭の牛がAIやETをされてそれがどうなったのかという情報が全く無い点です。
今日AIすれば285日後令和7年7月31日に産まれる予定です。その子牛は令和8年の4月市場に上場され肥育農家さんから令和9年の年末~令和10年の2月位には出荷されます。
最初のAI、ETがリアルタイムに確認出来ればその時点で全ての未来予測が出来るのです。
これがどれ程の恩恵があるかは商売人なら分かります。ちょっと足りない状況を作り出す事が出来ます。全く足りない状況になるなら酪農家さんに協力を依頼して移植を増やしたりも出来ます。
最も重要なのは繁殖農家での生産調整です。生産性を上げましょうは牛が足りない状況の場合で今は緊急事態です。時にはAI、ETを制限かける事も致し方ない状況です。
今の畜産業界は数値がでたらめ過ぎます。本当に認識していたらこのような状況になっているはずが無いのです。
リアルタイムに正確な数値を確定出来る取り組みや仕組みが必要です。
その協力やAI、ETが出来なかった牛に対する保証や補助金はボクは適切であると考えます。
今の牛の頭数から考えるとあと1年間この価格は続くのではないかと思いますが皆さんこんな状態があと1年間続いても大丈夫ですか?施策の不手際で全員が共倒れなんてボクは全く納得がいきません。
ボクは嫌われてもなんとも思わないのでこの辺の仕組み作りはやり遂げたいなと思っています。