真っ平ごめん
ヒラメとカレイという事務所猫がいるのだがカレイは人懐っこいのでボクが横になると顔面に乗って来る。放り投げるとお腹出してずっと寝てる位に能天気な猫だ。
ヒラメは滅多に甘えて来ないのだけど何かそういう気分になった時にカレイみたいに顔に乗って来たりする。いつもの調子で重たいんだよと手を出すと手に穴が空く。凶暴だ。
だからボクはこの顔に乗っているのはヒラメかカレイかをよく確認して次の行動に移すようになった。危険予知は経営者の重要な才覚だ。
年末は変則的になり社会保険料やらの引き落としが年明けになったりする。ボクはどうせ引くならとっとと年末に引きやがれと思っているのだが経営者を苦しめてやろうとヤツらは正月明けに引き落とす(笑)。お正月の間に大丈夫だよな?と何度か口座の残高を確認した。
世の中にはこのお金の心配をしないで経営に集中すべきだという風潮があり一理あるなと思っている。しかし二理、三理は無い。
ボクもお金の心配をしないで経営したいなと考えた事はあるがボクの性格や経験上それは不味い事態を引き起こすだろうなと思っている。
経営者は慎重さと大胆さが必要でそれは事業戦略と資金戦略に行き着く。どちらが欠けてもいけない。働いてくれている従業員さんやお客様に対して経営者が出せる誠実さというのはこの二点だけだとボクは思う。経営者はこれ以外の事はあまり出来ないしまた、する必要は無いと感じている。事業戦略で従業員さんとお客様に未来を感じて貰いたい。その為には確固たる資金戦略があってそれは可能となる。
ボクは未来への投資はするが現状を変える為の投資はしないようにしている。それは経営者が我慢すれば良い事でボクが面白おかしく過ごす為に会社があるのではないと強く感じている。電子レンジは3年目にして清水の舞台から飛び降りる覚悟で買った。
起業の話しを前に書いたが我々の仕事(IT)で売上一千万くらいだと経営者の給与は0だ。持ち出す方が多くなる。二千万円位になるとコンビニのアルバイトくらいは貰えるかも知れない。売上が三千万円を超えて来ると人並みの給与となり五千万円くらいの売上でシャッチョーさーんって位にはなる。
製造業や小売業だと最低でもその10倍程の売上があって同水準くらいになる。売上は上がり易いが利益率は低い。しかし経営に於いて売上が上がる時がとても危険でありそれこそ資金戦略が甘いとそこで一気に黒字倒産という事になる。
先日、USスチールとJFEスチールがガチ切れプレスリリースを出した。USスチールは瀬戸際なので分からなくは無い。JFEスチールはTOYOTA(最大取引先)を提訴したりして最近とても面白い。JFEにしてはとても優秀な経営者がトップに立っているという事だなと感じている。彼らは未来へ投資をしている。どんな業界でもそうなのだが余程特殊な技術を持たない限り業界下位の企業に価格決定権というものは無い。上位企業が余程間抜けで無い限り戦略的に下位の企業を締め上げるのは実は簡単に出来る事だ。
JFEスチールの現在の経営陣は優秀だ。当然他の手を打つと思うがこれは下手すると10年後にJFEスチールが倒産する可能性が出て来たように感じる。この危険な状態の時にアホを経営者に据えてはならない。それがどれだけ危険な事かはボクでも分かる。トランプやバイデンがそこまで考えているのかは分からないがJFEスチールを失う事は日本の産業の危機であると政府は認識しているのであろうか。
うちの会社は特殊な技術で価格決定権がある状態だ。これは本質を理解していないとなかなか辿り着けない領域なので同じものを作る事はかなり難しい。倍に値上げしたらボクも明日からシャッチョーさーんなのだがボクの欲望を満たす為の値上げはしないので安心して欲しい。ボクは牛飼いしているのでそんな暇は無いのだ。価格と言うのは価値でもあるが最近は社会情勢や賃金問題などそれ以外の要因が絡んで来ている。優秀な人材や私利私欲に走らない経営者の資質がある人なら投資は惜しまないつもりだ。
年商3億位になるとうちだと10名程雇用出来るかなと考えている。
お金がないのは首がないのと一緒と言うのはよく言うたもので銀行さんなんかはさらっと検討しますで返事もしなかったのが車買いましょう、事務所建てましょうとか言うようになってきた。あの時の怨みをとかはボクは思わない。彼らには彼らの仕事のやり方というものがあるだけでそれを非難するような事はしない。他人を怨んだり羨んだりして生きていくのは真っ平ごめんなんだ。
全ての責任が経営者にはあり誰も責める事は出来ない。
従業員さんを雇用してボクはその辺が変わったなと思っている。ボクは他人を成長させようなんておこがましい事は思わないが自分を変える事は出来たなと思っている。他人を変える事はなかなか出来ないが自分を変える事は出来る。そういう心持ちでこれからも過ごしたいと思っている。
我々の仕事は製造業と比べてあまり投資は必要としない。だからこそその殆どは自己資金でやるべきだと思っている。やりたい事があるならば資金の9割は自己資金でやるべきだ。
会社を危険な状態にさらさないという事が従業員さんやお客様を守る事に繋がる。だからボクがシャッチョーさーんって呼ばれ出したらコイツも苦労してるからこれくらいはしょうがないかと思って欲しい。