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生産財マーケティングの基本①  生産財にマーケティングは必要か?

消費財と生産財

食品や化粧品などのように個人や家庭で使うために購入される製品やサービスを消費財と言い、生産の過程で使用される製品やサービスを生産財と言います。
同じ製品でも個人が家庭用に購入する小麦粉は消費財であり、パンメーカーがパンの製造で使用する小麦粉は生産財となります。
ちなみに、自動車の就業者数で見ると以下のようになり、実は生産財メーカーが圧倒的に多いことがわかります。
自動車製造業(二輪含む) 19万9000人
自動車部品製造      67万人
自動車本体付属製造     2万1000人
資材関係(鉄鋼、非鉄等) 50万1000人

規格品と受注品

消費財は売り手側が企画した製品やサービスを販売しますが、生産財では製品やサービスは規格品と受注品の2つに分かれます。
規格品は売り手である生産財メーカー側が製品サービスを自分たちで企画して製造するもので、受注品とは顧客の要望に応じてその顧客向けに販売するものです。
同じ製品でも規格品と受注品の2つを持つことがあります。
一般的には、受注品は顧客の数が少なく大量に注文されるものであり生産財メーカーが直接販売します。
安定的に生産できる反面、製品の仕様や機能は顧客側が決定するので、高い利益はあげにくいといえます。
規格品は、注文数が少ない顧客が多数いる場合や案件がいつどこで発生するかわからない場合など、生産財メーカーが自社の営業マンを使うとコスト高になるので、商社などの流通チャネルを使って販売します。
規格品は当たれば儲かりますが、当たり外れもあり生産財メーカーにとってはリスクがあるともいえます。
従って、生産財では規格品よりも受注品がメインになっています。

生産財メーカーの体質

格品か受注品どちらを主体にしているのかにより、生産財メーカーの体質は大きく変わってきます。
マーケティングの第一歩が「誰に何を売るのかを決めること」とすると、「誰」という顧客も決まっているし、「何を」は顧客が仕様や機能を決めてくれます。
消費財は何を作るのかという「WHAT」が重要で、生産財はどうやって作るのかという「HOW」が重要になると言えるのですが、そうなると生産財にマーケティングは必要なのかという議論になります。
極論を言えば、大企業の下請けに特化しそれ以上望まないのであれば、マーケティングは不要です。

生産財マーケティングとは

では、生産財におけるマーケティングとはなにか?
規格品を作っているのであれば、誰に何を作るのかを考えるということでマーケティングは必要となります。
ファクトリーオートメーションの総合メーカーであるキーエンスはこの良い例だと思います。
基本は、顧客の問題解決ですので、顧客の潜在ニーズに対して次々と新製品を販売する(新商品比率70%以上)、そのために顧客ニーズの収集を行うために直接販売とする、そうなると営業マンの人数が多くなるので営業は効率的な営業活動となるように徹底的に管理する、イニシアチブはキーエンスにあるので価格が高くても売れるので高利益となる(営業利益率55.4%)、一方利益はでいるので年収は高く(平均年収 2,183万円)優秀な人材は確保できる・・・。

では、受注品のマーケティングはどうなるか。
受注品でも、「誰と取引するか」と「どうやったら売り手側がイニシアチブを持つことができるか」の2つが重要なテーマになると考えています。

次回以降さらに生産財のマーケティングを考えていきます。



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