ヒマラヤで聞いた潮騒 -身を焦がす恋への憧れ-
潮騒の浜の 岩かげに立って
潮騒の砂に 涙を捨てて
思いきり呼んでみたい 果てしない海へ
消えた僕の若い力 呼んでみたい
青春の夢に あこがれもせずに
青春の光を 追いかけもせずに
流れていった時よ 果てしない海へ
消えた僕の若い力 呼んでみたい
恋でもいい 何でもいい
ほかのすべてを 捨てられる
激しいものが 欲しかった
潮騒の浜の 岩かげに立って
潮騒の砂に 涙を捨てて
思いきり呼んでみたい 果てしない海へ
消えた僕の若い力 呼んでみたい
むかし、はじめてのネパール旅行で泊まったカトマンドゥのゲストハウス。
アメリカ人やヨーロッパ人も滞在していて、ある日みんなで宿舎のミニバスに乗ってヒマラヤを眺望できるスポットをめぐることに。
経営者は日本好きで日本語も操るネワール系・タカリ族のご兄弟。
車内に延々と流れていたのが小椋佳のファーストアルバム「彷徨(さまよい)」。
しばらく日本を離れていたわたしには、はじめて聴く曲ばかり。
虚しく過ぎていった青春を偲ぶ楽曲が並んでいた。
これはアルバムの最初の曲、「しおさいの歌」。
もう若くはない今の自分にとって、
身を焦がす恋を知らぬままに至った自分にとって、
詞があらためて心を揺さぶり動かす。
老いらくの恋でもいい、だれからどう見られてもいい
激しくひとを恋したい、愛しぬきたいという衝動にかられるのだ。
眼前に屏風のように聳え立つヒマラヤ山系の威容
人間界の事象をはるかに超越し
この世の景色とは思えぬくらい 雄大で、荘厳で、静謐で・・・
いまも脳裏深くに焼きついて離れない