月日
夜明け切らない街に雷一つ
おへそに落ちたかもしれない
気になったが、すぐに眠気のしっぽが顔を出し
そして、猫のようにくつろいで犬と眠る
空が絵の具の水色で、風が濃淡を作り出す
雲はせかされて、海を渡る
足元の水溜りから、2匹の黄金色の蜂が飛び立つ
雷が空へ還ってゆく
*
美しいものの話をしよう
そんなものわからないって?
怒らなくたっていいだろう
さて、始めよう
憂いをおびた孤独を知っている人の笑顔
犬と同じ夢を見ること
雨上がりの水溜りに
空が映ること
緑のある道を行くこと
2つのカップに湯気が立つこと
時間を忘れて夢中になること
すらりと年を取った人の後ろ姿
食事に手を合わせること
自分の足で歩くこと…
日常の何気ないもので良い
しかし、それは奇跡である
君はそのままでいい
ただほんの少し心に風を通して
そうすれば、目に映るものに
色があるはずだ
*
雨上がりの陽に、香る緑
雨粒は世界に色を思い出させ
街中にはカラフルな落ち葉が遊び
樹から落ちた柘榴の実は生々しく
雲は嘘のようにながれる
高架下から見上げる空は
僕に宇宙を信じさせた
何者かに生かされている、と。
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