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【2024J1第33節vs札幌(H)レビュー】カオスとバグ


1.はじめに

 ガンバの至宝・宇佐美貴史に泣かされました。 

 ロスタイムに2ゴールの逆転勝ち。ガンバがロスタイムに複数得点で逆転勝ちしたことが過去にあったでしょうか?わたくしの記憶にはございません。

 くそ試合のダービーから中2日。ガンバの選手たちはリバウンドメンティを見せてくれました。

 あっ。ちなみに5秒で読めるダービーのレビューも書いております。

 10試合ぶりの勝利です!
 7月14日の鳥栖戦以来の勝ちです!!
(ちなみに天皇杯で湘南と広島には勝っています。あしからず。)

 それでは、札幌戦のレビューといきましょう。

2.ミシャ式は苦手?

2−1 スタメン

 中2日のガンバのスタメンです。

札幌戦のスタメン

 ガンバは5人の入れ替え。半田→岸本、鈴木→美藤、ウェルトン→山下、アラーノ→福田、宇佐美→坂本。

 前節のダービーでDFラインの4人にハイプレスをかけられると、にっちもさっちもいかなくことを露呈したガンバ。ミシャ式のマンツーマン守備をどのように攻略して前進していくのかが、今節のキーとなります。

2−2 ミシャ式の守備(マイナーチェンジ)

 札幌というかミシャの守備はマンツーマンです。こんな感じで役割を決めていました。

札幌の守備

 ただ、セレッソのようにハイプレスをかけるわけでなく、ガンバのSBに対してはボールが渡ってからプレスをかける感じでした。なので、ダービーのようにSBでハメられるようなことは、そんなに多くありませんでした。

 これは、残留争いをしていることが影響しているのかと予想します。前への守備で剥がされたときのリスク(失点)を避けているのでは、と私は思いました。

 また、以前の札幌ならばボールを保持すると前線に5人を配置し、WBへの対角のサイドチェンジからISHがポケットを取りまくるが定石でしたが、ガンバとの試合では前線に5人並べることもISHがポケットを取ることもありませんでした。

 残留するためにミシャ式の守備はマイナーチェンジをしている印象でした。

2−3 ガンバの前進

ガンバの前進

 ガンバは上の図のように、レイオフで前進するプランを用意してきました。坂本が最前線からライン間に落ち、岸本からのナナメのパスをダワンに落として前進。前半の9分と29分に用意していたプランできれいに前進することができました。
 
 つまり、坂本がライン間で壁になることで前進です。

 この他にもロングパスで前進もできていました。福田がデスマルケ(マークを外す動き)で対面のCBの裏のスペースでボールを受けて前進。良かったのが、2種類のデスマルケを使い分けていたこと。直線と斜めを相手と駆け引きして使い分けることができていました。

 デスマルケは個人戦術に分類されているようで、たぶんですがスペインサッカーの教科書にも載っているでしょうし、小学生年代から叩き込まれている基本の1つだと思います。

福田のデスマルケ

 前進して敵陣内に入ったガンバは黒川がISH化となって、ハーフレーンでプレーをします。山田がマーカーの馬場を引き連れてスペースを作り、そのスペースで坂本が黒川からのスルーパスを受けることでチャンスメイクできていました。3人めの動きってやつですね。

スペースを作る動き

 マンツーマン守備をうまく利用したスペースの作り方です。この場面以外にもダワンがミドルゾーンから前線に飛び出し、ダワンがいたスペースを山下が落ちてボールを引き出し前進する場面もありました。

 まとめると。
● 坂本が壁になってレイオフで前進
● 福田が2種類デスマルケで前進
● 味方のためにスペースを作って3人めで前進

2−4 ガンバのボール非保持

 前述しましたが、札幌はボールを保持したとき、以前のように前線に5人並べる・ポケットを取る・ドリブルでPA内に進入はありません。札幌の前進はサイドでひし形を作って前進です。

札幌のひし形

 CBからWBにボールを渡し、WBから裏のスペースへSHを走らせる。SHがライン間に立ちCBからボールを受ける。WBもSHもガンバに捕まっていたら、CB→WB→DHとDHを出口にしてプレス回避を設計していました。

 ただ、ガンバのスタメンの選手は裏のケアと球際の強度を出せる選手が多かったため、 札幌に決定機をほぼほぼ作られることはありませんでした。

3.カオスとバグ

 試合開始からボールを保持できていたガンバでしたが8分に失点。福岡が自陣深くで札幌の白井にボールを奪われゴールを決められました。またもや元ガンバ選手に恩返し弾を献上。

 失点直後にはベンチから宇佐美が出て選手たちを鼓舞する姿が見られました。

 時間は流れて、試合は残り10分。

 この時間帯からは、選手の立ち位置や戦術はなくカオスの状態に。宇佐美・倉田がボールに寄ることで、良い立ちをとるなんて毛頭ありません。選手一人ひとりが個人で何とかしてやろうとしすぎてました。

 現地でわたしは、
 「なんで倉田やねん!鈴木徳真やろ!!」と叫んでました。。。
 倉田選手すみません。

 ダワンにいたっては、めちゃくちゃ狭いスペースでシャペウをしてボールロスト。
「何してんねん!取られるに決まってるやろ!!」と、叫んでいました。。。
 ダワン選手すみません。

 超絶カオス。

 しかし、選手から勝利の執念は見られました。ボールをロストしたら必死で取り返すし、パスがずれても体を投げ出して味方につなぎました。

 ロスタイムは5分。
 90+4分にPKで同点。

 パナスタのボルテージは最高潮。
 
 90+5分にカットインからウェルトンの強烈シュートも枠外。
 90+6分に倉田がルーズボールをスライディングで味方につなぐ。
 90+6分に中谷がもも裏をつりながらもタッチライン際で味方にパス。

 90+8分に超絶バグ発生。

 半田からダワンへ。ダワンが半田に落としたパスがずれたが、半田が必死に足を伸ばしてスライディングパス。山田がワンタッチで宇佐美へ。

 宇佐美が対面の大崎のスライディングをかわしてドリブルでPAの内へ。岡村のスライディングを見透かしたように切り返し、足を振り抜くとボールはゴールど真ん中に突きささり逆転。涙。。。

 もう戦術とか立ち位置とか関係ない。
 勝利への執念。勝ちたい気持ちがあればええんですよ。

4.おわりに

 長年ガンバを応援していますが、ロスタイムに2ゴール逆転勝ちは記憶にございません。(2回め)

 劇的。
 これ以外の言葉が見つかりません。

 この試合で、改善するポイントはたくさんでました。カオスとバグで逆転できたことが成功体験としてスタンダードにならないことを願います。より論理的に、相手とボールと試合を支配するガンバであってほしい。幸いにも次の川崎戦まで約2週間のインターバル。休息と改善でリーグ3位と天皇杯を取りに行きましょう!

 ガンバれ!ガンバ大阪!!
 ではでは~。

 

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