意外と少ない松葉杖指導の具体論

完全免荷の松葉杖を練習しようとしても、転倒リスク高く、どのように指導すればいいかわからない、という声を後輩から聞いた。思い返せば自分も最初は基本的な使い方以外の指導方法が分からず苦労したのを思い出した。

あまり下手な方は平行棒でまず練習してから、という意見も多いが平行棒で練習していれば松葉杖ができるようになるか、という疑問は残ると思う。


平行棒と松葉杖の間の指導について、思うことを書いていきたい。


松葉杖で下手、と一口で言ってもその要因はたくさんある。バリエーションも多いし、いくつもの要因が重なっていることも多い。

闇雲に集成するより、優先的に対応すべきもの順、というものもあるはずだ。


まず第一には、免荷で立ち座り、ベッドや車椅子への乗り移り(移乗)が安定しているか、というところ。

免荷の場合の立ち座りや立った状態(立位)のバランスの取り方として、良い方(健側)に体重をかけておく、ということがまず大切だ。

悪い方(患側)は、そもそもつけないから万一、転ぶ場合も考え、若干(6:4程度)健側に体重をかけておくことが安全と思われる。

これは、平行棒や松葉杖に体重をかけるときにもそのまま当てはまる。

健側に体重をかけた立ち座りのポイントは、健側の手を使って座面をおして、やや健側に屈みながら立ち座りをすることだ。体を起こしたあと、バランスを崩しても健側の手で何処かにつかまれば元の姿勢にもどれる。松葉杖などを持つ場合でも、患側の手で松葉杖を持っていてもこの方法は可能だ。

移乗にもこれは応用が効き、健側の手で座面を押して健側に屈んだままお尻だけ向きを変える。向きを変えつつ健側の手で行き先につかまっておけば到着しても安全に座ることができる。まずはここまでを練習していただく。


次に、松葉杖歩行、といきたいところだが、ここからスムーズに進まないこともある。

もちろん松葉杖の高さは基準に従い合わせる必要があるが、それでも上手く行かない場合がある。


座面からお尻が離れた(離殿)後の問題は大きく分けて2つ。体が伸展したあとの立位バランスの問題、平行棒や松葉杖を手で押して体を浮かせて(push up)前進する際の推進力の問題である。


体が伸展したあとの立位バランスの問題から述べていく。歩く際の立位バランスとしては、じっと立ったまま片足で立ち続ける、というより片足で立ったまま手を後ろから前に移動させ平行棒をつかむ、松葉杖を移動させる、というより場面が多いハズだ。

ということは、片足立ちを長時間できるようにする、というよりは片足立ちで松葉杖や歩行器を前後に移動させる、という練習が必要と思われる。ここで、猫背となり前に突っ込む、腰を沿ってしまい後ろに尻もちをつきそうになる、足首がぐらつき横に倒れそうになるというふらつきが出ることがある。

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