月と目玉焼き
DEATH TAKES A HOLIDAY
観に行きました
月が満ちるまであと2日の11月14日に観に行きました。ちょうど良いタイミングだと後で気付きました。
残念ながら宝塚版は観ることは叶わず、ようやくの観劇。全くの知識なしで演出家と主演を信じて取りました。
場所も3階で全体がよく見えて演出も見えてとっても良かったです。
ファンタジーな世界観に耐えうる役者の説得性
特に今回のキャストと演出と全てが合致したのはひとえに人外を演じて耐えうる主演の小瀧望さんの圧倒的な華やかさにあったと感じる。
死神で出てきた時のおどろおどろしい烏のような衣装に加え、声色も低く低く会場を響かせる歌声。
サーキ皇子の時のキラキラ軍服で長い手足を見せて、更にサニーサイドアップ🍳などの人間の営みに目を輝かせているお顔がとっても人々を惹きつける魅力となっており、最後のロングコートでは背が高いので着せられている感が皆無でさすがアイドルと感じ入った。
また、グラツィア役は美園さくらさんverの回のみの観劇だけになりますが、驚きからの胸の高まりそして、サーキ皇子に出会って抗いきれない感情や環境に翻弄されながらも自分の信念に従ってひたむきに向き合う芯の強さが見えて、ただの愚かな娘ではなく最後まで自分が選び取ったという説得力に繋がってたと感じます。ドレスもどれも綺麗で特に一幕最後の泉のシーンのドレスが好きでした。
役者陣を後押しする演出達
舞台装置
今や様々な舞台で使われるプロジェクションマッピングなどの映像たち
こちらもノイズにならずに支えとなっていた
特に死神の休暇という「Death takes a holiday 」という説明が文字として見え、休暇を取る理由も同じように現れた所が良かったです。
モーリー・イェストンの楽曲達
充分にファントムでとっても胸に響く曲達を知っている人にとっては本当に蛇足になりそうですが、明るくアメリカンポップスを感じたり、パリのレヴューのような曲と、そして、主演の大ナンバー等様々な曲の幅があり歌いこなせる役者達と、聞き馴染みがあってどこか親近感の沸く曲達が素敵でした👏
特にファントムが好きな私は女性から懇願されて苦悩する男性というのが好きで、あぁ!最高にミュージカルだ!!ってなりましたし、そこからの1人での決断、気付き、から向き合いがあぁよく知っている素晴らしい曲だ…間違いない…となりました。
モーリーイェストンの曲は素晴らしい、となり、歌って踊る役者達の素晴らしさが引き立ってました。
考察という名の蛇足
何も事前知識も入れず、ではあるので、周知の事実などありましたらご容赦ください。
死神のモチーフは西欧はやはりカラスが主軸だと再認識しました。古来よりカラスは死骸を食べると言ったり、ギリシャでは元々白いカラスから告げ口をしたという罪で黒に染められたという逸話などから不吉な象徴という潜在的なものを感じました。
冥府へ渡る船も烏の羽が装飾されており、最後の2人のシーンは新しい道ながらもグラツィアは死に、2人での死への旅だと思いました。
演出が宝塚所属だからでしょうかね?
とっても私には既視感のある演出でしたね、例えば…
・過去のお話を遡り、青年と少女の悲しい物語でのダンスで魅せる話、少しでもその物語に近付いてくると今のグラツィアと絡む演出
・冥府へと渡る舟に乗る姿はファントムの地下を移動する舟に似ており、エリックは地下に移動する度に死という世界を渡っているのかも知れないと相互に納得しました。
・上記と同じく最後、2人が舟に乗って新しい世界へと旅立つ姿はまさに死が祝福であり、愛の形であったエリザベートを彷彿とさせました。(ドライアイスもりもりだし、舞台の斜め後ろに上がって行く感じもね)
見ていて相違点や新たな解釈を自分の中で得ました。
最後に
あまり外部の作品を観に行かない私にとっても、すごく素敵な演目だと思います。これはWEST.の小瀧望さんが演じる死神/サーキがとてつもなくハマっており、ここの事務所と宝塚の人はやはり人ではない概念を人間味を残しつつ演じられるスキルがあるのだと強く感じました。
好きな所を語りますと、
タップダンスがだんだん上手くなってニコニコしている所、グラツィアの父親との問答で、自分の1日でも、1時間でも、1分でも長く居たい。という気持ちに気付いた上でさらに流れている涙で再度気付かされる所、最後の死神の姿ではあるが、満たされた微笑みが素敵でした。やはり、今後もミュージカルに出てくださいのんちゃん!
生で観れたからこその迫力があり、これがやめられない世界だなと思いました。
満月の夜、人間が届かない遠くの世界へと旅立った死神に想いを馳せながら、死神が望んだ1日、1時間、1分でも生きたかった苦難に満ちているがをたまにある喜びがある世界に感謝をし、明日のサニーサイドアップを楽しみにしながら眠りにつきたいと思います。
Buona notte🌕