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魔導人形は深き者どもの夢を見るか⑦

膝から崩れ落ちた体を支えるように、すっと両腕が差し出される。
グズグズにくずれた肉体から、あの異臭が放たれる。
☓☓は一切のためらいもなく、それを支えようとしている。
「海が近くなればなるほど、記憶が、蘇っていく気がして」
蜥蜴のような鱗に全身が覆われた上半身と人間の下半身を併せ持ち、耳元まで口が裂けた異形の姿。
「ここは深き者どもの棲家だった。ようやく正しき世界へ繋がる道が開けたのに」
「この世界でも、先生は私の違和感を受け入れてくれた。信じてくれた」
「それは、君の見ている夢の一部に過ぎない。なぜ戻ってきた」
「正しい世界を見てきた。でもそこには貴方みたいな人は一人もいなかった」
「当たり前だろう、こんな化物がいる世界なんて」
「でも、初めてこの違和感は受け入れることができた気がする」
「正気じゃないな」
「ここではない遠い世界に、いつでも行きたいと願っていたけど。貴方が居ない世界なんて、つまらないもの」
そして☓☓は、大きく羽を広げ本来の口ではない別の器官を使って私を捕食した。
薄れゆく意識の中で、私は私ではないものの一部になったのだと知る。


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