魔導人形は深き者どもの夢を見るか⑤
水路から出た後は、木製の格子のある部屋に出てきた。
☓☓は、現実世界に戻れただろうか。
それとも、あれは出口ではなく別の世界への扉なのか。
木製の格子は外側から錠前が取り付けてあり、中には顔の無い複数の鳥達が黒い2枚羽を羽ばたかせている。
また、吊るされた不気味な荷物から緑色の液体が染み出している。
できるだけ近づかないように入ってきた通路側の壁を背にして進む。
こちらには今の所は、無関心なように見える。
目や鼻がないので、こちらを知覚していないのか。
羽ばたきで、埃が舞っているのでただでさえ薄暗い部屋の視界が悪い。
なんとか、別の通路に続く道を見つけ格子のある部屋から遠ざかる事に成功した。
新しい通路は、暗くて足元が全く見えない上に、ゴツゴツとした起伏が感じられた。
明かりの代わりにしようとスマホを取り出す。
地下なので通じないと思っていたがアンテナが不安定ながら圏外から圏内に入った事を知らせていた。
急いで✕✕に電話をかけるが、コール音のみで出る気配はない。
そもそも、異世界にいる人間に連絡ができるのかは分からないが、どこかには繋がっている手応えを感じられた。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?