湾岸highway

中学3年。冬。
漠然と将来に不安を抱え、友達の家と実家の往復、非行と怠惰な生活に甘んじていた。
そんな中、周りの同級生は受験や将来に向けて俺の知らないところで努力していたんだろう。
その当時は仲間内で空前のバイクブームで友達の家でキリンという走り屋漫画を暇さえあれば流し読んでいた。
そんな時この曲は安いドンキで万引きしてきた様なロークオリティなスピーカーから永遠に流れ続ていた。
そんな俺らは遠くない未来、深夜の湾岸線を好きな女を隣に乗せて猛スピード駆け抜ける夢を思い描いていたんだ。

それも気づけば高校を卒業し、二十歳を迎え悲しくもそんな思いもうっすらと消えかけていた。
現在30歳を目前にしたこの歳でもこの曲が流れ出すと不思議と胸が躍り出す。
半端なクソガキだったあの頃の自分の気持ちが蘇る。
人生色々経験してきたつもりで、本当はまだ何者にもなれていないのに。ダセえと思われても結構だ。
この曲はそんな半端者にいつまでも夜に輝くテールランプを追いかけて、生きてゆきたいとそう思わせてくれるのだ。

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