埼玉が生んだ頑固な傑作
そういえばここ半年くらいエゴンシーレの展示が開催されているなあと、色んなメディアで目にする度行っておきたいよなと思いずっと頭の片隅に引っかかっていた。
なんだか足が重く出向いていなかったが、先日ふと気付くと展示期間終了間近になってしまっていた。。
催促された様に足を向けたのは新年度も始まった四月上旬の事だった。
その日の上野は暴風で上野公園の桜は微かに春色を残してはいたけどもうほとんどが散ってしまっていた。それでもまだ桜祭りと題して屋台やキッチンカーがまばらに沿道を囲っていた。
公園を少し抜けて東京都美術館。
あまり見た事ない地下にある入口へと短いエスカレーターを降りる、入口を入ると赤茶のレンガ調の壁面に古びたホテルのロビーの様な趣ある館内は春休み中の学生や海外の観光客や中年層などで賑わっていた。
ウィーンが生んだ若き天才。
天才的な絵画センスと歪んだ性と奔放な恋愛観
周囲に理解されない孤独と犯罪を憎み社会に対する反骨心
疫病による早過ぎる死
繊細な色使いと強さと不穏さと妖艶な目線の自画像
色欲と可憐さが同居するヌード画
一見平穏そうでどこか寂れ空虚な雰囲気の風景画
身近な生と死、理解されない社会への反骨心
彼はサイコパスでもなんでもなくて、最も欲に忠実で人間らしいと思えた。
10代から20代であまりにも多くを吸収し生み出して、28年という短か過ぎる彼の人生に目一杯の自己愛と自己の不安定さを感じた。
戦争や抑圧された時代、がむしゃらにもがき苦しみ答えのない自問自答の日々を繰り返すなら人の一生は20代で終わってしまえばいいとも思えた。自問自答の答えが見つかるのは20代じゃないのかも知れないけど。
疫病で亡くなった彼は幸せだったのか不幸だったのか最後まで分からなかった。
まあでも自己愛なら俺も負けないけどなエゴンシーレ。