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ダライアス達の失敗2

(3)ダライアスⅡ

私はダライアスⅡに当初、グラフィックで参加した。
最初の頃は1秒、60分の1というアニメーションに面白さを感じ
中ボスピラニアの歯の動きなどに力を注いでいた。
プレーヤー~周りもグラフィックはやったが、核爆発を含む仕様は
H.F氏となる。核爆発に関してはプログラマーから
表示数制限(一度に画面に表示できる絵の数制限)がキツイと言われ、
その中で、いかに巨大に見せかけるか?を考案担当した。

正直なところ「逆シャア」でも残念さと驚きを持ったが、映像倫理上
核というのは、ちょっとタブーを覚える。
(逆シャアの残念さに関しては、いつか又、別の機会に)

全体のスケジュールは熊谷分室のプログラムが先行で、キャラクター
の作業INは大きく遅れて入った。

熊谷分室に行くと彼らは□や△のOBJ(スプライト示すタイトー用語)
を使い先行でゲーム構成をはじめていた。
(なんだ?正式な絵が無くてもプログラムは組めるじゃんの知恵を得る)

はじめましての変わりに、こういう16ドット×16ドットの弾の絵が欲しい
と言われ、じゃー今作っちゃうよと短時間作業して渡した。

2回目に行った時は、シルバーホークが飛び、ザコも出て弾も行きかう
シューティングゲームになっていた。
ただ、そのアルゴリズムを見ていて、アニメ経験からなのか?
ポツンと空白地帯が見える。シルバーホークをそのポジションにセット
して手を離した。シルバーホークは無傷でボスエリアまで行く…
「これ、不味いよね?」それがプログラマーN氏との初会話だったか?

ゲームデザインに関して、グラフィックから介入していったのは
核トーチカの開閉によるヒットの有無。それから中ボス、タツノオトシゴ
の変形によるアクセント(キャラ設計コンセプトはキラヒジアに同じ)
それらを認めてもらって雑魚などもグラフィックからアプローチ
した。イベントとして核爆発があるし、BUGを基にしたラスタースクロール
もある。これで充分に思えた。

しかし、分岐マップの作業量は膨大で、中途半端な形でしかロケテストに
出せないせいか?会議ではいろいろな部署、役職視点から
「新製品の刺激性に欠けるのでは?」という結論が出る。

営業視点では2P同時プレイ理想の商品なのだから、1回あたり200円が妥当。
テストに出せば上手いマニアが着くのだから100円あたりのプレイ時間
は伸び稼働時間に対して目標インカム(100円投入数)が届かない。
不満の出どころはいくらでもあった。
それまで多数の機種会議に参加してきたので、やっぱり、そういう
パターンに追い込まれるよね…と納得する。

そこで新規性を持つアイディアを出さないとならなくなる。
とりあえずキラヒジアと軍艦ヤドカリのインパクトを考案し持っていく。
すると、やっぱり。「キラヒジアは出来るけど、軍艦ヤドカリはハード的
に無理です」との予想回答。

ん…。ああして、こうすればとも思うが、熊谷の二人のプログラマーの
疲れた顔を見て、すんなり納得いく方がベストと判断し
「じゃー背負うのは艦橋部分だけにしよう!それでどうだろう?」と
了解を取り付けた。(あとでやる時も来るだろう…)

だが、そこで残りキャラクター容量(メモリ)という壁に、ぶち当たる。
各種の会議で疑似体験は出来ていたので、やっぱり来るよね?という
感じではあったが、残りのキャラクターメモリ数で何処まで出来るか?
熊谷に電話をしながら煮詰めて計算し作業していく…。

キラヒジアの開きは、上下反転したデータ画くっつけりゃ済むぞ
ウニボスは上半分を作れば上下を更に左右反転すれば自然に見える。
ザコソイドを頭としたよく動く中ボス作れるぞとか…。
とにかくメモリを使わないで新しい仕様構築する。

キャラクターと新仕様はメモリの限界まで作れるが、追加が
頭に無かったプログラマー二人には重いスケジュール負担となる…
プログラマーO氏がキラヒジアのミサイル軌道で凝った作りを
するが、まだ当初面である事と弾除け楽しむ為に真っすぐ飛ばして
くれと修正注文をする…。

作業料限界点が、火山をまたぐウナギキャラでゲームにもならず、
表示して精一杯となった。

エンディング仕様も任されたので、その一つに3Dやると言ったら
「ぎょっ」とされたが、
パレットアニメの見せかけだからと説明すると安心された。
(これはMJ-12のボーナスステージにも使う)
こういう各種オチストーリーは無くてもゲームは製品成立するのだが。

※有料部は今までの記事に価値があると思った場合見てください。
私は最初B-ingのキャラクターデザイナー募集広告を見つつ
企画志望で応募したのですが、実際現場が求めるのはドット屋。
そんな中でゲームの為のキャラのデザインとは、こうあるべき
と試行錯誤したキラヒジアの設計図です。

初代ダライアスのキャラデザインはタツノコプロによるものですが、
デザイン画はかっこよくとも、共通箇所もなく丸々分のメモリを要す
るのでゲームキャラデザインとしてベストとは言えませんでした。

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