劇団新感線☆五右衛門ロックⅢ/春馬さんがおしえてくれたこと
22才、初めての凱旋舞台出演/心九郎との出会い
初めてお話を聞いたのが、ちょうどまだ地球ゴージャス(「海盗セブン」)の公演中で。高揚していたせいか、あまりちゃんとは覚えていないんです(笑)。だけど、とても嬉しかった。
これまで、悪人っぽい役をやらせていただいた経験がなかったので。新しいことに挑戦させていただいている気がして、とても楽しかったです。(2012.9.6 e+Theatrix!)
公演日程(69ステージ)
2012年12月19日ー2013年1月27日 東京・東急シアターオーブの「こけら落し公演」
2013年2月6日ー28日 大阪・オリックス劇場
DVD&Blu-ray 発売:2014年8月7日
ゲキ×シネとは
公演後の舞台を「まるで映画のように」楽しむ作品として、2003年からスタート。劇場で観るのとは異なる魅力を目指す。
客席に、20台のカメラを置いて撮影。撮影クルーが緻密な計算をして画をおさえてくれています。
たとえば、心九郎が敵につかまって刀を捨てるというシーンでは、心九郎の顔、刀を見る目線と同じ画、震える手が刀を話す画、捨てられた刀…、という具合。よりエモーショナルな表現ができたり、効果的な仕上げができました。(プロデューサー 金沢尚信さん)
ライブ感を最大に引き出すため、音源はハリウッドにて(2013年秋)
音源別にミックスすることでカッコよく/効果音/刀から鞘(さや)を抜く音「チャッ」=西部劇で銃の撃鉄を起こす音/ストーリーが音によって明快に!
HOLLYWOODでの録音の様子と、作品について話されています
「たんに劇場で収録したものではない。いままで観たことがなく、すごい!みんな驚くよ」
(3分8秒)
ストーリー
「お気楽!テキトー!超GOIN!」
太閤秀吉、栄華の時代。天下の大泥棒《石川五右衛門/古田新太》は、女盗賊《猫の目お銀/蒼井優》と空海ゆかりの黄金目玉像を盗み出す。若き探偵《明智心九郎/三浦春馬》は五右衛門たちを追い詰めるが、なんと、その像には空海が隠した黄金のありかを示す暗号が…!
大事な仏像を盗まれた尼僧《春来尼/高橋由美子》、天下人《豊臣秀吉/麿赤兒》とその腹心《石田三成/粟根まこと》&《前田慶次郎/橋本じゅん》、さらには海を越え、五右衛門の旧友《シャルル/浦井健治》、宿敵《マローネ/高田聖子》、そして堺の豪商《蜂ヶ屋善兵衛/村井國夫》まで大結集!
果たして、お宝を手にするのは…だれだ!?
「仕掛ける春馬。惑わす蒼井。どんでん返すは古田のゴエモン!」
古田新太さんと出会う
春馬は非の打ち所のない若者ですよ。動けるわ、歌も歌えるわ、立ち回りもできるわ。もともとできるんだけど、ヤツは努力もしている。出番のない時だって稽古場にいるし、振付だの立ち回りだのをずっと練習してるし、楽屋じゃずっと歌ってる。才能がある上に努力家。しかもさわやか~(パンフレットよりー以下出典の記載がないものは同様ですー)
雑誌で古田さんの名前をみつけたら、自分のインタビューが載っていてもそれはさておき、まず古田さんの記事を読みます。そうすると、アドバイスをいただいているような気持になる。僕が勝手に思っているだけなんですけどね笑(2012.12.3 「演劇男子」)
(古田さんが、動ける春馬にお任せと言っていましたが?)
自分は最初はかなり不器用です。まずは力が入りすぎている部分を削ぎ落していくという作業があってからの「動ける」ですから。
本当に最初は格好悪いんですよ。力が入りすぎているのがモロわかりだし。(2012.12.10 「オリスタ」)
五右衛門ロックⅢ*インタビュー
古田新太/三浦春馬
(3分59秒)
華やかな舞台の下地となるような、基本的なところをがんばっていこうって毎日思っています。パッと見せるところだけに注力してそういう芝居をおろそかにしてしまったら、地に足のついていない役者に見えてしまうんだろうな、ってこの一週間で痛感したんです。(2012.12.3 「演劇男子」)
ブログより
22才の多くは、舞台の上を駆け抜けた
① アメブロ Dear Haruma* 2020.8.12
先日、観てきました。もう一度、新感線の舞台も観てみたかったと思ってしまうけれど…。こうして、また、何度でも、この笑顔に映像で会えるよう~笑顔の心九郎~を残していってくれて、こころからありがとう。
ラストに【心九郎の笑顔(キラリン)は いつまでも僕たちの心の中に刻まれています】と映し出されました。
② ブログ 戸田恵子さん 2013.1.23 観劇「なんといっても三浦春馬くんは様子がいいね~!」
➂ note はるよこ 2024.8.23 「劇団☆新感線『五右衛門ロックⅢ』ゲキシネを観れた!」
私は2012年に大阪のオリックス劇場で一度だけ観ていた。3階の席。遥か遠い舞台の役者たちはほんとに小さくて観ることに集中できないことも。
おととい、上映があることを知って向かった。始まってすぐすごい音響。前半の明るい感じのダンスと演技。顔のアップもたくさんあり、おでこから頬にある汗がバッチリみえる。後半になるにつれてとても人間くさくなっていく心九郎春馬くんの表情。
この舞台は少しでも大きくて、音響のいいスクリーンで見るに限る!私はスクリーンですごい元気をもらいました。
評論
① ー三浦春馬はダンスも一流だった―
ダンスへ向かう態度は真摯そのもの。4歳のころから地元の劇団で芝居・歌・ダンスなどにふれていた。稽古場のうしろでは、鏡の前でひとりダンスを黙々と練習し続ける姿があった。ダンスも歌も彼のスキルは相当なもの。
(2014.3.7 ダンスサイト@WEB/ウォーカープラス)
② ー【追悼】三浦春馬は、舞台を愛し、舞台に愛された役者だったー
ストレートプレイだけでなくミュージカル作品でも主演でき、かつ非常に高い評価を得ているという、唯一無二の存在だった。
子役としてキャリアをスタートし華々しく活躍しながらも、恵まれた容姿から「イケメン俳優」枠として見られることも多かった三浦さんが、実は歌もダンスも非常に優れていると、広く演劇界に認識されたのは2012年の劇団☆新感線「ZIPANG PUNK~五右衛門ロックⅢ」だろう。
(2020.7.20 WEZZY 鈴木千春)
➂ ー過去の出演作をふりかえって感じた「輝きと勢い」ー
どの役を演じても圧倒的な彼のそのエネルギーは、カットを細かく割って撮る映画やドラマでは出し切れなかったのではないか。
ノンストップの舞台に出たら、広野に放たれたように生き生きと暴れまわっていた。
地球ゴージャス『星の大地に降る涙』(2009年)、『海盗セブン』(2012年)、劇団☆新感線『ZIPANG PUNK~五右衛門ロックⅢ』(2012年)と、大舞台に負けないダイナミックな動きだった。
(2020.7.23 文春オンライン 木俣冬)
共演者より
蒼井優さん「三浦くんは努力の天才。どんどんどんどんうまくなって素敵になっていって…」
村井國夫さん「心九郎役の春馬くん。あの若さであそこまで完成していたら、これからどうなるんだろうと期待が持てる役者さん。袖でみていると、怒りや虚無感や冷静さ、ないまぜの顔が見えるんですよ。あの表情、佇まいは毎回いいなぁと関心していました」
脚本家 中島かずきさんー来るぞ来るぞ、来たーッ、の快感をー
「僕は脚本を書くときは、完全にあて書き(演者に沿って物語を作っていくこと)なので、キャストが決まってからストーリーを詰めていきます。三浦くんに何をやってもらおうかというのが出発点。「名探偵vs怪盗」をやっていないから、春馬は探偵になってもらおう、じゃあ名前は明智何某だな」
舞台を観た方のことば
舞台演出家 鈴木裕美さん 2020.7.20
「昔、舞台を観に行って、楽屋で古田新太に『(共演者の)あの人すごいね!歌もダンスもできる人だって知らなかった!』って言ったら、『いや、あいつ稽古初日はまったく何もできなかったんだよ。むしろすごくない?』と言われて驚愕したことを思い出します。心からの盛大な拍手で退場を見送りたいと思います」
ダイジェスト版
(3分)
樋口真嗣監督が観劇/『進撃の巨人』への道、つなぐ
漫画の実写映画『進撃の巨人』(2015)につながる出会いがあった
そのはじまりを知るために、以下、拝見しているブログから貴重な資料をつかわせていただきました。ありがとうございます。これをよんだとき、漫画実写化の労苦と喜びをともにした、監督と主演三浦春馬の絆がおもいうかび、胸が熱くなりました。
『映画秘宝』(2020年10月号)ー樋口真嗣監督の追悼文-より抜粋させていただきます。
客演で見せた姿があまりにも強烈だった。無邪気で屈託のないイノセントな笑顔。表現のふれ幅、年令を超えたその魅力に、心底惚れ込んだ。
こんな彼の姿はまだ、映画として記録されていないではないか。誰よりも先に自分が撮りたい。君なら未来を変える存在として、物語の中心を駆け抜けるだろう。濁りのない若さで。君なら自分を重ね、託せる。書いていておこがましいが、本気でそう思った。本気でそう思わせるその存在、温度だった。
ひとりの人間として一緒に仕事をしよう、と言いたい。それだけの目的で大阪公演最終日のオリックス劇場に向かった。(中略)
「まってます」と喧騒から離れて耳打ちした真っ直ぐな瞳を忘れないだろう。その2年後に、ともに彷徨うことになる煉獄の日々でも屈託のない笑顔を絶やさなかったことを忘れないだろう。
次にいつか、どこかで会うときは、俺はさらに老いさらばえ、君は今と同じ若さでいるだろう。それはそれでズルいよ。春馬。
おわりに
こうして若き三浦春馬さんの舞台をふりかえると、文章を打つ自分も高揚してくるのを感じます。
ある方は「努力の上の努力が、目の前にたち現れる」と表現されていました。ほんとうにそう思います。その姿をわたしたちは目撃することができる。その驚きと喜びに感謝したい気持ちになり、さびしさがちょっと隅のほうに引っ込んでくれるようです。
多くのひとが、その努力を讃えます。たくさんのものを持ちながら、そのあまりにも人間くさい努力の痕跡にふれるたび、いつも感動します。そして、自分もやっぱりそんなふうに生きたい、と思う背中を押してくれています。
魂を込める、入魂という言葉が今、頭に浮かんでいます。演じる時の春馬さんの発するエネルギーの源は何なのだろうかとまた今日も、はてしない時空をこえて、そっと尋ねてみたい気持ちになります。
♪ 春馬さんの好きな劇中歌「世界は変わる」♪
世界は変わる ルララルラ 心のままに 素直に生きれたら
世界は変わる ルララルラ
夢も未来も 昨日と違う そんな新たな 時代が来るよ
すべてをさらう 時の流れに 誰も逆らえないから
付記
ゲキ×シネ20周年記念企画の一環として、「総選挙」でえらばれた10作品がアンコール上映されることになりました。その中で、ロックⅢが第一位に輝きました。
ロックⅢは、2025年1月21日(火)・23日(木)および4月1日(火)・3日(木)のスケジュールで、全国22の映画館にて上映されるとのことです。ほんとうに、大画面でみると迫力がすごいです。