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インドネシア語 句の作り方
句とは
句とは、複数の語でひとつの品詞のような働きをするまとまりのことです。
たとえば、日本語で
「彼の名前は伊藤です」
という文の主語は厳密には(ひと単語だけなら)「名前」ですが、「彼の名前」というまとまりが主語であるともいえます。
また、
「いちばん前に駐車しているのは、私の赤い車です」
という文なら、述語は厳密には「車」ですが、「赤い車」または「私の赤い車」というまとまりが述語であるともいえます。
上の2つの例における「彼の名前」や「赤い車」、「私の赤い車」というまとまりのことを句といいます。
修飾の順番
修飾は「かざる」「説明する」という意味です。
先に挙げた例の、「赤い車」では
「赤い」は「車」を説明している単語で、「車」は「赤い」に説明されている単語になります。
このとき、「赤い」は「車」を修飾している修飾語であり、「車」は「赤い」に修飾されているので被修飾語です(被は~される、されているという意味)。
日本語では基本的に、修飾語が先にきて、被修飾語はあとにきます。
赤い車、彼の名前、きれいな服、優しい人、面白い漫画 など
少々前置きが長くなりましたが、ではインドネシア語ではどうかというと、修飾語と被修飾語の語順は日本語と逆に
被修飾語 + 修飾語
の順番になります。
nama dia 彼(彼女)の名前
nama 「名前」 dia 「彼、彼女」
mobil merah 赤い車
mobil 「車」 merah 「赤、赤い」
「彼(彼女)の~」は上記のようにdia を使う以外に、単語のうしろにnya をつける表現もよく用いられます。
namanya 彼(彼女)の名前
nama 「名前」のうしろにnya をつけた形。
bukunya 彼(彼女)の本
buku 「本」のうしろにnya をつけた形。
蛇足
最後に修飾被修飾の語順を理解するのに、とても分かりやすい例文を挙げますが、これはおっそろしく卑俗的で、品のよろしくないものですから、くれぐれも自分から使わないようにしてください。(そんな例文を挙げるなというお叱りが来るかもしれませんが、まったくその通りです)
cowok gila 狂っている男、キ◯ガイ男
cewek gila 狂っている女、キ◯ガイ女
gila は狂っている、cowok は男性、cewek は女性を意味する単語ですが、語感としては「(男性ではなく)男」「(女性ではなく)女」または「野郎」や80年代ヤンキーの使っていた「ナオン」に近いものがあります。
もちろん話者の年代や地域、社会的環境によってはガラが悪いとまでは思われないこともありますが、少なくとも品がいいとは思われません。
さて、この2つの例文は先述のとおり、被修飾語+修飾語の関係にありますから、どんなcowok またはcewek かということをgila という単語が修飾していて、狂っている男、狂っている女という意味になります。
ここで、単語の位置を入れ替えてみますと、
gila cowok 男狂い
gila cewek 女狂い
となります。
gila には狂っているという意味以外に、(狂っているように)◯◯が好きという意味もあります。日本語の~キ◯ガイ(車好きをカーキチ、釣り好きを釣りキチというあのキチです)に相当します。
そのため、この語順では、cowok, cewek は、何かのことがどうしようもないほど好きという意味のgila の対象(目的語)となり、常軌を逸しているほど男が好き(男狂い)、ありえないほど女が好き(女狂い)という意味になります。