インドネシア語 否定・打消
インドネシア語の否定・打消に使う単語はbukan とtidak があります。
打消される単語や句の品詞(句の場合は文章中の役割がどの品詞的か)により、bukan を使うか、tidak を使うかが決まります。
名詞を打消す「bukan」
bukan は名詞や名詞句を否定・打消すときに使われます。
打消される単語の直前に置かれます。
Ini bukan sekolah. Ini kantor. これは学校ではありません。会社です。
bukan 「~ではない」 sekolah 「学校」 kantor 「会社、オフィス、事務所」
Dia bukan orang Jepang. 彼(彼女)は日本人ではありません。
動詞や形容詞を打消す「tidak」
tidak は動詞や形容詞(動詞句や形容詞句)を否定・打消すときに使われます。
これも打消される単語の直前に置かれます。
Saya tidak makan kambing. 私は山羊(料理)を食べません。
tidak 「~しない」 makan 「食べる」 kambing 「山羊」
Kue ini tidak enak. このお菓子は美味しくないです。
tidak 「(形容詞に対して)~でない」 enak 「美味しい」
「nggak」について
口語(会話)ではtidak の代わりにnggak が使われることもあります。使い方はtidak と同じなのですが、微妙にニュアンスが違い、tidak よりもnggak の方がよりくだけた感じがします。
Saya biasa nggak minum kopi. 私は普段コーヒーを飲みません。
biasa 「普段は、いつも」 nggak 「~しない」 kopi 「コーヒー」
なお、nggak に限りませんが、インドネシア語は省略形や短縮形が多く、特に口語においては綴り(スペル)が固定されていないことがままあります。
このnggak の発音はンガッという感じなのですが、会話の中ではンガ(撥音(小さいツ)がない)、ガやガッという感じに発音されることも多いです。それに合わせてngga、nga、gak、ga など様々に綴られることがあります。
余談
余談ですが、nggak apa apa というフレーズがありまして、直訳すると「何も(困りごとや事件、特筆すべきことは)ない」となり、通常の訳は「大丈夫」となります。
90年代(もしかしたらそれ以前かも)に東南アジア各国の気質を表わす言葉(フレーズ)が海外事情や旅行記などで話のつかみに使われて、軽いブームになっていたことがあります。
例えば、韓国のケンチャナヨ、タイのマイペンライ、(外国ではありませんが)沖縄のなんくるないさーなどです。
その時に、インドネシアの気質を表わすフレーズとしてよく「nggak apa apa 」と「jam karet 」が使われていました。
nggak apa apa は上記の通り「大丈夫だよ」「何ともないよ」ということで、良い意味で深刻に考えない、前向きな国民性であること。
jam karet は「ゴム(のように伸縮可能な)時間」でつまりは時間にルーズな国民性ということです。
また、アイドルグループAKB48 の姉妹グループで、ジャカルタを拠点に活動しているJKT48のメンバーだった仲川遥香さんの著書「ガパパ!〜AKB48でパッとしなかった私が海を渡りインドネシアでもっとも有名な日本人になるまで」のメインタイトルであるガパパが、このnggak apa apa (gapapa)のことです。