インドネシア語 人称代名詞(複数)
1人称複数
インドネシア語の1人称複数の人称代名詞は2つあります。kita とkami です。
この2つは、どちらも「私たち」という意味の1人称複数の人称代名詞なのですが、明確に指し示す対象が異なります。
その違いは「話し相手」「聞き手」を対象に含めるかどうかです。
まず、kita ですが、これは「話し相手」「聞き手」を含める「私たち」です。
例えば、朝礼などで上長がスピーチや訓示で「(私たちは)頑張ろう」という場合や、一緒に旅行に出掛ける仲間に「明日、(私たちは)何時に出発するんでしたっけ?」などと聞く場合です。
Mari kita berusaha. さあ(私たちは)頑張ろう
mari kita 「さあ~しましょう」 berusaha 「努力する、尽力する」
Besok kita pergi jam berapa ? 明日、(私たちは)何時に出発するんでしたっけ?
besok 「明日」 pergi 「行く、出発する」 jam berapa 「何時」
そして、kami の方は「話し相手」「聞き手」を含めない「私たち」です。
例えば、インドネシア(に限らず日本以外の国)で、相手に「私たちは日本から来ました」と言うような場合や、食事会などの途中で自分と他の数人だけが先に帰ろうとするときに「私たちは先になります(帰ります)」と告げるような場合です。
Kami datang dari Jepang. 私たちは日本から来ました
datang 「来る」 dari 「(場所や地点について)~から、~より」 Jepang 「日本」
Kami pulang dulu. 私たちは先になります(帰ります)
pulang 「帰る」 dulu 「先に」
ジャカルタの口語(会話)ではkami はほとんど使われません。話し相手を含む場合も含まない場合もkita を使う人がほとんどです。
これはインドネシア語という公用語制定以前からの特徴です。ですから、話し相手を含んでいない場合でもkita が使われることがあります。その場合は文脈判断をしてください。
余談ですが、このようにインドネシア語(公用語)にある単語でも、地域や世代・社会的立場によって意味・用法がインドネシア語とは異なることがあります。このような「使い方が方言」というものは少なくありません。
もちろん、インドネシア語に限らず日本語にもそういうものはあります。
2人称複数
2人称複数の人称代名詞は、Anda sekalian や、2人称単数の人称代名詞を2回繰り返すことで表されます。
sekalian というのは「全部、みんな」という意味の単語です。ですから、Anda sekalian は直訳すれば「あなたと(あなたと)一緒にいるみなさん」ということで「あなたたち」の意味になります。
Anda sekalian
bapak bapak
ibu ibu
また、2人称単数の人称代名詞だったkamu は、複数の場合でもそのまま使われます。ですから、kamu の場合は文脈で単数(あなた)なのか複数(あなたたち)なのかを判断することになります。
また、ジャカルタを中心に2人称単数の(あまり品の良くない)人称代名詞lu を使って、lu orang という2人称複数の人称代名詞があります。日本語では「あんたたち」「お前たち」「お前ら」「てめえら」などが相当するでしょうか。
これも単数のlu とおなじく、自分から使うことは控えた方がいいかと思います。
3人称複数
3人称複数の人称代名詞はmereka です。意味は「彼ら」「彼女ら」「あの人たち」です。