インドネシア語 他動詞構文(1) 主語と動作主が同じである場合
以前、インドネシア語の他動詞の形(meN 形、ゼロ形、di 形)は主語と動作主・動作対象の関係によって決まると書きました。
今回はその関係がどういう時に、他動詞がどの形になるのかを説明したいと思います。
動作主と動作対象
まず、今回頻繁に使われる用語として、「動作主」と「動作対象」というのがあります。
動作主とは、その動詞の動作をしている人物やもののことです。
動作対象とは、その動詞の動作の目的語となっている人物やもののことです。
たとえば、
彼がわたしに本を買ってくれました。
の場合には、動詞は「買って(買う)」です。
その動作をしている(つまり買った)のは「彼」ですから、動作主は「彼」になります。
動作の目的語は「わたし」と「本」ですから、動作対象は「わたし」と「本」になります。
今年の全国大会は岐阜県で開催されます。
の場合だと、動詞は「開催する」です。
動作対象は「全国大会」または「今年の全国大会」ですが、動作主は文中にありません。これは動作主が明白であったり、また言及する必要がないため省略されているからです。
動作主を主語とする他動詞構文(meN 形)
他動詞構文のうち、動作主が主語である場合には、他動詞はmeN 形をとります。
Saya menulis buku. わたしは本を書いた。
主語であるsaya が動詞の表す動作 (menulis 、基語はtulis)を行っているので、動作主が主語になります。
そのため、tulis の他動詞はmeN 形をとりmenulis となります。
Dia mengunjungi Hiroshima-jo. 彼(彼女)は広島城へ行きました(訪れました)。
この場合も動詞の動作(mengunjungi 、基語はkunjung 、他動詞の語幹はそれに接尾辞 i が付いてkunjungi )を行う動作主は、主語であるdia です。つまり、主語が動作主となっていますので、この場合の他動詞もmeN 形となりmengunjungi となります。
この主語と動作主が同じである場合に他動詞がmeN 形となることは、主語の人称に関わりません。