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隣の鳥は青い 最終回

 ーー学校の食堂
凄くリーズナブルな値段で、ランチを食べられることが出来る。
ラーメンが一杯250円、カレーライスが300円、
当時は消費税がなかった。
ラーメンの具が何故か、キャベツとなるととチャーシューのみ。
値段のわりに、そこそこ美味しかった。
授業前に50円で食べられるチャーハンおにぎりが、人気だった。
このおにぎりの一個が、女子高生のお腹を満たした。
もちろん、理子もこのおにぎりで育った。
「このおにぎりにを食べると、元気になる。」
美久子とそう言いながら、校庭でおにぎりを頬張り合う。
「でも、最近は毎日クタクタだよ。」
理子は、学校にバイト、家事に疲れていることを美久子に話した。
「それは大変だねぇ、だけど、バイトしてるから、お金がたまるじゃん?」
バイトを初めて数ヶ月、今までの人生では考えられないられないへほどにお金はあった。
しかし、好きな漫画を描く時間が全くなかった。
 高校2年生になったころ、美久子が突然こう言った。
「この前、テレビでみたんだけどさー、白血病の治療法で骨髄移植が見つかったんだってね。理子のお母さんの時代に見つかっていたら、助かったかもしれないね。」
教室のベランダで、お互いに空を見つめながら話している。
「・・・・・」
ーーお母さんの病気が治って長生きしたならば、
誰も傷つくことはなかったのだろうか?
私は普通に幸せになれたの?
そうじゃなくても、私は幸せになれたのだろうか?
隣の家の住民のように、笑ってくらせたのだろうか?

スカートのポケットから、ルリビタキのキーホルダーを出して見つめ、握りしめる。
「もし、お母さんが生きていたら、私の人生は違ったのかな?」
ポツリというと、そのまま教室に入った。
ーー神様は人間にたいしてみんなに平等というなら、これから私は普通の幸せを期待してよいのだろうか?
そう思いながら、自分の席につく。
 ー終わりー
理子の物語は、名前を変えて「結婚は宝くじに当たるようなものと聞いたが実際はどうよ」に続きます。
今までありがとうございました!

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