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続 結婚は宝くじに当たるようなものと聞いたが実際はどうよ6話

創作大賞2024漫画原作部門応募(3話までの続き)
桜田風子35歳、看護師、婚活中
結婚相談所に入会するが、セクハラ・モラハラ男を紹介され撃沈。
他の相談所に行くが、理想に近い男性は急遽転勤となり会うこともできず。
婦人科の病気が見つかり、治療中の合併症で精神科受診し職場復帰を目指していた。
 
 数日後、ついに精神科病院の面接日が来た。
看護部長が暖かい笑顔で迎えてくれた。
子宮筋腫が見つかり、注射の副作用でうつ病と言われ、この病院に受診していたことを正直に話した。
「そうだったんですか、大変でしたね」
真剣に風子の話を聞き、同情してくれた。
面接から、病院の紹介まで約1時間かけてくれた。
「いつから来れますか?」
どうやら、採用してくれるらしい。
以前、精神科病院に勤めていた経験も決めてみたいだ。
「あの、来月からでも良いですか?」
1か月後の、入職を希望する。
「わかりました、お待ちしていますね」
「はい、よろしくお願いします」
小躍りしながら、車に乗りこむ。
ホームセンターに寄り、安売りの洗濯洗剤を探し買い物かごに入れる。
ふと、ペットコーナーが目に入る。
「ちょっと見て行こうかな?」
気晴らしに見るだけのつもりだった。
ピーッ!
鳥の鳴き声が聞こえる。
その声の方へ目を向ける。
黄色いセキセイインコを目が合う。
思わず近寄ってセキセイインコに近寄る。
再びセキセイインコと目が合う。
「何かレモンみたいだね、あんた」
ぽつりと言う。
「ピピッ!」
まるで風子の声かけに返事をしたかのように、鳴いた。
値段を見ると、
「2980円!?」
インコは備え付きの白菜を食べ始めた。
ーーペットを飼うと、婚期が遅れるって効くけど、インコは小さいし大丈夫だよね?
根拠のない思考になり、そのレモンのようなセキセイインコを買うことにした。
当然、名前はレモンにした。
帰宅して、早速レモンをテーブルのうえにだす。
風子には見向きもせず、飛んでいく。
「うわっ!飛んだ!!」
レモンは、水をエタ魚のように飛び出た。
「そうかー今まで狭い部屋での生活だったから、人間と同じだよね。」
風子はしばらくレモンを自由に飛ばせてあげることにした。
「はあーしかし、緊張して疲れたわー」
Tシャツと短パンに着替え、布団に潜り込んだ。
いつのまにか寝てしまった。
「ピピっ!」
近くでレモンの声がした。
「うーん」
目が覚めると、レモンは風子の瞼の上に乗り、風子を見下ろしている。
風子が気がつくと、瞼をくちばしで突っつきはじめた。
「いい加減に起きろ!ってこと?」
ゆっくりとレモンが落ちないように、起き上がる風子。
時計をみると、夕方の5時だ。
「夕飯の支度するか。」
といっても、風子は一人暮らしのため、料理のスキルは低い。
ベーコンエッグをご飯にのせ、即席味噌汁となる。
「卵の白身は鬱病に良いと聞くし」
料理が出来ない言い訳のように、1人つぶやく。
レモンの水と、餌を用意すると、食べ始めた。
チャラリン🎵
一息ついて、テレビを観ていると、メールの受信音がなる。
「誰だろう?」
メールを確認すると、弟嫁のさゆみだった。
「お姉さん、体調はどうですか?少し迷惑かけたので、一緒にお食事でもどうですか?」
ーーえ?癌の人がそんなのんびりしていていいの?
あきれつつも、一応、弟嫁なので返事をすることにした。
「久しぶりだけど、食事って大丈夫なの?体調は良いの?」
と返信した。
レモンが風子の肩に乗り、くちばしで風子の頬を突っついてくる。
風子に甘えている様子だ。
チャラリン🎵
さゆみから返信が来る。
「病院には通っているけど、まだ大丈夫みたい。」
ーーん?まだ大丈夫って、癌なんだよね?
私が入院中に体調崩してなかった?
あまり気が進まなかったが、弟嫁ということもあり、結局、さゆみと食事することにした。
 数週間後ー
大型スーパーにあるファミレスで、さゆみと待ち合わせして席に着いた。
人妻とは思えない胸が大きく開いたブラウスに、マイクロミニのスカートでさゆみは来た。
「•・・」
「お姉さん、久しぶり!」
顔色も良く、元気そうに見えるさゆみ。
元々細身であるが、体型は全く変わった様子がない。
「元気そうで何よりね、寧々ちゃん(娘)も元気なの?」
「うん、今は保育園にいってる。」
「寧々も5歳なのよーみてー」
とスマートホンの待ち受け画面わ見せてくる。
「そっ、それは良かったわ。」
「みのるって、私が1人で外出するのいやがるんだよねーやきもちやいちゃうの。」
そうは言いつつも、さゆみの顔はほころんでいる。
「へぇ、そうなんだ。」
みのるの意外な一面を知った風子。
「私が初めての女でさー心配みたいなんだよねー」
ーーん?惚気?
「みのるって、中卒後に建設会社に働いていたじゃん?その時は月収50万あったんだよね。それで、こいつなら結婚してやっても良いかな?と思って結婚したんだけど、これでやりくりしてくれって渡された通帳に100万円しか入ってなかったんだよー信じらんないよー」
急にみのるの愚痴を言い、金目当ての結婚だと言うことを自ら暴露した。
「・・・」
風子は顔を引き攣らせるしかなかった。
「実家住みだから、たっぷり溜め込んでいると思ったのにさーしかも、二つ年上のババアに貢いでいたんだよ?」
ーー二つ年上のババアって、私と同じ年ですけど?
風子はイラついた。
「それがさぁー今じゃあ、私の方が収入高くなったのよ?ありえないよー」
結局、なんで食事しようと誘われたのか、わからない風子であった。
 帰宅して、レモンを自分の手に乗せる。
「みのるの不満を言いたかっただけ?」
レモンに話しかける風子。
レモンはつぶらな目をパチパチしながら、首を傾げていた。
 精神科病院に入社して、数ヶ月がたった。
先輩は手取り足取り、親切に仕事を教えてくれた。
残業も殆どなく、あったとしても1〜2時間程度で残業代も出た。
「こんなに恵まれていて良いのだろうか、わたしは近いうちに死ぬのではないだろうか?」
嬉しい反面、今までの人生から、やはり後ろ向きな考えの癖は治らない。
チャラリン🎵
携帯電話のメールの受信音がなる。
丁度、日勤の終わりで更衣室で着替えていた風子。
先輩に挨拶して、自分の車に乗り込む。
メールの送り主をみるとさゆみだった。
「また、みのるの愚痴?」
ため息をつき、呆れつつもメールをみる。
「お姉ちゃん、どうしょう、癌の治療中なのに、2人目が出来ちゃったの。」
ーーは?
メールの内容に、頭が追いつかない。
「みのるに相談したけど、2人目を諦めて癌の治療を継続するか、癌の治療を中断して産むか悩んでいるの。」
ーー私にどうしろと?
携帯電話を穴が開くほど、見る。
ーーつーか、なんで癌の治療中に子どもを作るわけ?
どう返事して良いかわからず、とりあえず車を運転して帰ることにした風子だった。






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