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第5回:金融機関がJOLに融資するメリット

こんにちは、JOLアドバイザーです。

銀行等の金融機関が日本型オペレーティングリース事業(以下:リース事業)に融資する理由は、航空会社や海運会社(以下:事業会社)に直接融資をする場合と比較し、いくつかのメリットがあるからです。

そこで今回は金融機関目線でリース事業に融資するメリットを書きました。

この記事を読んで頂くと何故金融機関がリース事業に融資するのか分かり、日本型オペレーティングリースのスキームをより深くご理解頂く為の参考となるはずです。

※私について知りたい方は、下記の自己紹介をご覧ください。


1.事業会社への直接融資は貸倒リスクが高い

金融機関が事業会社に直接融資を行う場合、貸付の対価として航空機や船舶(以下:物件)に抵当権を設定します。

その為、仮に事業会社から貸付金の返済が滞った場合、物件に設定された抵当権を行使し競売等を通じて物件を処分する事で貸付金の回収を行います。

しかし、航空会社や海運会社は各国政府が株主となり、政策的な意図に基づき運営されている場合も少なくありません。

その場合、特殊法などにより、事業会社の債務が減免又は免除される可能性もあります。

実際に2010年に日本航空が破綻した際は事業再生の為、金融機関からの借入債務約6,000億円が免除されるという事態が発生しました。


2.リース事業への融資は所有権を有すのと同様の効果がある

一方、リース事業に融資をする場合も、直接融資の場合と同様、匿名組合が購入する航空機に抵当権を設定します。

そして、リース事業の賃借人である事業会社から匿名組合へのリース料返済が滞った場合は、金融機関は抵当権を行使して物件を処分します。

直接融資の場合と比較してなんら変わらない様に思われますが、直接融資の場合は物件の所有権は事業会社が有しているのに対し、リース事業への貸付の場合、所有権は匿名組合が有している点に大きな違いがあります。

匿名組合の運営は、営業者であるリース会社が行っています。

リース会社は運営する匿名組合から金融機関への返済が滞ると、金融機関の意向に応じて所有権を行使し、早急に物件の引き上げと売却工作をします。

つまり、リース事業に融資を行う事は、物件の所有権を有する匿名組合を通じて事実上物件処分のコントロールを金融機関可能となる為、直接融資の場合と比較して資金回収のリスクが軽減できるのです。

また、前述の日本航空の例では、金融機関の融資債権約6,000億円は事業再生の為に放棄させられたものの、リースで調達していた航空機のリース料は全て支払われたそうです。

その理由は、日本航空再建の為に、航空機は必要な設備であり継続して利用する必要があるが、所有権はリース物件の賃貸人にあり、仮に日本航空がリース料債権の放棄を求めた場合、当該物件を引き上げられる可能性がある事から、リース料の支払いは滞りなくなされたのです。

この事から、金融機関としても直接事業会社に融資をするのではなく、リース事業を介した融資を行う事で、融資債権の貸倒リスクを軽減させるのです。

3.アレンジャーとして競争力のある提案ができる

リース事業は、一般的に事業会社と金融機関が資金調達の方法を検討する中で、金融機関から提案される事が多いです。

その後、金融機関がリース会社に事業会社と合意したリース事業の内容を提案し、リース会社が組成するといった流れで案件が出来上がります。

この事から言えるのは、金融機関にとっては、リース事業を組成できる事は事業会社に幅広いファイナンスメニューを提案できる事の証明であり、案件のアレンジャーとしての信頼度を高められるというメリットもあるのです。


以上の理由から、金融機関はリース事業への融資を行うのです。


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