「目が覚めたら乃木坂4期生の○○でした」 第35話
ある朝、目が覚めると女の体、しかも乃木坂46の4期生になっていた✕✕(現世名:○○)。握手会にてファンを名乗る男から心無い言葉を言われてしまった○○。メンバーのやさしさに触れて何とか立ち直ることができた。
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今日は雑誌の撮影とインタビューの収録で4期生ほぼ全員が集まっていた。
夏場に発売する雑誌用の撮影とのことで、時期的には少し早いが浴衣を着ての撮影。
○○「え、これが浴衣…?」
遥香「ん?〇ちゃん、浴衣着たことないの?」
○○「あ、うん、実はね…。ないんだ。」
遥香「えー!もったいない!○ちゃん可愛いのに~!」
○○「えー!嬉しい~…!」
✕✕(あるわけないだろ、ついこないだまで男だったんだぞ…💧)
○○「で、これ、どうやって着るんだろ…?ちょっと、スタッフさん呼んでくるわ…。」
遥香「あ、うん!オッケー!」
○○が浴衣をもって去っていく。
遥香「珍しいなぁ、行事とかお祭りとかで着なかったのかな?」
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○○「うぅ…下駄って歩きにくいし浴衣の裾が引っかかるし不便だなぁ…。」
スタッフの助けを借りて何とか浴衣の着用に成功した○○は、4期生たちのもとへ戻る。
真佑「わー!〇ちゃんきた~!カワイイ~!」
レイ「うんうん、やまとなでしこって感じですっごい綺麗!」
というセリフを同じく浴衣姿のメンバーたちから投げかけられる。
○○「みんなもすごくかわいいよ!」
これは本音だった。
想像してみてほしい。
男性にとって浴衣の女性がどれだけ魅力的に見えるか。
ファンにとって推しの浴衣姿がどれだけ魅力的に見えるか。
しかもそれが画像や動画ではなく今目の前にいるとしたら。
見とれてしまうに決まっている。
可愛いの一言が出ずにはいられない。
カメラマン「それじゃ撮影始めまーす!みんな並んで~!」
4期生「「はーい!」」
そうして撮影が始まる。
カメラマン「じゃあ次はみんなでギュッてしてみようか!」
○○「えっ…。」
4期生たちはためらいなくお互いに身を寄せ合い、後ろから前のメンバーを抱くような形になる。
ただし、○○を除いては。
○○「…。」
カメラマン「ん、○○ちゃん、どうかした?」
○○「あ、いえ…。」
○○はためらっていた。
考えてほしい。
男性が、特に彼女でもない女性にバックハグをしろ、腰に手を回せと言われたら。
ためらうに決まっている。
女性にとってはお互いのボディタッチはいたって普通なのかもしれないが…。
○○「えっと…。」
レイ「〇ちゃん、私に触るの嫌だった…?」
○○がためらっていると、○○の前方にいたレイが悲しそうな顔をして○○の方を見る。
○○「え、う、ううん!そんなことないよ!全然!」
そのやりとりで後に引けなくなってしまった。
○○はためらいがちにしながらも、レイを後ろから抱きしめ、腰に手を回し、さらに密着する。
レイは○○のその行動にどこか満足そうだった。
そして、そんな○○の後ろから、柚菜が○○の腰に手を回し抱きしめ、○○に密着してくる。
○○「…!」
前は女子に抱き着き、後ろからは女子に抱き着かれている。
その状況に○○は動揺せずにはいられなかった。
だが、そんな中でも○○は笑顔を欠かさなかった。
数か月アイドルでいたおかげか、いかなる状況でも口角を上げる事ができるようになっていた。
カメラマン「いいね!はいそのままそのまま~!」
カメラマン「じゃあ次は個別で撮っていこうか!」
その声でそれぞればらけて撮影がスタートする。
撮影しないメンバーはカメラから離れたところでおしゃべりを始める。
紗耶「〇ちゃんのその浴衣の模様可愛い~!」
○○「え~!ありがとう!やんちゃんもかわいいよ!」
紗耶「えへへ~、ありがとう!」
悠理「〇ちゃん、写真撮ろう~!」
○○「うん!撮ろう撮ろう!」
真佑「まさか仕事で浴衣を着れるなんて、アイドルって楽しいよね!」
カメラマン「次、○○さん、遠藤さん、金川さん、早川さん来てください!」
○○「あ!はーい!」
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そして、また後日。
今度は事務所での仕事だった。
そのあと、夕刻のこと。
真佑「あやめちゃん、誕生日おめでとう~!」
今日は6月8日。
筒井あやめの誕生日である。
あやめ「うわぁ~。ありがとう~!」
少し大きめのケーキを贈られて喜ぶあやめ。
一口食べて…。
あやめ「ん~!おいしい!」
「「カワイイ~!!」」
あやめがケーキをほおばる様子を見て和む4期生たち。
そして、数人があやめに誕生日プレゼントを贈る。
○○「はい、これは私から!」
あやめ「え~なんだろ~!開けていい?」
○○「うん!開けて開けて!」
あやめが箱の包装を説いて中身を取り出す。
中には、一番上には手紙。
『こないだは励ましに来てくれてありがとう!あの時あやめちゃんが来てくれたから、元気が出たよ!』
あやめは手紙を読むと○○の方を見る。
○○は照れ隠しか顔を赤くして目をそらした。
あやめ「ンフフッ…。」
そして、プレゼントの中身は…。
あやめ「え!これ前からずっと気になってた香水!なんで知ってるの!」
○○「こないだあやめちゃんがレイちゃんにこの香水の話してるの思い出したから!」
あやめ「え~ありがとう~…!」
○○「いいえ~!」
と、ある日はこんなほのぼのした1日を過ごした。
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またある日は、雑誌に掲載するインタビュー。
────先日は西野七瀬さんが卒業されましたね。
○○「はい、一緒に活動できた期間はとても短いものでしたが、お話しする機会もいただけて、とても良くしていただきました。『乃木坂、頑張ってね』って言葉をかけてもらって、大事な何かを託された気がして、気を引き締めようと思いました。」
────4期生として活動し始めて少し年月が経ちましたが、一番印象的な子とは何ですか?
○○「そうですね、先日のSing out!発売記念の4期生ライブですかね。つい最近のことなので一番印象的なのかもしれないですけど。笑 横浜アリーナという大きな会場で4期生のみでライブをさせていただいたので、最初はちゃんとできるか不安だったんですけど、無事やり切れたっていうのがとてもうれしいというか、印象的だなって思います。」
────これからの活動に向けた意気込みを聞かせてください。
○○「はい、今回のシングルから4期生もシングルのカップリングに曲が入ったりと少しずつ乃木坂46として活動が開始されていっているので、これから先輩たちのお役に立てるように、ファンの皆さんに楽しみをお届けできるように頑張っていきたいと思います。」
記者「質問は以上です!ありがとうございました!」
○○「ありがとうございました!」
記者「○○さんの真面目な人柄が伝わってきて有意義なインタビューでした!」
○○「いえいえ、私なんかがそんな大したことも言えず…なんか申し訳ありません…!」
記者「いやいや、そんなことないですよ!ファンの人たちもこれを読んで喜んでくれると思います!」
○○「だといいなぁって思います。笑 本日は本当に貴重なお時間をいただきありがとうございました!」
記者「こちらこそありがとうございました!」
そんなビジネスな会話と共に○○は部屋を後にした。
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マネージャー「あ、○ちゃん、明日〇ちゃん配信の仕事入ったから。よろしくね。」
○○「配信?私はそういうの初めてですよね。」
マネージャー「そうだね、他の4期生は何人かすでに配信仕事をやったことはあるけど、〇ちゃんは初めてかもね。」
〇〇「ちなみに一緒に配信をやるメンバーは?」
マネージャー「んーとね…あっ、清宮と掛橋。」
〇〇「えっ…。」
××(もしかして俺…終わった?)
「目が覚めたら乃木坂4期生の〇〇でした」 第35話 終
続く