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「推しメンが誕生日を祝ってくれました」

3.2.1…0。

時刻は0:00。日付が変わった。

これで今日は俺の誕生日だ。

といっても、俺は大学であまり上手く行ってる方ではないので、陽キャみたいに「誕生日パーティー!」なんてこともないのだが。

今年も地元の幼馴染や友達、それから親族らから0時をちょい過ぎたあたりでメッセージが来た。

俺はそれを見て返信をしてから眠りについた。



次の日の朝。

今日は大学も休みなのでアラームもかけずに寝た。

朝9時。のっそりと起きた。

朝食を取り終えて誕生日の今日は何をしようかと考えていると、ピンポンが鳴った。

〇〇「ん?宅配なんて頼んでたかな…。」

まさか母親が誕生日祝いに押しかけてきたか…?

〇〇「はーい、どちら様ですか〜?」

インターホンのモニターをつけると、そこには…。

遥香「あ、私賀喜遥香って言います。〇〇さんのお宅でよろしかったですか?」

推しメン。

推しメンが写っていた。

一瞬自分がつけたのは本当にインターホンなのか目を疑った。

〇〇「かき…はる…えっ?はああああっ!?!?」

ズガッシャーン!ドーン!💥

思わず飛び退いて壁に激突してしまった。

遥香「えっ!?ちょっ!大丈夫ですか〜!?」

コンコンッ!

とノックの音。

〇〇(あなたのせいなんですが…。)

〇〇「あたた…。」

〇〇(え、てか何?今ドアの向こうに推しメンがいるの…?何で…?えっ…?)

遥香「あの〜…?」

〇〇「あっ!今開けますね!」

咄嗟に口から出ていたし動いていた。

ガチャッ。

扉を開けたその先にいたのは。

遥香「よかった!改めましてこんにちは!乃木坂46の賀喜遥香ですっ!」

〇〇「え、本物ですか…?」ゴシゴシ

遥香「ちゃんと本物です!」

〇〇「と、とりあえずここでは人目がありますから中にどうぞ…!」

遥香「あ、いいですか?お邪魔しま〜す!」

信じられない。自分の家に推しメンが上がり込んでいる。

いつもの光景に一つ輝きが違いすぎる光ったオーラを放った推しメンがいる。異質だ。

どういう状況?

〇〇「えと、つかぬ事をお伺いしますが、本日はどのようなご用件で…?それもかっきー、いやいや、賀喜さんが私の家に…。」

遥香「かっきーでいいよ!その方が落ち着くでしょ?」

〇〇「は、はい…。」

遥香「〇〇くん、数日前に乃木坂の企画に応募したでしょ?「誕生日を乃木坂に祝ってほしい」って!」

〇〇「企画…?…あっ!」

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1ヶ月ほど前。

〇〇「ん?なになに?」

ある日俺は乃木坂46から出されたニュースを見た。

そこに書いてあったのは。

「募集!乃木坂46に叶えてほしい事がある人!

乃木坂46があなたの希望を叶えに行っちゃいます!

以下のフォームより応募者様の情報をご入力ください!」

〇〇「叶えてほしい事かぁ…。」

『お名前:〇〇 〇〇
年齢:20
推しメン:賀喜遥香
叶えてほしい事:乃木坂メンバーに誕生日をお祝いしてほしい。
生年月日 2003年11月20日
電話番号:×××ー×××ー×××
住所:東京都〇〇 〇〇 ×ー×ー×』

〇〇「って。来るわけねえか…寂し。」

カチッ。と俺はスマホを閉じた。


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〇〇「あー、そんなの応募したわ…。まさかその企画で来たんですか!?あれ、だとしたらカメラは…?」

遥香「いえ!その応募された情報を見て私が個人的に来ちゃいました!」

〇〇「はあああああ!?!?」

俺は思わず大声をあげてしまった。

〇〇「いや!何してるんですか!早くお仕事に戻った方が…!」

遥香「今日無理やり開けて休みにしてきたんで大丈夫です!」

〇〇「えぇ…てか、何で個人的になんて来てくれたんですか?」

遥香「だって、〇〇くん、デビューした時から今日までずっと私のこと推してくれてるし、握手会とかミーグリにもたくさん来てくれてるよね!」

〇〇「はい、まぁ…認知もらえて嬉しかったです…。」

遥香「応募されてきた情報を見てビビッときたんだよね!今までの恩返しとして、〇〇くんにとって一年に一度の特別な日を精一杯お祝いしようって!」

〇〇「ありがとうございます…!俺、めちゃくちゃ嬉しいです!まさか、かっきーが俺の誕生日をお祝いしてくれるなんて…!うぅっ…!💧」

遥香「え〜!うそ〜!泣かないでよ〜!」

〇〇「だって…嬉しくて…。」

遥香「今日は1日、私は〇〇くんのために何でもしてあげる!さぁ、何をしてほしい?」

〇〇「何でも…。」

すると、遥香が顔を耳元に近づけてきた。

推しメンの顔がこんな至近距離にあることとシャンプーの甘い香りにドキッとする。

遥香「エッチなやつでもいいよ…?」コソッ

〇〇「!?…し、しませんしません!」

遥香「ふふっ、だよね!〇〇くんならそういうと思った!」

〇〇「あの、それなら、お願い聞いてもらえますか…?」

遥香「何なりと!」


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遥香「はい!お待ちどおさま!」

遥香は炒飯と肉じゃがを〇〇に差し出した。


〇〇の願いは、「かっきーの手料理が食べたい」というものだった。

〇〇「わぁ〜!超美味しそう!」

遥香「召し上がれ!」

〇〇「いっただっきま〜す!!」

遥香は頬杖をついて〇〇が食べる姿を眺めている。

〇〇「美味い!めちゃくちゃ美味い!最高!」

遥香「うふふっ、良かった!嬉しい!」

〇〇「うっ…!?うぷっ!?…!…!」ドンドン

〇〇は急に青ざめて胸をドンドンと叩いた。

遥香「あ〜!水、水、水!💦」

〇〇「ぷは〜!助かったー!」

遥香「も〜!おっちょこちょいっ!笑」

〇〇「ごめんごめん…!」

遥香「ふふっ、私たちカップルみたいだね?」

〇〇「っ…!?///」

遥香「あ〜!照れてる!」

〇〇「そりゃ照れますよ…!」

遥香「あ!敬語禁止ね!タメ口で!」

〇〇「えっ!だって、かっきーは推しだしその前に年上だし…!」

遥香「推しメンのお願いなんだけどなぁ…?」

〇〇「わかったよ…かっきー。」

遥香「えへへ〜。」

とそこで、遥香がビデオデッキを見て目を光らせる。

遥香「わぁ〜!このゲームうちにもある〜!楽しいよね!」

〇〇「じゃあ…やろうよ!」

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〇〇「よっ!スキあり!」

遥香「あ〜!〇〇くんズルい!」

〇〇「アイテムは使わなきゃでしょ!」

遥香「む〜!ほいっ。」

〇〇「あ〜!今NPCじゃなくて俺を狙ったでしょ!」

遥香「へへ〜ん!仕返しだよ〜!」

〇〇「くそ〜!やったな〜!」

遥香「きゃ〜!」


〇〇「負けた〜!!」

遥香「やった〜!!勝った〜!!」

〇〇「2勝2敗…引き分けかぁ…!」

遥香「は〜!楽しかった〜!」

〇〇「俺も楽しかった!」

遥香「さ、次は何しよっか?」

〇〇「それはもう考えてあるんだ!」

遥香「?」


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遥香(映像)『お前ら〜!!騒げ〜!!』

〇〇「Hu〜!!」

遥香「…!///」

〇〇の次のお願いは「本人と一緒に乃木坂のライブが見たい」。

遥香「ねぇ、なんか恥ずかしいんだけど…///」

〇〇「え…嫌だった…?」

しょんぼりしたように〇〇は遥香を見る。

遥香「嫌じゃないけどぉ…。」

〇〇「良かった!じゃあ続き見よ!」

遥香「うぅ…。」

遥香(映像)『声出し全然足りねえなぁ〜!もっとぉ〜!!』

〇〇「ここのかっきー、カッコいいね?」

遥香「うぅ…自分で自分の映像見るの恥ずかしい…。」

遥香は赤面して顔を覆い隠している。

〇〇「こういうライブの煽りの時どんなこと考えてるの?」

遥香「そりゃ…ファンのみんなに盛り上がってほしいとか?楽しんで欲しいとか、ファンのみんなと一丸になって楽しみたいなぁとか。」

〇〇「へぇ〜、立派だね!」

遥香「そ、それほどでも…。」

〇〇「俺はかっきーのそういうところが好きなんだよね!」

遥香「あ、ありがと…!///」


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そして、時刻はあっという間に夕方。

食卓には、たくさんのフライドチキンやポテトなどの豪華な料理。

遥香「じゃあ改めて!〇〇!誕生日おめでとう〜!」

パァン!🎉


〇〇「ありがと〜!!いただきます!」

遥香「どうぞどうぞ!」

〇〇「今日は本当にありがとう!かっきー!」

遥香「どうだった?良い誕生日になった?」

〇〇「うん!人生で一番最高な誕生日になった!推しに1日使って祝ってもらえるなんて、この世で一番の幸せ者だよ!!」

遥香「私も〇〇の笑顔が見られて嬉しいよ!」

そして、晩餐も終わって食器が空っぽになったあと。

遥香「というわけで!はい!〇〇くん!プレゼント!」

〇〇「えっ!?」

渡されたのは、小箱と色紙。

色紙には

『〇〇くんがずっと応援してくれたから今日まで私は頑張ってこれたよ!ありがとう!誕生日おめでとう!!』

と書いてあった。

そして小箱を開けると、そこにはブレスレットが入っていた。

ふと裏側を見るとそこには。

「〇〇&Haruka」

と彫られていた。

遥香「このブレスレットね、実はお揃いなの!私も大切にするし沢山つけるからね!」

〇〇「お揃い!?ちょっ!いちファンにこんなもの送っちゃって良いの!?事務所にバレたらヤバいんじゃない!?」

遥香「そうだよ、だからこれは秘密ね?〇〇くんなら守ってくれるって信じてるよ?」

〇〇「も、もちろん!!」

遥香「いつかお返しもらおうかな〜。」

〇〇「あ、は、はい!いつか必ず!」

遥香「じゃあ、私が乃木坂卒業したあたりで、もう少し小さい輪っかが欲しいな?お揃いで、同じように刻印がしてあるやつ!♪」

〇〇「えっ…!そ、それってゆ、ゆび…!けっこ…!」

遥香「じゃあ、私はそろそろ明日はお仕事があるし、お暇しようかな。」

〇〇「え、あ、うん…。」

〇〇は途端にしょんぼりと声のトーンが落ちてしまう。

遥香「そんな寂しそうな顔しないで?またすぐに会えるよ!ね?」

〇〇「うん…!絶対にまた会いに行くからね!」

遥香「うん、待ってるよ、今日は本当に誕生日おめでとう。」

そういうと、遥香は〇〇に近づいてきて…。

チュッ❤️

〇〇「!?」

遥香「へへ…じゃあね!〇〇っ!」

ガチャッ……バタン。

〇〇「…ありがとう、かっきー。」




遥香「あーあ、つい会いにきちゃった。卒業後まで会わないと思ってたんだけどなぁ。けど、本当に楽しかったなぁ。」

遥香(言えないよね、握手会とかでお話しするうちにいつのまにか好きになってました、なんて。///)

遥香「次に会えるのはいつかな、お仕事頑張ろっ!♪」

遥香は脚を弾ませて、帰路に着いたのだった。





「推しメンが誕生日を祝ってくれました」 終



p.s.
私ジョーカー。本当に今日誕生日です。
スキを押すだけでもいいし、マシュマロやTwitterでメッセージでも良いので、祝ってくださいな。

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