「目が覚めたら乃木坂4期生の○○でした」 第32話
ある朝、目が覚めると、女の体、しかも乃木坂46の4期生になっていた✕✕(現世名:○○)。前回は、23枚目シングル発売記念の4期生ライブを12人全員でやりきることができた。
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閉幕後、ステージ裏を歩く、4期生たち。
ほとんど全員が涙目である。
○○はと言えば、泣いていない。
泣いている清宮に寄り添って、笑って話しかけている。
清宮は、今泣いている4期生の中でも一番泣いていた。
ライブの直前に階段から落ちてけがをしてしまい、ライブに参加できるかも、満足に踊れるかも危うかった。
それを乗り越えて見事にライブをやり切ったのだ。
抱えていたプレッシャーと責任感は人一倍だった。
○○はと言えば、そんなレイの横を歩きながら励ましていた。
○○「よくやったよくやった、レイちゃんはよく頑張ったよ。」
レイ「うん…。」
そんな時、○○の目には清宮の背中が横目に視界に入る。
✕✕(背中をさするぐらい…してもいいだろうか…。)
初めての工事中の収録の時、同じように緊張していたレイを励まそうとしたが、あの時、○○は、いや✕✕は、自分は男という抵抗感からレイに触れることができなかった。
次第に女としての生活に慣れ、少しずつメンバーに触れることも増えてきた。
だが、正直言うと、ライブ中のパフォーマンスにあった、おいでシャンプーの振付がしんどかったと思っていた。
だってスカートをつかんだりつかまれたり、腰を触ったり触られたりするのだから。
そして最後には前のメンバーの背中に寄りかかり後ろのメンバーから寄りかかられるのだ。
重ね重ね言うが、もし✕✕のもとの男の姿だったら、大問題である。
最悪即刻逮捕されている。
話がそれた。
○○は今、レイの背中に手を置くべきか迷っている。
スキンシップは人を励ますときには有効的、それに女子同士のコミュニケーションならなおさら効果的である。
実際、メンバー同士のスキンシップは映像でもよく見る。
だが、女子に触れるなど、たとえ自分が女だったとしても…。
✕✕(…。)
○○がそっとレイの背中をさすってあげようとそっと手を伸ばそうとした時。
視界の外から手がすっと伸びてきて、○○より先にレイの背中に触れた。
それに驚いた○○は手を引っ込めてしまった。
○○が手が伸びてきた先を見ると、レイの背中に触れていたのはあやめだった。
あやめ「大丈夫だよレイちゃん~、泣かない泣かない!しっかりやり切ったんだから~。」
と言いながら、レイの涙を親指で拭ってあげる。
とても今の○○にはまねできない。
しかし、レイを励ましつつ、あやめも少し涙ぐんだままである。
○○「あやめんも泣いてるじゃん…。笑」
あやめ「え?そう?あれ?笑」
と照れているようなごまかそうとしているように、自分の目じりをぬぐった。
とそこに、美緒が話に入ってきた。
美緒「そういえば〇ちゃんって全然泣かないよね。」
○○はギクッとした。
そりゃ、もともとの男としてのメンタルがそのまま反映されているからである。
○○「そ、そうかな?昔泣き虫だったから、今は逆に泣かなくなったのかも~…?」
✕✕(昔のこいつ(○○)のこと知らないけど…💧)
美緒「え?そういうものなの?」
○○「あ、あはは…。」
そんな風に誤魔化していると、あっという間に楽屋に着いた。
真佑「というわけで!4期生ライブだーいせいこー!!」
「「わーい!!」」
レイ「お疲れ様~!」
「「お疲れ様~!!」」
みんなで楽屋でケータリングを食べながら軽い打ち上げをする。
カップ麺やお菓子を食べながら和気あいあいとした会話が繰り広げられる。
そのうち、このライブの翌日が休みであることに話題が遷移していった。
真佑「ねね、明日の休み何する?」
遥香「えー明日~?たまってるアニメ消化しようかな~でも夕方になったら…」
真佑「うん、先輩たちのライブ見に行くよね!」
そう、この翌日は先輩たちの選抜ライブがあるのである。
4期生のほとんどは、後輩としての礼儀として彼女らのライブを見に行く者が多い。
○○「そっか、明日休みか…。俺も家でまったりかなぁ…。」
などと独り言を言っていると。
さくら「〇ちゃん。」
○○「!?」ビクッ
突如真後ろにいたさくらに気づかなかった。
さくら「あ、ごめん、びっくりさせちゃった?」
○○「いやいや、全然…!どうしたの?」
✕✕(よかった…聞こえてないよな…。)
さくら「あのさ、明日って、空いてるかな?」
○○「え、あぁ、空いてるけど…。」
さくら「じゃあさ…。」
○○「ん?」
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さくら「おまたせっ…!」
○○「いやいや、全然。私も今着いたところだから。」
さくら「ふふっ、なんかデートみたい。笑」
○○「デ、デート!?///」
さくら「ごめんごめん、冗談だよ。」
○○「あ、あぁ…。焦った…。」
さくら「行こっか?」
○○「お、おう…あ、いや、そうだね!」
○○は、さくらとショッピングに出かけに来ていた。
私服の調達がしたく、そのために○○の意見が欲しいとのことだった。
さくら「〇ちゃんの今日の服、かわいいね!」
○○「そ、そうかな…!さくちゃんだってかわいいじゃん!」
さくら「え~?そんなことないよ~!///」
✕✕(まんざらでもない顔してるし…。笑)
さくら「あ、ここ見よ!」
○○「お。オッケー。」
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さくら「うわっ、これ可愛い!」
○○「うん、なかなかいいんじゃない?」
さくら「ちょっと試着してくるね!」
○○「は~い。」
さくらはルンルンで試着室へと入っていく。
○○「可愛い…。」
さくら「ど、どうかな?」
〇〇「可愛い!めっちゃ可愛い!」
さくら「ふええ…///そんな褒めないでよぉ、照れる…///」
××(マジ可愛い、なにこの子…。)
さくら「これは?」
○○「似合ってる!」
さくら「はい!」
○○「いいね!」
さくら「じゃんっ。」
○○「👍」
さくら「もうっ!決まらないじゃんっ!」プクー
○○「カワイイ。」
さくら「むぅ~~!」
○○「ゴメンゴメン、どれも本当に似合ってたからさ…!」
さくら「えぇ…?そんなことないよぉ…///」
✕✕(ちょろいな…。)
さくら「本当に、全部よかった…?」
○○「う、うん、甲乙つけがたかったな…。」
さくら「じゃあ、全部買っちゃおうかな…。」
○○「ええ!?全部!?」
さくら「だって、○ちゃんが全部かわいいって言ってくれたから…。」
○○「えぇ…おr…私の意見ってそんなに完璧じゃないよ?ファッションに強いわけでもないし…。」
すると、さくらが遠慮がちに、しかしぐっと○○に近寄ってきた。
○○「な、なに?」
さくら「…。」
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○○「かっきーも、まゆちゃんも、せーらも、勿論私も」
○○「みんなさくの力になる」
○○「さくの抱える不安もよくわかってる、同じだから」
○○「だからさ、一緒に乗り越えてこうよ」
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さくら「な、何でもない…!」
さくらはクルリと振り向いてレジの方に向かっていった。
○○「?」
○○も、首を傾げながら後をついていく。
さくら(私は、○ちゃんが─────)
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さくら「なんかごめんね、さくの買い物にばっかりつき合わせて。」
○○「いやいや、いいんだよ、さくちゃんが満足なら。」
さくら「〇ちゃんは服とか買わなくてよかったの?」
○○「服?別にそこまで服は困ってないかな…。」
さくら「でももうすぐ握手会あるでしょ?それ用の服、新調した方がいいんじゃない?」
○○「握手会…あ”っ!」
さくら「忘れてた?笑」
○○「面目ない…。」
さくら「よし、じゃあさくが〇ちゃんの服選んであげる!お礼したいから!」
○○「えっ!」
さくら「さっ、行こ行こ!」
ギュッ
さくらは○○の手をつかんで走り出す。
○○「あ、ちょ、手…!」
✕✕(意識しちゃうって~~!!💦)
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○○「ほえー、こうしてみると女の服って似たようなのでもいろいろ違っていろんな種類があるんだな~…。」
さくら「何言ってんの?笑 〇ちゃんもずっと女の子でしょ?」
○○「へっ!?いやいや、そ、そうだよな!」
さくら「でも色々あるのは本当だよね!種類がたくさんあるからおしゃれが楽しいんだし!」
○○「そういうもんか…。」
さくら「こんなのどうかな?」
さくらは○○に服を重ね合わせる。
さくら「うん、なかなかいいかも!」
○○「あ、あぁ、そうか…。」
✕✕(全くわからん…確かに街中でこんな服着た女を見たことがある気がしなくもないが…。)
さくら「試着とかしてみる?」
○○「そうだね、着てみよっか。」
シャーッ
○○「どう?」
さくら「うーん、なんか変…?」
○○「え、そうなの?」
さくら「ちょっと待ってて、色違い持ってくる!」
○○「いってらっしゃい…。」
シャーッ
さくら「うん!いい!似合ってる!」
○○「そ、そうかな…えへへ…。」
さくら「よし、この調子でたくさん服を調達してこ!」
○○「お〜!」
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さくら「お互いいっぱい買ったね〜。」
〇〇「だね〜。」
2人の手には一杯の買い物袋。
こんなに洋服を買ったのは初めてだ。
さくら「あ、ソフトクリーム。」
さくらが見る方向を向くと、確かにソフトクリーム屋さんがあった。
〇〇「買ってこよっか。」
さくら「じゃあお金を…。」
〇〇「いいっていいって。こういう時ぐらい奢らせてよ。ねっ?😉」
さくら「え、あ、うん…じゃあ、お言葉に甘えて?」
〇〇「よし来た。ちょっと待っててね。」
〇〇はソフトクリーム屋さんへと向かっていく。
さくら「なんか、男前かも…。」
さくらが〇〇の背中を見送っていると、その背後に、怪しい人影。
「お嬢ちゃん。」
さくら「えっ…?」
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数分後、ソフトクリームを買い終えた〇〇。
〇〇「さくちゃんお待た…せ…?」
〇〇がさくらの元に戻ると。
さくら「困ります…!やめてください…!」
男「いいじゃんいいじゃんちょっとぐらいさ〜。君可愛いしさ。」
男2「俺たちと楽しいことしようぜ?カラオケとか行こうよ。」
さくら「だから、さっきから嫌だって言ってるじゃないですか…!」
男「そう堅いこと言わずにさぁ。」
男がさくらに手を伸ばすと、その腕をガシッと掴む手が。
〇〇だった。
〇〇「この人、自分の連れですけど。何してるんですか?」
さくら「〇ちゃん…!」
男「おっほ、イイ子がもう1人増えたじゃん!こっちの子も可愛い〜!」
男2「しかも君ら知り合い?ちょうどいいじゃん、2:2で遊ぼうよ〜!」
〇〇「ん?」
××(なんか、思ってた反応と違う…。)
普通なら、
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男「なんだお前!」
とか
男「ちっ、連れがいたのかよ」
とか
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なるもんじゃないの?
てかもう1人増えたとかこっちの子も可愛いって…。
・ ・ ・ 🤔……。
××(俺のことかーーーーー!!!)
××(そうじゃん俺今女じゃん!!)
××(最悪だよ、猛獣から肉を取り上げようとして別のお肉が飛び込んできちゃったようなもんじゃん!意味ねえ!猛獣にご馳走増やしちゃってんじゃん!)
男「さぁさ、遊ぼうぜ〜?」
さくら「〇ちゃん、怖い…。」
さくらは〇〇の服の袖をキュッと掴んで背中に隠れている。
××(どうする…!どうする!?男と女じゃ力の差は歴然、絶対負ける!何か、何かゲームみたいな弱点でもあれば…!……ん?)
そこで××は思いつく。
××(あるじゃん。弱点。)
〇〇は男へと近づいていく。
男「お?素直だね〜?」
〇〇「…っ!」
〇〇は思いっきり膝を振り上げ、
男の股間に直撃させた。
ガンッ!!
リプレイ。
ガンッ!!
再リプレイ。
ガンッ!!
金的。👑🥚🐘
男である以上全員に共通する唯一の弱点。
男「!?!?!?!?!?!?😱💦💧😵」
グギュッ
〇〇の膝がめり込み、嫌な音がする。
男はたちまち崩れ落ち、のたうちまわった。
男「くぁwせdrftgyふじこlp〜〜〜!!!!」
男2「お、おい!大丈夫か!?お前!!」
〇〇「フンッ!!」
ゴンッ!
今度は、金的でボレーシュート。
男2「😱…!」
男2もその場に崩れ落ちた。
男2「くぁwせdrftgyふじこlp!!」
〇〇「よし!今のうちに!逃げるよ!」
さくら「えっ!?えっ!?」
〇〇はさくらの手を掴んで走り出す。
さくらはされるがまま走っていく。
その瞬間が、さくらの目にはスローモーションに感じた。
目の前には、自分の手を引いて走る〇〇の背中。
さくら(私は…〇ちゃんのことが…!)
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そこから少し走り、先ほどとは遠く離れた場所。
〇〇「大丈夫だった?」
さくら「う、うん…!ありがとう!」
〇〇「お礼なんて要らないよ。むしろ怖い思いをさせてごめん、私が1人にさせちゃったから…。」
さくら「いやいや、そんな…。」
さくらの視線は、未だ繋がれっぱなしのお互いの手に向いている。
〇〇「あ…!///ご、ごめん!」
さくら「いやいや、それこそ全然!気にしないで!女の子同士だし!」
〇〇「あ、ソフトクリーム食べる?🍦」
さくら「えっ!?ずっと持ってたの!?どこに!?どうやって!?」
〇〇「え、ずっと。片手で。」
さくら「よく走ってて落ちなかったね…。」
〇〇「はい、さくちゃんの。」
さくら「ありがと…。」
さくらがソフトクリームをひと舐めすると、甘い味が口に広がる。
先ほどのナンパによる怖い思いが、薄れていくようだった。
さくら「甘くて美味しい…。」
〇〇「うん、美味いね!」
さくら「うまい?」
〇〇「うん、美味い。」
さくら「ふふっ、うまっ!」
〇〇「そこそんなにおかしい?笑」
さくら「フフッ…🤭」
ソフトクリームも食べ終わった頃。
〇〇「そういえばさ。」
さくら「ん?」
〇〇「何で今日のお出かけ、私を誘ったの?」
さくら「えっ?」
〇〇「いや、4期生たくさんいるのに、何でそこから俺選んだのかな〜って。私服とか詳しくないし、その辺聞くならせーらとかまゆたんとかが良かったんじゃ?何で私なのかなって。」
さくら「それは…。」
〇〇「…?」
さくらは〇〇の目を一途に見つめた。
さくら「私、○ちゃんのことが好きだから。」
〇〇「……えっ?」
え?えっ?えっ…?
〇〇「ええええええええーーーーっっ!?!?」
「目が覚めたら乃木坂4期生の〇〇でした」
第32話 終
続