「目が覚めたら乃木坂4期生の○○でした」 第5話
目が覚めると女に、しかも乃木坂4期生になってしまっていた××(現世の名前:○○)、レッスン所に来ると、お見立て会が2週間後だと知らされて…。
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○○「お見立て会が…2週間後!?」
そういえば今日目が覚めた時に見た日付は確かに4期生のお見立て会の2週間前だったことに思い当たる。
筒井「やっぱりそこも忘れちゃってたか…。」
金川「じゃあ○はお見立て会出られない?」
北川「いや、そういうわけにはいかないんじゃないかな…。」
柴田「2週間で振り入れから最終確認までを済ませるしかないよね…。」
4期生一同が顔を曇らせる。
矢久保「披露する曲はわかる?」
○○「おいでシャンプー、制服のマネキン、インフルエンサー…。」
矢久保「あ、そこは覚えてた!」
○○「え?あ、いや、何でわかったのかな…?」
○○は唖然としながらもつい反射的に答えてしまっていた。
勿論ファンだったが故に知っていた知識である。
4期生になってからの記憶がないという設定が崩壊しかけ、咄嗟に取り繕う。
するとそこへレッスン所の扉を開けて誰かが入ってきた。
??「はーい、みんな並んで。昨日の続きから行くよー」
どうやらダンスの先生のようだ。
早川「あ、コーチ。実は…。」
コーチ「記憶がない?振りも全部飛んじゃったの?」
○○「すいません…。」
本当はそもそも振りを知らない。
コーチ「話の流れはわかったわ、でも困ったね…。」
コーチ「じゃあ今日は○○の振り入れとみんなの振りの再確認を含む意味で、一から教えていくよ!」
コーチ「みんなも自分の振りを確かめるのと並行して、○○をサポートしてあげること!」
4期生「はい!」
○○「はい…。」
××(誰だか知らないが随分変な時期に飛ばしてくれたな…。)
コーチ「じゃあ取り敢えず、早めにレッスン着に着替えてきて!」
○○「あ、はい!」
そうして走り出して数歩のところでピタッと止まる。
コーチ「どうしたの?」
○○「更衣室…どこですか?」
コーチ「えっ?」
《レッスン中》
××はダンスをしながら、○○の体としての感覚と元の自分の体とのギャップを感じていた。
××(手足は心なしか少し軽い)
××(腕を触る動作なんかも自分の腕が細い)
運動を元からよくする人だったのだろうか、体が軽くて柔らかい。
××(一方で、力は弱いな…。)
××(息切れも早い…。)
××(ていうか、胸が…。)
女性の体型に慣れておらず、一部の腕の動作で胸に手が当たる。
男の頃は胸の前で腕を振っても何も無く普通に通り抜けていた部分に引っかかりがあるのは、どうも慣れなかった。
あと単純に重いとも感じていた。
《レッスン後(15:30)》
○○「疲れた…」
田村「はい、お水」
○○「あぁ、ありがとう、田村さん…。」
田村「田村さん…?」
○○「真佑…ちゃん?」
田村「うん、そう」
田村「あと、疲れてもあぐらかかない、女の子だし、これから乃木坂だよ?」
○○「!」
××(つい反射的に男の仕草が…。)
××(この辺にも気遣わなきゃいけないのかぁ…。)
田村「じゃあ、早めに着替えて出ようか」
○○「えっ…。」
そうだ、今日始まりは一人で着替えたが、終わりはみんな一斉に着替える。
4期生たちと着替えを共にする事になる。
○○は、いや、内心の××は緊張していた。
みんなで雑談しながら更衣室に入ると、みんな次々と着替えを始める。
○○は自分の荷物を一点に見つめて考えていた。
××(顔をあげて良いのか…?いやダメだダメだ)
××(でも今の俺は女なんだからここは合法という事に…。)
××(いや心が男である以上ダメだろ、倫理的に!)
××(でもこれから何年も共に活動するわけだから毎回着替えにここまで戸惑うわけには…。)
己の中で散々いろんな意見が飛び交った後…。
××(少しだけなら…失礼しまーす…。)
そう心で呟きながら顔をあげ振り返る。
そこにあったのは確かに4期生達の着替え姿だったのだが…。
××(…あれ?)
何も感じない。
ただ女の子達が着替えている。
それだけだ。
××(もしかして、今俺は女だから…。)
嫌らしい話、男女問わず、性的反応には身体的な変化が伴う。
しかし今の××、もとい○○の体には男子としての性的反応や精神の変化に対応する身体的器官がない。
そして、一説では精神と肉体は相互関係にあるという。
もしかしたら身体が反応を示せない事に精神が影響を受けて、精神でも反応がなくなったのかもしれない。
例えていうなら、人間から急にゾンビにされた元人間が、人間だった頃の名残で無意味な食事や睡眠を取ろうとしたりするみたいなものだ。
その理屈で言えば、今の××の中にある男としての彼女達の着替えに対する後ろめたさも、以前の体の名残からくる錯覚という事になる。
いずれ彼女らのこういった姿にも本当に何も感じなくなる。
その結論に思い至ると、××は心の中でどこか安堵しつつ、男としての何かを失いつつある気がする喪失感に複雑な心境だった。
賀喜「ねぇ、この後時間ある人いる?」
田村「私いけるよ」
遠藤「私も大丈夫…かな」
早川「せーらも大丈夫〜」
北川「ごめん、学校の勉強が…。」
矢久保「私も…。」
といった具合にイエスノーが分かれていき、最終的に時間があるのは遠藤、賀喜、田村、早川になった。
賀喜「○ちゃん!」
○○「ん…何です…じゃないや、何?」
賀喜「この後みんなでご飯食べに行かない?」
第5話 終 つづく
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画像が全然なくてすいません…。
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