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「星は微かに光り」 第18話

ある日、麻衣に集められた〇〇達は、闇魔導組織【セブンス・シン】の討伐を依頼された。
セブンス・シンは危険な魔法《カルマ》を発動するための書を盗んでおり、放っておくとかなり危ないこと、そして、数日前からそのセブンス・シンの偵察に行っていた梅澤美波が行方不明になっていることを知らされた。

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麻衣から説明があった翌日の朝。

〇〇「よし。桜、行こう。」

桜「うん。」

2人は早朝、家を出ようとしていた。

そこで。

奈央「お兄ちゃん!桜ちゃん!」

〇〇・桜「!!」

振り向くとそこには、奈央が不安げな表情で立っていた。

〇〇「奈央…どうして…。」

奈央「お兄ちゃん…桜ちゃん…どこ行くの?」

〇〇「それは…。」

麻衣から機密とされたこと、そして何より奈央を不安にさせたくない思いから、真実を打ち明けることができなかった。

奈央「2人とも、昨日帰ってきたあたりから変だよ…昨日麻衣さんから呼ばれた時に何かあったんでしょ?」

桜「…。」

奈央「…どうしても話してくれないんだね…。」

○○「うん、奈央は大切だけど、こればかりは話せない。俺も、桜も。」

奈央「そっか…。わかった。でも、一つだけ約束して。」

○○「?」

奈央「必ず、無事に帰ってきて。」

○○「…うん。必ず帰ってくる。だから待ってて。」

桜「おいしいご飯でも用意してね。」

奈央「…へへ、私だって料理できるようになったんだから!お兄ちゃんも桜ちゃんも、麻衣さんも、みんなびっくりさせちゃうんだから!」

○○「ハハ、楽しみにしてるよ。」

○○と桜は前へ向き直り、奈央に背を向けて歩き出した。

だんだんと遠ざかっていく、二人の背中。

奈央「絶対だよ…お兄ちゃん、桜ちゃん。」


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バイオレット魔法学園のある都市、カザギノの郊外にある平原。

そこにそびえたつ建物。

ここは、バイオレット学園が白石麻衣名義で所有する別荘である。

そして今は、今回の作戦における集合場所にもなっていた。

○○「お待たせしました。皆さん。」

○○たちが到着し、別荘に入る。

美月「おはよう、○○君。」

○○「おはようございます。」

「おはよう。」「おはよう、桜ちゃん。」

それぞれが○○たちに挨拶をする。

史緒里「さぁ、これで全員揃ったね。改めて、今回の作戦ついて再度確認を行います。」

史緒里が説明を始める。

史緒里「今回の私たちの任務は、極秘の大魔法《カルマ》の書を奪還することと、それを奪った闇魔導組織、セブンス・シンの討伐です。」

すると、史緒里が瑛紗に合図し、それと同時に瑛紗が念を込める。

その瞬間、○○たちの頭の中に映像や画像などの情報が流れ込んでくる。

そしてそれは、7人の人物のプロフィールや画像だった。

瑛紗のテレパシー魔法を利用した情報伝達である。

史緒里「今みんなに送り込んだのは、セブンス・シンの構成メンバーの情報です。彼らの名前はそれぞれコードネームで呼ばれており、本名は不明です。」

美月「【憤怒】【嫉妬】【怠惰】【色欲】【暴食】【傲慢】。そして、リーダーのこの中年の男が【強欲】と呼ばれています。」

○○「7つの大罪に倣ってコードネームをつけてるのか…。」

美月「セブンスシンはこの別荘から西に進んだ先にある『ツミの森』に立つ廃墟となった城にアジトを構えています。私たちはこれから、瑛紗ちゃんを除いて全員でこの城に突入します。」

史緒里「瑛紗ちゃんはここに残って遠隔通信魔法で私たちへの指示と支援をお願い。」

瑛紗「了解です。」

史緒里「セブンス・シンの討伐が完了したら、一人はみねうちで残さなければなりません。彼らに捕まったと思われる私たちの生徒会長、梅澤美波の行方を聞き出す必要があるからです。」

美月「そして、今回の作戦の指揮は私、山下美月と。」

史緒里「久保史緒里が務めます。説明は以上。何か質問は?」

その場が静かになる。

史緒里「ないようね。それでは全員…」

「出撃!!」

「「はい!!」」


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別荘を出て、歩くこと数十分。

一つの大きな森が眼下に見えてきた。

そして、その中心には、洋風な城がそびえ立っている。

遥香「ここが「ツミの森」…。」

さくら「そしてあれが、セブンス・シンがアジトにしている居城…。シンズ城…。」

○○「…行きましょう。」

○○たちが歩みを進めようと踏みだした時だった。

ゾワッ…!

○○「!」

○○「みんな伏せろ!!」

突然の○○のその声に一同が驚いたものの、反射神経ですぐにその場に伏せる。

次の瞬間。

ドォォォォン!!

○○たちの目の前が突如大爆発を起こした。

「「!?」」

遥香「何!?」

あやめ「…!」

突然の事態に、○○たちの一部は状況が呑み込めない。

目の前に立ち上る土煙。

その中に、何やら影が現れる。

美月「ねぇ…!」

史緒里「わかってる…!」

最前線にいた美月と史緒里の二人が身構える。

史緒里「みんな!何か来るよ!!」

その言葉に一同が一斉に戦闘態勢に入る。

○○「…!」

その土煙の中から現れたのは…「8人の男女」。


大柄で猫背な男が口を開く。

嫉妬「でへへ…!全員吹き飛ばしたぞぉ。なぁ、嫉妬した?嫉妬した?」

そして肉を持った女がかじりつきながらしゃべる。

暴食「相変わらずねちっこいわね、嫉妬。てか、一人も倒せてないわよ?モグモグ。うま。」

とそこに、額に青筋を立てた男が顔をしかめながら怒鳴る。

憤怒「腹立たしい!誰一人倒せなかったではないか!なんと腹立たしい!」

嫉妬「あれぇ?おかしいなぁ?」

すると、すらっとした背の高い男がため息をつく。

傲慢「珍しくしくじったな、嫉妬。仕事も何事も速さが一番だっていうのに。まったく。」

その後ろから顔を出したホスト風の男が喜びの声を上げる。

色欲「うわぁ~!女の子だ!女の子がいっぱい!嬉しいなぁ!」

さらにその横で、みこしのようなものを宙に浮かせながら、黒髪の男が寝息を立てていた。

怠惰「zzz…💤」


茉央「…ねぇ。」

和「うん…間違いない…!」

咲月「こいつらが…!」

○○「セブンス・シン…!!」


とそこに、一番奥から杖を突いた中年の男が現れた。

強欲「まぁよかろう。クズどもなんぞ、ここでわれらの手で排除すればいいのだから。」


蓮加「あれがリーダー…なんて圧力なの…。」


だが、セブンス・シンは7人にもかかわらず、『もう一人』、そこにはいた。

彼らの一番奥から、その8人目が姿を現す。

その姿に、美月、史緒里、蓮加は顔を引きつらせ絶句した。


史緒里「な、何で…。」


美月「なんでアンタがそいつらといるのよ…!!」










美月「うめ!!」




「星は微かに光り」 第18話 終

続く


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