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「妄ツイの世界」

〇〇「あー、今日読んだやつもいい話だったな〜。このキュンキュンくる感じ、最高!」

俺は〇〇。

ただの乃木坂46が好きな20歳である。

普段は乃木坂をこよなく愛しながら過ごすただの大学生なのだが、そんな俺には寝る前にとある日課がある。

それは、乃木坂のメンバーが題材となっている仮想の話、いわゆる「妄ツイ』を読むこと!

実在する乃木坂のメンバーを話に組み込んであんなことやこんなことをさせるのは気が引けるが…。

この妄ツイというのは意外と界隈が広く、その線で仕事をした方がいいのではないだろうかと思えるような文才や物語の構想力をもつ天才的な書き手さんが沢山いる。

日々そういった天才的で面白い話を作り出すクリエイターの方々の作品を寝る前に読ませてもらい、心にときめきを抱えた状態で寝るのがすごく幸せで快眠できる、俺の日課なんだ。

〇〇「お!新しく書き手デビューしたって人がいるじゃん!この人の作品も読んじゃお!」

こんな感じでフォローする書き手さんが増えに増えて、今や収拾がつかないけど…。

そんな俺が妄ツイの中で今一番ハマってるのは!

我が推し、池田瑛紗ちゃんが主人公の妄ツイを見ること!

書き手さんによっててれぱんのキャラクターの色は十人十色、色んなてれぱんが見れて、色んなキュンキュンをもたらしてくれるてれぱんが見れる!なんと幸せだろうか!

〇〇(くぅ〜!なにこの告白のシチュエーション!最高すぎる!今日までこの長編読んできてよかった〜!……それで?お?お?うわーーーー!キスしちゃったーーーー!!)

〇〇「ふわぁ…そろそろ眠くなってきたな…げ、もうこんな時間か…。寝なければ…。」

俺はそのままスマホを閉じ、眠りについた。






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…て。…ーい。

起きて。おーい。

「起きて!おーーーい!」

〇〇「はうぁっ!?起きます!〇〇起きます!おはようございます!…んぇ?」

唐突な大声と起きろの指示に、我ながらよくわからない声を出して目を覚ます。

あれ、俺って一人暮らしじゃなかったっけ…。

だとしたら俺を起こしたのは…誰?

次第に目の焦点が合い始め、視界がハッキリする。

そこにいたのは…。

瑛紗「もぉ〜!やっと起きた〜!ねぼすけさんだなぁ。」


〇〇「…池田瑛紗……!?」

推しメンである池田瑛紗が、目の前にいた。

〇〇「寝ぼけてるんだな、ハハッ…もう一眠り…。」

俺はもう一度枕に頭を預けようとすると…。

瑛紗「おぉ〜きぃ〜ろぉ〜!!〇〇〜!」

…どうやら寝ぼけによる幻覚じゃないらしい。

となると…。

〇〇「うええええええぇっ!?」

瑛紗「うわっ、ビックリした!」

〇〇「な、な、な、なんで池田瑛紗がここに!?」

瑛紗「どうしたの?急にフルネームなんて。変な〇〇っ。」

〇〇「え、今名前…うぇえっ?」

瑛紗「ほら起きて?今日は一緒に水族館に行って欲しいって、誘ってきたのは〇〇でしょ?」

俺は息を吸いながら答える。

〇〇「すーー…………いぞくかん…?」

瑛紗「すーいぞくかん。」

〇〇「待てよ…なんかどこかで…デジャヴ?いやいや…てれぱんと出かけるデジャヴって何…。」

瑛紗「何ぶつぶつ言ってるの?さ、行こ行こ。」

〇〇「お、おう…。」


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水族館に来た2人。

瑛紗「わぁ〜!見て見て〇〇!綺麗なお魚さん達がいっぱい泳いでる!」

〇〇「…。」

〇〇の訝しむような表情は変わらず。

〇〇(一個一個どこかで聞いた気がするんだよなぁ…。)

瑛紗「〇〇!これ何て魚かな!?」

〇〇「あっ!思い出した!」

瑛紗「うん?何を?」

〇〇「うぅん!?い、いや、こっちの話!ハハ…。」

瑛紗「?」


思い出したぞ思い出したぞ。

この展開、てれぱんの台詞、

これ全部、


ここ最近読んだ妄ツイの内容にそっくりじゃんか!

水族館に行くのは確か、禾さんの作品の「幼馴染と水族館」って作品だったはず!

てことはここは妄ツイの世界か?

なんでこんなところに入り込んだ!?


瑛紗「ねぇ、〇〇?」

〇〇「うん?」

ギュッ。

不意に、手を握られる。

〇〇「ふぇっ!?」

瑛紗「はぐれるといけないからさ、手、繋いでて…?」

〇〇「う…うん…!」

でも、この世界、悪くないかも…。

その後、あっという間に夜。

2人は、水族館の近くの展望台に来ていた。

瑛紗「うわぁ〜!綺麗だね!〇〇!」

〇〇「うん、本当に綺麗。」

瑛紗「いい眺め〜。」

〇〇「瑛紗。」

瑛紗「ん?なぁに?」

〇〇「俺、瑛紗のことが好きだ。誰にも奪われたくない。俺の彼女になってくれないか?」

瑛紗「〇〇…。ありがとう、私も〇〇のこと、大好きだよ!これからよろしくね!」

〇〇「ほ、ほんとうに!?」

瑛紗「ほーんと!」

〇〇(まさか推しに告白してOKもらえる日が来るなんて…!)

〇〇「わーっ!」

いてもたってもいられず〇〇は瑛紗に抱きついた。

瑛紗「うわっ。えへへ、喜びすぎだよぉ〜。」

〇〇が少し体を離すと、2人の顔が至近距離にある。

〇〇「瑛紗…。」

瑛紗「〇〇…。」

2人はそのまま、幸せに満ちたキスを交わした。


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気がつくと、2人は家にいた。

〇〇「あれっ?」

俺ついさっきまで水族館デートして展望台にいたよね?

何ここ?

瑛紗「ど、どうしたの?〇〇…。キョトンとした顔して…。」

〇〇「てれぱん…。」

瑛紗「え…?そ、その呼び方は何…?」

〇〇「いや、別に…。」

ん?なんかおかしいぞ?

瑛紗が挙動不審すぎる。

彼女はついさっきまで俺とデートしてたてれぱんか?

瑛紗「そ、それで、あの…私って〇〇に似合う彼女になれてるのかな…。なんか、釣り合わない気がして…。」

なんかすごい内気になってる。

瑛紗「もしかしたら、別れた方が〇〇にとって幸せなのかなって…。うぅ…。」

待てよ、これは…。

野義さんの妄ツイ、「自信のない彼女を元気付けてそのまま…」じゃねぇか!

アレの展開的に、確かこの辺に…!

〇〇がソファを探ると、小箱が出てきた。

〇〇「瑛紗。」

瑛紗「…はい。」

〇〇「全然そんなことないよ。釣り合う釣り合わないとか関係ないの。俺は瑛紗が好きで付き合ってるし、無理に俺に合わせようしなくてもいいよ、どんな瑛紗でも、全部ひっくるめて俺は君が好きなんだから。」

〇〇は瑛紗の手を握って言葉を紡ぐ。

瑛紗「うっ…うっ…。〇〇…。」

〇〇「それでね?瑛紗。」

瑛紗「…?」

〇〇は先ほどの小箱を瑛紗の前に差し出した。

それを受け取って開けた瑛紗は、目をまん丸にして信じられない様子で目をパチパチと瞬きをしている。

中に入っていたのは、綺麗な宝石のついた指輪。

〇〇「俺と…結婚してくれませんか?」

瑛紗「〇〇…。本当に私でいいの?」

〇〇「うん。もちろん!」

瑛紗は大きな瞳からポロポロと涙を流しながら笑っている。

瑛紗「はい!喜んで!」

〇〇はそれを聞いて、安堵、喜び、驚き、様々な感情が入り混じった笑顔になった。

瑛紗「〇〇、大好き!」

〇〇「俺も大好きだよ!瑛紗!」

一つ屋根の下、2人は満面の笑顔で抱き合った。


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気がつくと、また家の中にいた。

でも腕の中に瑛紗はいない。

しかも今回はテーブルの上ではなく、ソファの上。

服装は、パジャマ。

〇〇(…おいいいいぃぃぃぃぃ!!!)

俺プロポーズまで成功させたんだけどぉ!?

何であんな幸せな時間無かったことにされてんのぉぉぉ!?

〇〇「〜〜〜〜〜〜!!」

〇〇が悶えていると。

瑛紗「〇〇、何見てるの?」

〇〇「ほえ?瑛紗?何見て、って…。」

気がつくと、〇〇はスマホを手に握っていた。

その画面には、ちょっと大人なビデオが…。

〇〇「…なんじゃこりゃぁぁぁ!?」

瑛紗は〇〇のすぐ隣に座り、〇〇の肩の上に頭を乗せる。

瑛紗「へぇ〜。〇〇はこういうのが好きなんだぁ?」

〇〇「待って!これは違うの!俺は…!」

瑛紗「隠さなくてもいいよ?別に嫌いになったりしないし、むしろ〇〇のことが知れて嬉しいから。」

瑛紗はそう言うと、〇〇を手招きした。

瑛紗「じゃあ〇〇、こっちきて?」

〇〇は瑛紗の意思のままに、それに応じる。

瑛紗に案内されて入った先は、寝室。

目の前には、ダブルのベッド。

〇〇「…!?」

〇〇が困惑していると、後ろから瑛紗が〇〇をベッドに押し倒す。

瑛紗「じゃあ、〇〇がだーい好きな、そのビデオみたいなこと、してみよっか?♡」

瑛紗は片手で器用に〇〇のパジャマのボタンを外しながら、もう片方の手で、お揃いのパジャマを着た、瑛紗自身のパジャマのボタンも外していく。

〇〇「えぇっ…!?///」

瑛紗「えへへ…♡」

〇〇「ちょ、ちょっと、何脱いでんの!?てか、何俺も脱がせてんの!?///」

瑛紗「今私『そういう』気分だから…♡」

〇〇(ちょっと待て…!これは…!)

昨日読んだノギさんのR18妄ツイ…!!

マズイマズイマズイ…!!

瑛紗「今夜は寝かせないから♡覚悟してね?〇〇?♡」

〇〇「ちょ、ちょっと待って、ウソウソウソウソ……!///」

瑛紗「いただきます…♡」

〇〇「あっ…あぁっ…///」


あああぁぁぁぁぁぁぁぁ!?♡♡♡─────



皆さんは、妄ツイの世界に入りたいと思った作品に出会ったことはありますか?

今夜、あなたが目を閉じ眠りについた時。

気がついたら、その世界に迷い込んでるかも知れませんよ。





「妄ツイの世界」 終

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