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「星は微かに光り」 第13話

バイオレットグランプリ決勝戦、科学教師のクレシマの暴走によりバイオレット魔法学園は混沌に陥ったが、〇〇達は満身創痍になりながらも、マジカロイド・アルティメットの動力部から和を助けだす事に成功した。

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美月「やったぁ!和ちゃんを助け出した〜!」

〇〇「ふぅ…。」

和「〇〇くん…。」

〇〇「ん?」

和「怖かったぁぁ…!」

和は〇〇に抱えられた状態で〇〇の胸に顔を埋め嗚咽した。

〇〇「本当にごめん。もう大丈夫だから。」

その光景を見て、美月達は安堵のため息を漏らす。



一方その頃、バイオレット学園内の別所では。

マジカロイド達が一斉に攻撃や追跡をやめ、その場に停止した。

男子生徒「と…。」

女子生徒「止まった…?」

男子生徒2「ロボット達が止まったぞーーー!!」

わああああああ!!やったあああ!!

屋上にて、その声を聞いていたレイとあやめ。

レイ「やった…!かっきー達がやってくれたんだ…!」

あやめ「うん、そうだね…!助かったんだね私たち…!」




さくら「闘技場の外が、随分と静かになりましたね…。」

史緒里「恐らくこのアルティメットがブレインだったのよ。全てのマジカロイドはこのアルティメットの操作で動いていたんだわ。それが陥落した今、校内全体のマジカロイド達も全て止まったはず。」

遥香「じゃあ、これでみんな助かったって事ですよね…!?」

美月「うん!やったんだよ私たち!」

闘技場にいた〇〇達も歓喜に満ちていた。

だが、そんな平和な時間も束の間。

クレシマ『ザザッ…ま、まだだ…!』

〇〇「…!?」

〇〇達が振り返ると、倒れたはずのアルティメットがギシギシと音を立て、所々の部分をショートさせながらも、起きあがろうとしていた。

史緒里「そんな…!何でまだ動けるの…!?」

クレシマ『動力部からその女を取られたのは誤算だったが…!アルティメットの体内には彼女から流れた魔力がほんの微量ではあるが残存しているのだよ…!動ける時間は僅かだが、この時間の間に、もう一度その女を取り返してやる!!』

遥香「そんな…!」

クレシマ『お前達は魔力も尽きてボロボロだろう!今度こそ完膚なきまでに叩き潰して、お前達に地獄を見せてやる!』

和「や、やだ…!」

和の〇〇を抱きしめる手に力が入る。

〇〇「くっ…!」

〇〇達が歯噛みした、その時だった。

ズンッ…


その場に居た全員が、感じ取った。

圧倒的な重圧と、壮大な魔力を。

さくら「!?」

美月「何…!?」

クレシマ『な、何なんだ!この圧倒的な魔力は!?』

〇〇「俺は知ってる…。この圧倒的な魔力は…。」


〇〇達は魔力の気配がする方向を見る。


闘技場の廊下、そこを歩いて現れたのは。


??「出張から帰ってきてみれば…。私の学園がこんな事になっていようなんてね…。」

美月「白石さん!」

〇〇「麻衣さん!」

クレシマ『しっ、白石麻衣!!』

バイオレット魔法学園校長にして、大魔導世界総合議会議員が1人、白石麻衣だった。

クレシマ(そ、そんな…!せっかく白石麻衣が出張でいない今がチャンスだと思ったのに…!)


麻衣「〇〇、和ちゃん、遥香ちゃん、さくらちゃん、美月、史緒里。」

〇〇達は麻衣の方を見る。

麻衣「私が帰ってくるまで持ち堪えてくれてありがとう。」

そして、麻衣はアルティメットの方をキッと睨む。

麻衣「それで、クレシマ先生、これは一体どういう事ですか?」

その瞬間、麻衣の体からまた魔力がゾワッと溢れ出す。

〇〇「…!」

史緒里「なんて魔力なの…!」

遥香「これが、白石校長の…!」

クレシマ『あ、あぁ…あぁぁ…!』

クレシマの怯えた声がアルティメットから漏れる。

クレシマ『うるさいうるさい!!お前も潰れろ!白石麻衣ぃぃぃぃ!!』

クレシマはそう叫びながら、アルティメットの手のひらを麻衣に振り下ろした。

それに対し、麻衣はスッと指先をアルティメットに向けると。


麻衣「《ゴー・トゥ・ヘブン》。」


その瞬間、巨大な光の柱がアルティメットを飲み込む。

辺りには衝撃波が発生し、〇〇達は吹っ飛ばされないよう踏ん張るので精一杯だった。

そして、その光の柱が消えた時。

アルティメットは跡形もなく消え去り、ボロボロになったクレシマがそこに立ち尽くしていた。

〇〇達は、その衝撃的な光景に唖然としているしかなかった。

遥香「あの巨大ロボットを…一撃で…。」

和「何なの、あの膨大な魔力と魔法は…。」

そして、当のクレシマは。

クレシマ「あ…あが…がっ…。」

バターーン…。

泡を吹いて倒れた。

麻衣「クレシマ・タカザネ。貴方をこのバイオレット魔法学園の教師から解任、及び、器物損壊、傷害、その他諸々の罪で、大魔導世界総合議会の権威のもとに、現行犯逮捕します。」

麻衣がそう宣言すると、クレシマの下に魔法陣が発生し、クレシマはどこかに転送された。

そして麻衣は、大会中継用のカメラに向かって、笑顔でサムズアップを見せる。

麻衣「一件落着っ!!👍」




おおおおおおおおお!!

わあああああああ!!

学園中から、歓喜の声が上がる。

学園内は、喜び抱き合う者、安堵から涙を流し号泣する者など、様々な人々の声で溢れたのだった。



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バイオレット学園東門近く、避難所、及び仮救護室。

東門に向け避難を完了した生徒達の大部分がここに集合していた。

〇〇達がそこに到着する。

「おい!我らが英雄達が帰ってきたぞ〜!」

「ありがとう〜!みんな〜!」

「お前達のおかげでみんな助かったんだ!ありがとうー!」

史緒里「何か恥ずかしいなぁ…笑。///」

美月「そんなこと言っちゃってぇ、満更でもないって顔してますよぉ、久保さぁん?笑」

史緒里「なっ…!そんな顔してない!!///」

遥香「私たちはたいしたことしてないのに…。」

さくら「かっきー、怪我は平気?肩貸そうか?」

遥香「私は平気。さくちゃんこそ平気?」

さくら「うん、私も大丈夫。」

そんな中で1人、和を抱えた〇〇は。

〇〇「あ、いた!樋口先生!」

日奈「あっ、〇〇くん!和ちゃん!」

〇〇「和のこと、診てもらえませんか?」

日奈「勿論よ。そこに寝かせて。」

〇〇「…どうですか?」

日奈「うん、魔力の欠乏を起こしてるのと、多少怪我はしてるけど、命に別状はないわ。安心して。」

〇〇「よかった…!和…!」

和「うん、心配かけてごめんね…。」

美月「和ちゃん、ごめんなさい。私たちからも改めて謝罪をさせて。」

史緒里「クレシマの企みに乗せられて、私たちのせいで和ちゃんはその大怪我を…。本当に申し訳ない。」

美月、史緒里、遥香、さくら、そして〇〇が頭を下げる。

和「いやいや、全然大丈夫ですよ!私皆さんが悪くないってわかってますから!顔をあげてください!」

5人が恐る恐る顔を上げる。

和「それより皆さん、助けてくれてありがとうございました。私は皆さんに感謝してるんです。」

美月「和ちゃん…。」

謝罪を終えた〇〇。和が心配ないとわかると、その場を離れ、避難所をうろつき出す。

〇〇「奈央ー!桜ー!咲月ー!いないかー!?いたら返事をしてくれー!」

〇〇は桜と咲月、そして妹の奈央を探していた。

〇〇「奈央ー!桜ー!咲月ー!」

だが、何度叫んでも、3人は出てこない。

○○「まさか…。」

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奈央『助けて、お兄ちゃん…!お願い…!お兄ちゃ…!」

ザザザァ……

そこで映像は途切れ、砂嵐となった。

〇〇「奈央ーーーっっ!!」

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あの時、奈央は…。

桜も…咲月も…。

○○「そ、そんな…。」

○○は膝をつき、ガクリとうなだれてしまう。

「○○くーん!!」

○○「咲月…桜…奈央…。」

「○○ー!」

○○「俺は…みんなを守れなかった…。」

「お兄ちゃーん!!」

○○「…ん?」

○○が顔を上げると。

「お兄ちゃん!」

○○「…奈央!!」

「○○ー!」「○○くーん!」

○○「桜!咲月!」

三人がこちらに向けて駆けてきていた。

○○は涙を流しながら三人のもとに駆け寄り、ぎゅっと抱き着いてわんわんと泣き喚いた。

咲月「うわぁっ!びっくりした!」

○○「無事でよがっだ…!」

桜「うん、私たちは大丈夫だよ。」

○○「お”れ”…み”ん”な”がじん”じゃっだどお”も”っでっ…。うっ…。うぅっ…。」

奈央「泣かないでよ~…でも、心配してくれてありがとう。」

○○「でも、奈央はあいつらに襲われてたはずじゃ…。」

奈央「うん、襲われたけど、桜ちゃんたちが助けてくれたの。」

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奈央「助けて、お兄ちゃん…!お願い…!お兄ちゃ…!」

桜「奈央ちゃん!!ハアァッ!」

バキィッ!!

バチバチバチ…ボォン!!

ザザザァ……

そこで映像は途切れ、砂嵐となった。

〇〇「奈央ーーーっっ!!」


咲月「大丈夫!?奈央ちゃん!」

奈央「うん!大丈夫!」

桜「よし!行こう!」


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○○「二人とも…ありがとう…!うぅっ…。」

桜「あーあー、だから泣かないの~!」

泣く○○を三人がよしよしとなだめる。


そんな光景を眺める、麻衣。

麻衣「よかった…。」

そこに、教師陣が話しかける。

沙友理「まーいやん!」

麻衣「わー!さゆりちゃん!みんな~!」

一実「安心して!今回の事件で、重軽傷者は少なからずいるけど、死亡者は一人もいないよ!」

麻衣「そう…安心したわ、みんなも苦労を掛けてごめんね、ありがとう。」

教師陣たちが「へへ…笑」と照れ臭そうに笑う。

佑美「にしても、大したものね、生徒たちは。」

教師たちの目には笑いあって無事を喜ぶ○○や和たちが映っている。

真夏「まさか本当にあのロボットたちをどうにかししちゃうと思わなかったよ。」

麻衣「ええ、私の自慢の子供たちよ。」

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「まいやん…あの子達を…お願い…。」

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麻衣(ななみん…。)

日奈「それで、どうだったの、『会議』の方は?」

麻衣「え、あぁ…。…うん、私が思っていた当初のとおりに結論が出たわ。」

日奈「やっぱり、そうなんだ…。」

麻衣「あの子たちには、また大きな仕事を任せることになってしまうかもしれない…。」

麻衣の視線の先には、そんな会話内容は露と知らずに笑いあう○○たちがいた。



こうして、バイオレットグランプリ決勝戦で起きた大波乱は、幕を閉じたのであった。




「星は微かに光り」 第13話


続く。

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