「星は微かに光り」 第14話
バイオレットグランプリ決勝戦にて、科学教師クレシマの陰謀により大変な出来事に巻き込まれてしまった○○たち。しかし、なんとかクレシマを撃破し、すべてを解決して終えることができたのであった。
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白石家、食卓。
麻衣「いやぁ、それにしても三人が無事で本当によかったわ~!」
奈央「麻衣さんがいたからだよ!それに~…」ギュッ
○○「うわっ!」
奈央「お兄ちゃんのおかげっ!」
○○「ありがとう奈央。嬉しいけど、俺だけの功績じゃないよ、美月さんや史緒里さん、遥香さん、さくらさん、ううん、それ以上にいろんな人たちの頑張りがあったから、みんな助かったんだよ。」
桜「お、いいこと言うね~○○~!」
麻衣「○○も大人になったわねぇ…。」
○○「からかわないでよ…。」
奈央「えへへ、照れてるお兄ちゃんかわいいっ。」
〇〇「むむ…。それに、あの時麻衣さんが助けてくれたから俺は助かったんだ。風呂入ってくる。」
〇〇はガタッと席を立つ。
しかし、去り際。
〇〇「来てくれて嬉しかった。ありがとう。『母さん』。」
麻衣「!!」
桜「えっ!」
パタン。
〇〇の去った後。
奈央「ま、麻衣さん!今!今、お兄ちゃんが!麻衣さんのこと!?」
桜「お母さんって…。」
麻衣「ええ…!言ってた…!〇〇が…!」
麻衣は信じられないと言った様子で口元を押さえている。
そして麻衣は目元を潤わせていた。
麻衣(ななみん…!私、〇〇に「母さん」って呼んでもらえたよ…!)
奈央「私も大好き!お母さん!」
桜「私も麻衣さんのこと母親だと思ってるよ!お母さん!」
麻衣「ええ、ええ!私も大好きよ!愛する私の子どもたち!」
麻衣は奈央と桜を抱き締めた。
そして、一連のやり取りを扉の裏で聞いていた〇〇。
〇〇「…やれやれ。笑」
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その夜。
〇〇が部屋でくつろいでいると。
コンコン。
〇〇「ん。」
奈央「私だよ、お兄ちゃん。」
〇〇「奈央か。どうした?」
ガチャッ。
扉があくと、パジャマ姿の奈央が枕を持って立っていた。
奈央「ごめんね、寝る前なのに。」
○○「いやいや、全然。」
奈央「今日はちょっと、お兄ちゃんと寝たいなって…。」
○○「え…!?///」
奈央「今日、やっぱり怖かったからさ…。」
○○「あぁ、マジカロイドたちに襲われたんだもんな…。」
奈央「あーうん、それもあるんだけど…。それよりも、お兄ちゃんがいなくなるんじゃないかって…。」
○○「俺?」
奈央「うん、避難してるとき、モニターで見えてたんだ、お兄ちゃんが戦っているところが…。それで、もしかしたら、このままお兄ちゃんがいなくなっちゃうんじゃないかって、見てて怖くて…。」
○○「奈央…。」
奈央「全部終わった後、お兄ちゃんは私たちを泣いて抱きしめてくれたけど、本当は私も、お兄ちゃんが帰ってきてくれて泣くほど安心したんだ…。」
そこまで言って、また涙ぐむ奈央を、○○は抱きしめ、背中をさすった。
○○「ごめんごめん、心配かけたな。」
奈央「うん…。」
奈央もぎゅっと○○に抱き着いた。
そして、二人は同じベッドで眠りについた。
○○も奈央も、横向きで向かい合って、腕を相手の胴に回し、抱き合う形で眠った。
奈央「お兄ちゃん、大好き…。」
○○「俺も…。大好きだよ奈央…。」
二人とも満足そうに笑顔で眠っていた。
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あーーーーーーーー!!!
翌朝、とてつもなく大きな声で目を覚ます。
ビクッとして○○と奈央が目を覚ます。
目を開けると、桜が二人を見下ろしていた。
桜「二人とも起きてくるのが遅いと思って起こしに来てみたら!二人が同じ部屋で一夜を過ごしていたなんて!」
○○は寝ぼけながらだったが、何とか反論する。
○○「いや、誤解を招く言い方するんじゃないよ。別段いやらしいことはしてないし、第一、俺と奈央は兄弟だろ…。」
奈央「お兄ちゃん、おはよぉ…。」
奈央は起き上がると○○の背中に寄りかかる。
奈央も寝ぼけているらしい。
桜「ずるい!○○!今度は私と寝てよね!」
○○「はいはい…。」
○○は寝ぼけながら桜の希望を承諾してしまった。
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マジカロイドの一件があって以来、学園はいたるところが倒壊し、学校はしばらく休校になっていた。
そして今日、やっと学校が再開された。
桜「それでここの魔法学の部分が…。」
○○「どれどれ…。あーここは…。」
和「おはよ!○○君!」
○○「おはよ、和!もう動いて大丈夫なの?」
和「うん!もう元気いっぱいだよ!」
○○「そっか、よかった。」
咲月「○○君!おっはよー!」
○○「おはよ!咲月は連休明けも元気だね~。」
咲月「だって久しぶりに○○君や和と会えると思ったら楽しみで!」
○○「俺も咲月に会えてうれしい!」
咲月「え、うそ!ふえ!?///そ、それってどういう意味!?」
○○「え?」
咲月「い、いや、何でもない…。」
○○「?」
和「相変わらず鈍感だねえ…。」
○○「え?」
桜「○○、勉強の続き教えて~!」
そんな話をして登校していると。
○○「あ!あの子は!ちょっとごめん!行ってくる!」
和「え?○○君!」
○○は前方に歩いている女子生徒の方へ近づいていく。
○○「ねぇ、君!」
??「!?」ビクッ
○○「あー、ごめんごめん!びっくりさせちゃった?君、こないだ闘技場で和が閉じ込められているところを当てた子だよね!あの時はありがとう!」
??「いや、えと、あの、ど、ど、どう…いたしまし…て…。」
??は目を泳がせてしどろもどろになっている。
〇〇「そんなに怯えないで良いんだよ?あの時のお礼もしたいしさ、今日とかいつか空いてる時間ない?」
??「え、えと、あばばばばば…。」
すると突如。
(やっほー!聞こえてる〜!?)
〇〇「ん?」
突如頭の中に直接聞こえてきた陽気な声。
その声質は、目の前にいる彼女とよく似ていた。
だが、目の前の彼女は未だオロオロとするばかりだ。
〇〇「え、今君が喋ってる?」
??「いや、あの、その、モゴモゴ…。」
??(ピンポーン!合ってるよ〜!)
〇〇「あの、えぇ…??」
瑛紗(私の名前は池田瑛紗!使える魔法は《テレパシー》!よろしくねっ!)
瑛紗「…です。」
〇〇「いや……現実と心の中のテンション違いすぎだろーーーー!?!?」
瑛紗「す、すいませ〜ん!!💦」
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その日の昼休み。
〇〇「はい。でも、こんなものでよかったの?こんなものじゃ返せないぐらい助けてもらったけど。」
〇〇は食堂で買った唐揚げ丼とデザートのケーキを瑛紗の前に置いた。
瑛紗「はい…!唐揚げ好きなので、唐揚げ丼食べたかったんです…!」
〇〇「あれ?今は普通に喋るんだね?」
瑛紗「あ、テレパシーは魔法ですから、使い続けてるとそれなりに魔力も使っちゃうんです…。」
〇〇「なるほど…。」
瑛紗「でも私、人見知りで…。」
○○「それでテレパシーで話してたわけね…。あの時、和の場所もその能力で?」
瑛紗「ええ、まぁ。私のテレパシーは自分の声を伝えるだけじゃなくて、狙った相手の心を読み取ることもできるので。
あの時、モニター越しに映ったクレシマ先せ…いえ、クレシマがずっと胴体の少し下にいる井上さんのことを頭に思い浮かべてるのが分かったんです。それでこれを皆さんに伝えなきゃって。」
〇〇「モニター越しでも使えるの?すごいね。」
瑛紗「リアルタイムのものに限りますけどね。録画などから過去の記憶を読み取ることはできません。」
〇〇「でもあの時そこらじゅうにはマジカロイドがいたよね?そのせいで先生たちは加勢に来れなかったのに、君はどうやって?」
瑛紗「私の魔法はテレパシーだけではありません。私の魔法は他に《サーチ》と《ライブラリ》があります。」
〇〇「それはどんな魔法なの?」
瑛紗「《サーチ》はその状況からわかる事柄を瞬時に分析できる能力です。私はその能力でマジカロイド達の間の抜け道を分析して闘技場まで辿り着きました。」
〇〇「もう一つの方は?」
瑛紗「《ライブラリ》は言わば知識の魔法です。今私がわからないことでも、この魔法を使えばいつでも知識を検索して取り入れることができる。頭の中にインターネットが入っているとでもお考えください。」
〇〇「何それ!すごくない!?」
瑛紗「い、いえいえ、そんなことは…!」
ズズー……
咲月「ねぇ、あの二人なんかすごい仲良さそうだけど…。」
咲月がすでに空っぽになっている飲み物を吸いながら喋る。
桜「誰なんだろう、あの子…。」
桜も続く。
桜、咲月、和の3人は少し離れたところから瑛紗と〇〇の様子を眺めていた。
和「ねぇ、すごい目立ってるよ、二人とも…。」
咲月「何よ〜、和が言い出したんじゃん、〇〇君が女の子と2人で食堂に入ったから追いかけようって。」
和「だって…気になったし…。」
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〇〇「もう大丈夫だから。」
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和(あの時の〇〇君の顔が頭から離れない…。///)
咲月「おーい、和〜?」
和「あ、うん!?何!?」
咲月「いや、なんかボーッとしてたから。しかも顔真っ赤だよ?」
和「んえっ!?」
咲月「もしかして熱ある?」
和「ぜっ、全然!元気だよ!?」
咲月「…変なの。」
桜「〇〇め…どれだけ女たらしになれば気が済むんだ…。」
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瑛紗(さっきからすごい目線を感じるからあの人達の心を読んでみたけど、すごい〇〇くんのこと気にしてる…。あとなんか1人すごい〇〇くんのこと妄想してる…。)
瑛紗「ねぇ〇〇くん、あの子達はお友達?」
〇〇「ん?あ!桜に咲月!和まで!何してんだろ?」
瑛紗「さぁ?すごいこっち見てるけど…。」
桜「あ、気づかれた。」
咲月「よし、突撃だーー!!」
和「え、ちょっと!」
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〇〇「というわけで、彼女のおかげで和の場所がわかったんだ。」
和「そうだったんだ…ありがとう。瑛紗ちゃん。」
瑛紗「あわわ…いえいえ…。」
〇〇「人見知りなんだって。笑」
咲月「怖がらなくていいよ!よろしくね!瑛紗ちゃん!」
桜「よろしくね!」
瑛紗「…ます。」
〇〇「さ、食べ終わったことだし、そろそろ食堂出ますか!」
ジャラン…♪
??「これから増える〜♪思い出だって〜♪」
「星は微かに光り」 第14話 終
続く。