「目が覚めたら乃木坂4期生の○○でした」 第29話
ある朝、目が覚めたら女の体、しかも乃木坂4期生になっていた✕✕(現世名:○○)。
前回は「『Sing Out!』発売記念ライブ」についての説明とレッスンがあった。
さぁ、そんな○○の今日のお仕事は、遊園地。
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時はまもなく春。
田村「富士急だ~!」
掛橋「私来るの初めて~。」
早川「せーらも~!」
○○、掛橋、田村、早川の4人は、富士急ハイランドに来ていた。
ちなみに来ているのはこの4人だけではない。
久保「うわー!来たよ富士急!」
梅澤「いつかの仕事で遊園地いって、それ以来じゃない?」
阪口「なんかドギマギしてきたー!」
伊藤「ドギマギ…?」
そう、3期生も一緒だ。
今回は乃木坂工事中のロケの一環で、先輩メンバーに下剋上という名目で、1期生もかつて挑戦した絶叫マシンやお化け屋敷に3期生と4期生で挑戦する、というコンセプトによるものである。
そして、4期生代表として、○○たち4人が来たというわけだった。
××(でも何で俺この仕事来させられてるんだろう…。本来の歴史ではまゆたん達3人しかいなかったはずなのに…。)
○○を含め、4期生はまだ先輩との交流が少ない。
特に○○は、4期生が先輩たちに挨拶に行った時の記憶もないので、なおさら距離を感じていた。
そして、来ているのは3期生のほかにもう一人。
秋元「どう?もうそろそろ乃木坂にはなじんできた?」
早川「そうですね、そこそこは…。」
田村「うん、徐々に仕事が増えていって乃木坂の自覚が出てきました。」
秋元「へぇ~そっか~!」
秋元真夏。1期生。
彼女は今回のロケにてリアクションのお手本兼引率係として同行していた。
秋元「○○ちゃんはどう?」
○○「ひゃい!?何ですか!?」
秋元「○○ちゃんは乃木坂のお仕事楽しい?」
○○「あ、はい!まだまだ戸惑うことは多いですけど、毎日楽しくお仕事してます!」
憧れの1期生を前に、〇〇、内心の××も一層緊張して応答する。
秋元「そう、なんだ…。」
○○「?」
○○の返答を聞いた秋元は何か含みのある表情をした。
が、○○にはその真意はわからなかった。
スタッフ「では間もなくカメラ回しますので準備してくださーい!」
「「はーい!」」
そこで、あることを思い出す○○。
○○「あ、そうだ、みんなさ…。」
スタッフ「それでは始めまーす!3,2,……。」
○○「よし、みんなオッケー?」
「うん!」「了解!」
スタッフがカメラの録画ボタンを押す。
秋元「さぁ~!やってきました富士急ハイランド~!」
4期生「「イエーーーイ!!」」
3期生「!?」
秋元「お!4期生元気がいいね!3期生負けてられないよ!」
✕✕(よし!)
本来なら3,4期生はこの時、あまり盛り上がった反応ができず秋元に突っ込まれてしまっていた。
テレビ的にもあまり印象はよろしくない。
それを覚えていた✕✕はそれを逆に利用して場を盛り上げる反応を4期生に促したのだ。
これも未来から来てるからできること。
秋元「さぁ、今回は富士急に来たわけですが、どう?4期生のみんなはまだ、緊張してる?」
田村「はい…。」
掛橋「まぁ…。」
早川「うん…。」
〇〇「…コクリ」
しかし、何やかんやまだ交流の少ない1期生とのトークに緊張気味の4期生だった。
真夏「今回はね!4期生を代表して、田村ちゃん、早川ちゃん、掛橋ちゃん、そしてね、4期生紹介の時に『リアクションがいい』という紹介をされていた〇〇ちゃんに来てもらってまーす!」
〇〇「えっ…!私あの紹介が理由で呼ばれたんですか…!?」
秋元「そうだよ〜、良いリアクション期待してるからね!」
××(生田と岩本のせいで…!)
生田・岩本「…ックシュン!!」
スタッフ「はい、じゃあ次、FUJIYAMAに移動しまーす!」
〇〇「えっ…。」
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《FUJIYAMA》
FUJIYAMAとは、富士急ハイランドにある名物のジェットコースターである。
田村「どうしよぉ…本当にやだぁ…😢」
早川「乗りたくない…。」
掛橋「…グスン。」
現在は、3期生の先輩達が先にジェットコースターに乗っている最中。
なのだが、待機中にも関わらず4期生の3人は号泣気味。
○○「大丈夫だよ、死にはしないから!」
と、慰めてみるが…。
田村「死ぬかもしれないじゃん~!💦」
○○「そんなアトラクションあってたまるか!」
そうこうしているうちに、最後の三期生たちが乗ったジェットコースターが到着する。
次は、○○たち4期生の番、だったのだが…。
スタッフ「掛橋が尋常じゃないぐらい怯えてるから、付き添いで秋元さんが一緒に乗ることになったんですけど、○○さんは一人でいいですかね?」
○○「え、私一人ですか…?」
スタッフ「ん-、そうなっちゃうかな、と…。」
○○「まぁ、一応大丈夫ですけど…。」
中身は男だから一人でも平気だと思いつつも、やっぱり少し寂しさと心細さを感じてしまう○○(✕✕)。
○○「まぁ、仕方ないか…。」
秋元「あ、私○○ちゃんとも乗りますよ!」
スタッフ「えっ!?」
○○「ええっ!?申し訳ないですよ!2回目ですよ!?」
秋元「いいのいいの!可愛い後輩のためだし、2回分リアクション映像が取れて番組的にもいいからね!」
○○「は、はぁ…。」
流石というべきか、なんというべきか…。
かくして、秋元と2人でジェットコースターに乗ることになった〇〇。
そして、発車。
〇〇「うわぁ、怖え…。」
田村「○ちゃんなんかすごい落ち着いてない?」
早川「放心してるんとちゃうやろか…。」
秋元「やっぱり怖い?」
〇〇「まぁ、少しは…?」
××(仮にも男だぞ…そんな俺が女性の、ましてや推しのアイドルの前でビビるなんて…。)
すると、秋元が〇〇の手を握ってきた。
〇〇「ふぇっ!?」
秋元「大丈夫、大丈夫だから。ね?」
××(無銭握手…。)
などと考えているうちに…いつのまにかてっぺん。
××(あ、ムリ、やっぱ怖いかm)
ギューーーーン!!
〇〇「あああああああああ!?!?!?」
秋元「キャーーーーー!!!」
〇〇「ふギギギギギギ!!」
秋元「うわああああおおおお!?」
〇〇「ぬおおおおおお!?!?」
はーい終了でーす、お疲れ様でした〜!
〇〇「ゼェ…ゼェ…。😱」
フラフラと〇〇がコースターを降りる。
〇〇「あ、あ、足元が…グラグラ…。」
ドサッ
〇〇は膝から崩れ落ちてしまった。
田村「キャー!○ちゃん!」
早川「死んだらアカン!死んだらアカンよ!」
掛橋「ゆっくり寝かせてあげよう。」
秋元「ちょっと待って…。あの、その死んだみたいなリアクションやめてもらっていい?」
秋元が笑いながら3人を咎める。
秋元「ほら、〇ちゃんも死んだわけじゃないんだからなんか言ってあげなよ!」
〇〇「いや…その…ゼェ…ハァ…。」
××(そんな余裕ないです…。)
次に来たのは、戦慄迷宮。
つまりは、お化け屋敷である。
秋元「じゃあ3期生がみんな戦慄迷宮入り終わったという事で!4期生は4人で一斉に入ってもらおうかな!」
〇〇「ん、4人でですか?」
秋元「そう!何かあった時4人なら心強いでしょ?」
そして、秋元はコソッと〇〇に耳打ちをしてきた。
急に近づいてきた秋元の顔に〇〇はドキッとする。
秋元「〇〇ちゃん以外の子は皆んな、特に掛橋ちゃんは物凄くビビっちゃってるから、〇〇ちゃんがサポートしてあげて、ね♪」
〇〇「えぇ…。」
〇〇が振り返ると、顔が引き攣った状態で身を縮こまらせて震える3人の姿があった。
早川「まゆたん、怖いよぉ…。」
田村「大丈夫だよ、せーら、きっと死なないから…。」
××(また死ぬと思ってんのか…。)
〇〇「大丈夫だよ〜、そんな死ぬことなんかないから!」
掛橋「うぅ…。」
××(お、そうだ、ここは少し景気付けをしてやろうか…。)
〇〇「ドン!!!!」
「「ぎゃああああーーーーっ!!!」」
秋元「私までビックリした!〇ちゃん脅かさないの!」
〇〇「いやぁ、なんか面白くって。笑」
ここまで怖がりなもんなのか。女性ってのは。
××(そういえば、元々4期生は怖がりの掛橋のために1人で戦慄迷宮入るところを3人で挑戦してたんだったな…。まさか俺も入るとは…。)
秋元「じゃあいってらっしゃ〜い!」
〇〇「あー、あれ絶対動くやつだ…」
と、ご察しの通り人形のように見せていたゾンビの一体が動き出す。
田村「きゃあああああ!!!」
早川「ぎゃーーーー!!!」
掛橋「わああああ!!」
〇〇「うおおおっ!?!?」
田村「ムリムリムリムリ!!」
早川「○ちゃん怖ないの!?」
〇〇「みんなの悲鳴の方が怖くてビックリしたわ!!」
掛橋「もう無理!進めない!」
ガタンッ!!
田村「わーーーっ!!!」
早川「きゃーーー!!!」
掛橋「待ってよぉぉぉ!!!」
〇〇「あ、いや、ちょっと!?押さないで!?転ぶ!転ぶから!」
田村「早く行ってーーーー!!」
《戦慄迷宮・出口前》
バコン!!という音と共に勢いよく4人が吹っ飛ばされるように出てくる。
ズシャァァッ!!と突き飛ばされ地面を滑る〇〇。
〇〇「あっ痛っ!?!?」
田村「わぁっ!!出れた!!」
早川「最悪やぁ…怖すぎたぁ…。」
掛橋「みんな酷いよ、置いてかないでよ…。」
田村「ごめん、ごめんね沙耶香…。」
〇〇「いや!突き飛ばさないでよ、まゆたん!!」
田村「ごーめーん〜!だって怖かったんだもん〜!」
〇〇「途中手まで握ってきて〜!痛かったんだからね〜!」
田村「えっ…私手なんて握ってないよ?ずっと○ちゃんの肩を掴んでたじゃん!」
掛橋「わ、私もせいらの腕握ってたし…。」
早川「私だってまゆたんにしがみついとったで!?」
〇〇「え、じゃあ、私の手を握ってたのって…?」
早川「えっ…。」
掛橋「き…」
田村「きゃあああああ!!!」
3人はパニックになって一目散に走り去ってしまった。
〇〇「あ、ちょっと、冗談、今の冗談だから…!……あちゃー…。」
××(まぁでも、ちょっとは突き飛ばされた仕返しはできたかな。笑)
そんな微笑ましい光景を見つめる、視線。
秋元「……。」
「目が覚めたら乃木坂4期生の〇〇でした」
第29話 終
続く。