「頑張り屋さんな君は」
「ねぇ○○、一緒に演劇部入らない?」
その言葉が始まりだった。
高校に入学して間もないころ。
部活を決めかねていた僕は、小学校からの幼馴染の和に誘われて、二人そろって演劇部に入部した。
といっても、あいつが演劇に目覚めていたのとは別に、僕は付き添いのような形での入部だったが。
とはいえだ。
経緯はともあれ、僕は毎日のように和と顔を合わせ、あいつが演劇に打ち込む様子を見守ってきた。
最初は先輩たちが役を務め、僕たちは裏方だった。
先輩「おーい、小道具入れた段ボールこっちに持ってきてくれ!」
○○「あ、はい!」
和「はーい!」
○○「うわっ!和!急に止まるな…よ…。」
和「…。」
○○「…和?」
その時も和は熱心に先輩たちの演技する様子をつぶさに観察し、空いた時間にはメモを取っていた。
その甲斐あってか、和の部内での出世のスピードは目覚ましいものだった。
入部して二回目の公演の時には一年では異例のセリフ付きの端役をもらえることとなり、その後もセリフは少ないが重要な発言をする脇役、終始主人公と行動する友人役など、セリフ量もだんだんと増えていった。
そして、高校三年生。最後の公演の時期。
部長「次の演目の主役は、井上さんでいこうと思います。」
井上「えっ…。」
部長「もちろん、井上さんと他の部員のみんなが良ければなんだけど…。」
周りの部員は小さくうなずいたり、黙り込んだり。
要するに、「異議なし」のサイン。
あーあ、そういう態度を取っちゃうとさ…。
井上「はい!わかりました!やります!頑張ります!」
ほら見ろ、和の人柄的にこういう期待とか役割を任せる系になると本人もガッチガチになって意気込んじゃうんだって。
僕は心配だった。和のことが。
こうして、和を主演にした演目の稽古期間が始まった。
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和「私は、アイドルとして……」
数日後、和は教科書の下に台本をつけてぶつぶつと暗唱しながら授業を受けていた。
所謂昭和のマンガ読みスタイルというやつだ。
○○「和…!和…!授業!」
先生「ではこの問題を、出席番号5番、井上さん。」
和「え…!」
言わんこっちゃない。
僕は二つ折りにしたメモ帳を後ろで手を組んでいる和の手に握らせた。
そのメモを見た和。
和「慟哭です!」
先生「はい正解。座っていいですよ。」
和「ほっ…。」
○○「なーぎ。」
和「あ、○○、サンキュ。」
○○「主役でプレッシャーあるのはわかるけど、授業はちゃんと受けよう?」
和「でも、今私は座長だから。」
○○「そうじゃなくて…。」
僕が言い終わる前に、和は再び前を向いた。
授業を受けに向き直ったわけではない。
和の視線はまた、教科書と和の間に立てられた台本に向かっていた。
和「星はかすかに…。」
○○「はぁ…。」
僕は額に手を当て、やれやれとあきれた。
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そしてそこから数日後。
放課後の部活、公演に向けた舞台の稽古の時間。
あれだけ練習して授業中も台本を読みふけっている和なら、練習から飛びぬけた演技をしてくれる。
と、思っていたのだが。
部長「井上さん、ここの演技はもうちょっと…。」
和「あ、はい…はい…。」
部長「できる?」
和「う、うん、やってみるね…!」
部員「井上先輩、ちょっと進みすぎです、そこだとこの後うちらとぶつかってしまいます…。」
和「え、あ、ごめんね!」
あまり、芳しくない様子だった。
でも、和は常に笑ってそれらに対応していた。
まるで、今この瞬間も部員の前で演技をしているかのようだった。
僕は小道具を入れた箱を抱え、その光景を見て顔をしかめているしかなかった。
そこで立ち止まってしまったところ、背中にドンッと何かがぶつかった。
後続の後輩がぶつかったようだった。
部員「わっ!先輩!急に止まらないでくださいよ~!」
○○「え?あぁ、ごめん。」
○○(僕も和のこと言えやしない、か…。)
そんな日々が、この日だけでなく、毎日のように続いた。
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部長「じゃあこれからリハーサルを始めまーす!よろしくお願いしまーす!」
部員一同「お願いしまーす!」
和「…。」
○○「和…。」
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和「こんなはずじゃなかったのに…わっ!?」
ドタン、と、舞台の床が音を鳴らす。
和は、リハーサルの最中、舞台上の大道具につまづいて、転んでしまった。
それを目の当たりにした部員からは苦笑や吐息の音が漏れる。
しかし和は。
和「……これからなにをすべきか!」
すくっと立ち上がると、演技を再開した。
その勢いと演技力に、周りの部員たちもスイッチを入れなおし、リハーサルが再開される。
和「すいませんでした!」
和は腰を90°に折って謝る。
部長「いやいや、いいんだよ、むしろ転んだのが今回のリハーサルでよかった。」
部長「本番では同じミスはないように、ね?」
和「はい!絶対に!」
部長「うん、じゃ。」
部長が目の前から去ると、きりっとした顔が徐々に崩れ、下を向き始める。
○○「和…。」
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○○「明日使うから出しておけって言われた小道具は…こんなもんか。」
額の汗を拭い、倉庫を後にする。
すると、人が出払って廊下も薄暗い部室棟の中、自分達の活動する演劇部部室から灯が漏れていることに気がつく。
○○が中を覗くと、そこには。
和「心がざわめいてる…!」
和が一人でセリフの練習をしていた。
眠りについた部室棟という名の生き物を、片目だけ無理やり開けさせて動かしているかのように。
周りが暗闇の中、演劇部部室だけに着いた光が、まるで和を照らす大きな大きなスポットライトのようだった。
動きまで部員がいるときと寸分変わらず、まるで和には本当に他の演者が見えているようだった。
彼女の努力を称賛したかった。
だが、ここ数日の彼女の表情や行動を見ると、今のこの完全下校間近まで行われる練習はいい加減目に余る。
そして最後のセリフが終わると、彼女が一度深呼吸をした。
パチパチパチパチ…。
和「!」
と思いつつ、僕は扉に体をよりかけながら、結局最後まで見てしまった。
いや、和の演技力に見入っていた。
そして、終わったとき、無意識に拍手を送っていた。
和「なんだ、○○か…。」
とはいえ。
○○「和。」
和「○○…どうしたの?」
○○「この後、ちょっといい?」
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見ていられなくなった僕は、部活終わりに近所の公園に和を誘い、話をすることにした。
和「○○、どうしたの?急にこんなところ連れてきて。」
○○「和さ、ちょっと休んだ方がいいよ。」
それを聞いた和は、先ほどまできょとんとしていた顔を急にしかめた。
まぁ、そういう反応になるよね、和なら。
そして、目を逸らし、何か言いたそうに口をもごもごとさせた。
和「…。」
○○「ここ最近さ、練習上手くいってないじゃん、授業中も上の空だしさ。」
○○「これ以上危ない綱渡りなんかしなくていい。無理しなくていいんだよ。」
本心だった。
和のことは信頼してるし応援してる。
でも、それでも言わなきゃいけないような気がした、心からの言葉。
和「フフッ…私がやらなきゃ誰がやるの?」
そういって和は悲しそうに笑った。
和「私、今回のこの役をやり切るって決めたから。」
和「○○は応援…してくれるよね?」
○○「…もちろん。」
和の無理が心配なのは事実だった。
でも、和が決めたと言ったんだ。
僕にそれを挫く権利はないだろう。
○○「応援するよ。頑張って。」
和「うん!見てて!頑張るから!」
和はパァッと明るく笑った。
僕はこの時、止めておくべきだったのかもしれない。
その後悔は、すぐに訪れることになる。
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翌日。
いつものように部室棟を利用して舞台の稽古をしてる時だった。
和「星は微かに光り、漆黒の闇…が…、」
セリフの不自然な途切れに部員の全員が台本から顔を上げて和を見る。
その瞬間だった。
和は倒れた。
その場に。崩れ落ちるようにして。鈍い音を立てて。倒れた。
僕にはそれがスローモーションに見えた。
バタン……
部員達が駆け寄る。
部長「井上さん!」
部員「井上先輩!」
僕も急いで和に駆け寄る。
○○「和!おい!しっかりしろ!和!」
○○「和!────」
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和は病院に運ばれた。
付き添い人は僕がついた。
部長や部員達も、何も言わず、和の事を託して送り出してくれた。
救急隊員は命に別状はなさそうだからと僕に言葉をかけてくれたが…。
○○「和…。」
病院でしばし待合室で待機したのち、医者から和の倒れた原因について説明された。
待合室の待機中に和の両親が来たので、説明は和の両親と一緒に聞いた。
端的に言えば、彼女の倒れた原因は、疲労とストレス、あと軽い栄養失調。
やっぱり無理してたんじゃん…。
僕があの時止めてればよかったのか?
もっと強く声をかけていれば…。
和とご両親との面会の後、ご両親から僕も面会をして欲しいと言われた。
和本人が僕を呼んでいるらしい。
コンコン。
『いいよ、入って。』
その声を聞き、僕は病室に入る。
和はベッドの上で上半身だけ起こしていた。
○○「和…。」
僕は彼女のそばにあった丸椅子に腰掛けた。
○○「体の具合は?」
和「…平気。」
○○「…そっか。なら良かった。」
和「○○。」
○○「ん。」
和「…ごめんね…。」
○○「…。」
あえて返事をしなかった。
和「〇〇の忠告、ちゃんと聞いておくべきだった…。」
声が震え始める。
僕は和の顔が見ていられなくなり、斜め下を向いてしまった。
すると今度は、毛布をぎゅっと握りしめる和の手が視界に入った。
和「主演は私で…みんな、私なら出来るって期待してこの大役をも任せてくれて…最後の公演で…裏切りたくなくて…期待に応えたくて…」
和「私の演技で、いろんな人を感動させたくて…。」
和「そしたら、1分1秒でも演技の練習がしたくなって…。」
和「でも、ダメだったっ…。」
和「本当は自分の体の不調にも気づいてたけど、みんなに心配かけたくなくてぇっ…。」
声の震えがどんどん大きくなり、とうとう和は嗚咽して泣き出した。
和「私、悔しい…。すっごく悔しい…。」
和「みんなのこと、裏切っちゃった…。」
和「私は…もうダメなのかな…。」
静かで薄暗い病室に、和の嗚咽だけが響く。
僕は和の手を握りしめてい毛布から引きはがし、その手を両手でしっかりと握った。
○○「ダメなんかじゃない。裏切ってもいない。」
○○「いまみんなが待っているのは、和が元気になって、舞台に復帰することだよ。」
和「でも…。」
○「和。」
和「…。」
○○「和には決めたことがあるんでしょ?こないだ公園で言ってくれたよね。」
和「…うん。」
○○「僕は知ってる。和がたっっっくさん練習してたこと。」
○○「何回やってもおんなじところで躓いて、いらだってた時期があったことも。」
○○「失敗してからかわれたりしても笑って我慢してたことも。」
○○「みんなが帰った部室の中で一人必死に練習してたことも。」
○○「…。」
僕は居ても立っても居られなくなり、目じりに涙をためる和を抱きしめた。
和「…!」
○○「それだけやったら、きっと上手くいくから。」
○○「その努力は決して無駄にはならないから。」
○○「それに、我慢なんかしなくたっていい。人間なんだから、涙が出るのは普通のことなんだから。」
○○「僕が全部受け止めてあげるから。」
○○「僕は和が決めたことを応援するから。」
○○「頑張って。和。」
僕は和の背中をさすりながら、自分の今の気持ちを精一杯送った。
和は僕の言葉にほとんどリアクションをしなかった。
一瞬聞く耳を持ってくれてないのかと不安になったが、全部言い終わった後、和は僕の肩に顔をうずめると、耳元で和のすすり泣く声が聞こえた。そして、僕を強く強く抱きしめてくれた。
僕は和が落ち着くまで、ずっと彼女を抱きしめ、頭をなでていた。
そして、泣き止んで落ち着いた和をベッドに横にする。
○○「今は体調の回復が最優先。今日はゆっくり休みなよ。」
和「う、うん…。」
○○「…?どうかした?」
和「その…いつまで頭撫でてるつもり?」
○○「うーん、和が寝るまで、かな?」
○○「寝づらい?」
和「ううん、そうじゃないんだけど…。」
和「でも、うん、どちらかというと落ち着く、かも…。」
そういって和は目を閉じ、数分後には寝息が聞こえてきた。
和が寝てしばらくはまだ頭をなでたり、彼女のそばにいたが、病院の人から、面会時間の終了時刻だと告げられたので、仕方なく病室を後にした。
○○「おやすみ、和。」
ぐっすり眠る彼女に、そう告げて。
僕は、それから和が退院するまで、ほぼ毎日見舞いに通い続けた。
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それから日が経ち、本番の2週間前ほどの時期。
和「皆さん、ご迷惑をおかけしました。」
和が深々と頭を下げる。
部長「いやいや、元気そうで何よりだよ。すっかり回復したみたいだね?」
和「はい、おかげさまで!」
部長「ちょっと要領取り戻すの大変かもしれないけど、本番も迫ってるし、降板もしないって聞いてるから、ちょっと厳しめにいくからね?」
和「はい!頑張ります!」
部長「よーし!じゃあ井上さんも復活したことだし、今日の練習始めまーす!」
部員「「はい!」」
〇〇「和。おかえり。」
和「え、あ、○○…!うん、ただいま…!」
あれ、なんか様子がおかしい?
○○「うん?どうかした?なんかきょどってるけど。」
和「う、ううん!なんでもない!」
○○「…?そっか。じゃあ、今日からまた、頑張ろうね。」
和「うん!」
和が準備をするためにくるりと僕に背を向けたかと思うと、そこから数歩進んだところでこちらを振り返った。
和「ねぇ、○○?」
○○「ん?」
和「応援…してくれるんだよね?私のこと。」
○○「もちろん。病室で言った通りだよ。」
和「…そっか!ありがと!」
和はなにやら満足気にほほ笑んだかと思うと、今度こそ準備を始めたので、こっちも準備を始めた。
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ついに再開された練習、和は頑張っていた。のだが…。
どこか集中力に欠けている気がする。
いや、入院前が没頭しすぎていたのかもしれないが、どこか違和感がある。
なんかこっちをちらちら見てくるし。
視線を返したら目逸らしたり台本で顔隠すし。
ほら今も。
和「……。」
部員「…井上さーん?」
和「……ひゃい!?」
部長「次井上さんのセリフだけど…。もしかしてまだ本調子じゃないかな?」
和「い、いえ!すいません!」
上の空、セリフのつっかえ、抑揚の違和感、セリフの順番忘れ、どれも些細なもので、みんな病み上がりだからと済ませてくれているが…。
○○「和?」
和「あ…どどうしたの?○○。」
○○「いや…なんか様子変だなって。本当に平気?」
和「うん…大丈夫だよ。へーき。」
○○「本当?もしかしてまた熱でもあるんじゃ…。」
僕は和の額に触れてアナログに熱を測ってみた。
和「あっ…。」
○○「うーん、熱はないみたい…?」
和「ほっ、ほんとに、大丈夫だから。心配しないで。」
和はそういいながら僕からするりと離れた。
○○「え、あ、そう…?」
和「うん…それでさ、○○。」
○○「ん?」
和「今日ちょっと、この後お話が…。」
○○「お話?」
和「…いや、やっぱやめた。講演が終わってからにする。」
○○「…ん、わかった。」
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そして、公演日当日。
三年生の僕たちにとって集大成となる最後の公演。
この大会は他の高校の演劇部も集まり、それぞれの演目を出し合う大会。
客席はその演劇部の人たちや純粋に観覧に訪れた人たちで、ほぼ満員。
そして、うちの演劇部の発表の順番が回ってきた。
和は舞台袖で深呼吸をしていた。
○○「和。」
和「ん。」
僕はこわばっていた彼女の両肩を軽くポンポンとした後、そのまま肩に手を置き。
○○「いっておいで。」
和「うん、いってきます!」
和は、観衆の見守るスポットライトのあたる舞台の上へと上がった。
和「君自身どうしたいか聞こう…!」
和の演技は圧巻だった。
貧相な自分のボキャブラリーでは表現しきれないほど、魅入られた。引き込まれた。圧倒された。
ここ数日のとちりが、嘘のように。
この3年間、今までで最高の、迫真の、美しい演技だった。
あれだけ練習したその成果が見事に発揮されていた。
そして何より、演技をしている和は楽しそうだった。
生き生きとしていた。
僕はそんな和を見られたのが、何より嬉しかった。
和が主演を務めたうちの演目は、公演会で優勝をつかみ取った。
和自身は、それとは別に個人で演技のMVP賞ももらっていた。
部員全員で盛大に歓喜の声を上げた。
涙を流して喜びながら、みんなの輪の中心でトロフィーを掲げる和。
僕は和の外から、そんな和を誇らしく思いながら見つめていた。
パチリと目が合う。
口パクで祝いの言葉を贈る。
お・め・で・と・う。
和は僕の方を見ながら、大きくうなずいてくれた。
和のおかげで、僕たちの公演は大成功で、文字通り、幕を閉じた。
本当におめでとう、和。
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人が出払った劇場ホール。
どうやらもう今日は使用の予定がないとやらで、掃除の時間まで放置されていた。
ほぼ真っ暗な劇場のステージ。
そこに一本のスポットライトだけが光を下ろしており、その下では、僕を呼び出した幼馴染がさらに影を落としていた。
○○「何、話って。」
舞台に降りる影が、2つになる。
和「うん…。」
和「まずは、ずっと私のそばで、私を支えてくれてありがとう。」
○○「別にお礼を言われることじゃないよ。優勝にMVP、おめでとう。」
和「ありがと。それでね…。」
和「私、○○に、この公演が終わったら話そうって、思ってたことがあってさ。」
和は僕に一歩歩み寄ってきた。
和「私は、○○のことが大好き。」
和「私と、付き合ってくれませんか。」
思いがけない、告白。
僕は心底驚いた。
でも、断る理由なんかなかった。
だって。
○○「僕も。和のことが好き。」
○○「これからも、ずっと和のそばにいさせてくれる?」
和「…うん!もちろん!」
和が勢いよく抱き着いてくる。
僕はしっかりとそれを受け止め、抱きしめ返した。
和「もう絶対に離さないっ!」
○○「フフッ…望むところだよ、僕だってずっと離さないから。」
僕たちはしばらく見つめあい。
そのまま。
舞台上の2つの影が、きれいに一つに重なった。
「頑張り屋さんな君は」 終幕