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「星は微かに光り」 第11話

バイオレットグランプリ決勝戦、なぜか和の独り狙いをしてしまった○○たちだったが、それは科学の教師、クレシマの陰謀だった。
クレシマは「マジカロイド」と呼ばれるアンドロイドを使ってバイオレット魔法学園を襲撃を始める。
○○たちがクレシマへの怒りを爆発させる中、召喚魔方陣から現れたのは、巨大なロボットだった。

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○○「何なんだこいつは!!」

クレシマ『ハッハッハッ!!これこそが私の最強にして最高の傑作、究極のマジカロイド!その名も、「マジカロイド・アルティメット」!!』

その声が、目の前の巨大ロボットのどこかにあるスピーカーから聞こえる。

史緒里「マジカロイド・アルティメット…!」

さくら「和ちゃんを返して!」

クレシマ『それはできません。彼女はこの機体の動力部にて、「燃料」としてその魔力を献上してくれているのですから。」

〇〇「ふざけるな!井上さんを…和を…!返せぇっ!!《武装・紅身》!!』

〇〇は赤い鎧を纏うと、そのまま飛び上がり、アルティメットの頭部まで来る。

〇〇「ぜぇぇやぁっ!!」

〇〇が赤い魔力を纏わせた拳を打ち込むが、アルティメットはびくともしない。

クレシマ『痒い。』

ハエ叩きのようだった。

アルティメットが手を振り下ろし、それが〇〇に当たると、〇〇は高速で地面に叩きつけられた。

あまりの強さに土煙が舞う。

史緒里「くっ!」

史緒里が手を振りかざす。

すると、一瞬でアルティメットの全体が凍結する。

さくら「流石久保さん!これなら…!」

クレシマ『ふっふっふっ…効きませんネェッ!!」

氷が、ヒビ割れる。

アルティメットが体を動かすと、たちまち氷は粉砕した。

史緒里「そんな…!」

クレシマ『踏み潰して差し上げましょおおっ!』

史緒里「はっ…!」

史緒里の頭上には、アルティメットの脚。

遥香「危ない!」

遥香が史緒里の元に走る。

そして、アルティメットの足が振り下ろされ、土煙が上がる。

更に、風圧が周囲に襲いかかる。

美月「うっ…!史緒里!遥香ちゃん!」

遥香「大丈夫!無事です!」

史緒里「なんて馬鹿力…。」

さくら「あなたはマジカロイド達を使って、何が目的なんですか!!」

クレシマ『この学校を破壊することです!白石麻衣が出張でいない今こそが好機!私がマジカロイドやアルティメットでこのバイオレット魔法学園を更地にし、絶望した白石麻衣の顔をほくそ笑んで眺めてやるのだ!』

さくら「外道な…!」

クレシマ『そしてマジカロイドは学校を一つ簡単に消し飛ばした兵器として世界中で売れまくる!私が魔法軍事ビジネスのトップに立つのだ!!』

史緒里「なんてやつなの…。」

そう呟いた史緒里の後ろから、何かが横を通過した。

○○「うおおおおおおおっ!!」

史緒里「○○君!むやみに突っ込まないで!」

○○「お前だけは絶対に許さない!」

クレシマ『愚かな…。』

アルティメットが拳骨を振り下ろす。

○○「《武装・蒼杖》!」

○○は赤い鎧から青い鎧に瞬時に変化し、棒状の武器を装備する。

そして、アルティメットの拳の上に飛び乗った。

クレシマ『跳躍力と瞬発力を上げる鎧ですか…。』

そのままアルティメットの腕を駆け上がっていく。

肩まで行くとまた飛び上がり、棒状の武器を構える。

クレシマ『よいのですか?うかつに攻撃して。井上さんがどこにいるかもわからないのに。』

その言葉に○○の手が止まる。

クレシマ『やたら攻撃すれば、彼女を巻き込むだけですよ?』

○○「くっ…!」

クレシマ『隙あり!』

アルティメットが裏拳で○○を弾き飛ばす。

○○はまたも吹っ飛ばされ、今度は闘技場の壁に激突する。

○○「ぐはっ!?」

クレシマ『やれやれ、君は目障りですねぇ…。そうだ。冨里君、君にはプレゼントを差し上げましょう!』

〇〇「…?」

〇〇が起き上がると、その周りに四つの小さな魔法陣が展開される。

そしてそこから現れたのは…マジカロイド。

しかもそれぞれが赤、青、緑、紫の鎧を纏っている。

〇〇「まさかコイツらは…!」

クレシマ『ええ!そのまさかです!あなたの魔法をコピーさせました!自分が4人、果たしてどれだけ持つでしょうかねぇ…?』

〇〇「くっ…!」



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美月「せめて和ちゃんの居場所がわかれば…!」

さくら「ダメです、あの巨大ロボの全身が和ちゃんの魔力で充満していて、居どころが特定できません!」

美月「校内の避難状況は!?」

史緒里「ダメ。モニターを見る限りだけど、みんなパニクってるし、四つある門それぞれに向かってることで戦力が分散してる…。怪我人も多くて避難も遅れてる…。これじゃ…。」

空中に浮かぶ、クレシマが設置し放置されたモニターを見ながら史緒里がつぶやく。

バイオレット魔法学園は、その広さゆえに、東西南北、それぞれに一つずつ校門が存在する。

現在、その四つの門に向かってそれぞれに人が分散している状態だった。

しかも分散しているがゆえに、校内に大量発生しているマジカロイドに苦戦を強いられていた。

美月「せめて全ての教師と生徒が一塊になれれば…!」

『東門だーーーーー!!!!』

美月「!?」

さくら「何!?」

遥香「この声は…!」


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《本校舎・屋上》

レイ「こちら本校舎屋上!清宮レイ!全員!東門に向かってください!!!」

風が吹く屋上。全ての惨状が見渡せる屋上に、レイはいた。

マイクを片手に、校内全てのスピーカーから声を響かせる。

レイ「東門方面の方がマジカロイドの数も少なく、生徒もそれなりに集中しています!西、北、南門の生徒たちは、東門方面に急いでください!屋上から見るに、そちらの門に行ってもロボット達の関門は突破できません!」

レイは続ける。

レイ「教師や戦闘が可能な生徒の皆さんは、怪我人をサポートしながら東門に向かってください!繰り返します……!!」


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クレシマ「余計なことを!!マジカロイド達に命ずる!屋上にいるクソガキを殺せぇっ!!」



屋上に、マジカロイド達が向かう。

屋上に続く扉を開けたその時だった。

一体のマジカロイドが、突如、スパッという音と共に真っ二つになった。

そのまま爆散する。

そこでマジカロイド達の前に立ちはだかったのは…。

あやめ「今私の親友が大事なお話中なの。邪魔はさせない。どうしても行きたければ私を倒して行きなさい。」


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生徒「行けっていったって…。」

生徒「魔力も体力もない…。これじゃあ…。」

その時、キラキラとした光が空から降ってくる。

生徒「あれ…?なんか…。」

生徒「魔力が…回復していく…。」


光の雨は、校内全体に振っていた。

美月「何、この光…。」

遥香「魔力が…体力が…。」

史緒里「力が…みなぎっていく…。」


その光の雨は、レイから発せられていた。

レイ『私の魔法《エール》は、怪我こそ治せないけど、魔力や体力、気力を回復させ、力を上昇させる、いわばバフの魔法!それを範囲を校内全体にして散布しています!』

さくら「レイちゃん…!そんなことしたらあなたの魔力が…!」

レイ『みんなを助けるためなら、これくらい…何でもない!!!』

さくら「レイちゃん…。」

レイ「ロボット達の攻略法は、コピーされる前に一撃で倒すことです!みんなでこの事態を乗り切りましょう!!」



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《学園内・中庭》

ピピピッ!

生徒A「うわぁぁぁ!!」

生徒B「やばい、ロボット達がすぐそこまで!」

生徒C「助けて!誰か!」

生徒達数人に、マジカロイドの大群が迫っていた。

??「《アームズオン!ウォーター!》

その声と共にどこからか強い勢いの水が放射され、マジカロイドに直撃、大破する。

??「早よ逃げや。ここはうちに任せとき。」

生徒A「あ、あぁ、ありがとう!」

??「どういたしまして〜。」

少女は逃げゆく生徒達に手を振ると、マジカロイドに向き直る。 

??「さて。《アームズオン》!」

少女がそう宣言すると、彼女の腕や足に、どこからともなく現れた装備品が装着されていく。

??「《チェーンソー!ランチャー!》

そして、彼女の腕にはチェーンソー、足にはランチャーが装備された。

??「いっくで〜!はぁっ!」

少女がランチャーが装備された足をドンっと踏み鳴らすと、ランチャーからミサイルが発射される。

それらがロボットの大群に当たり爆散する。

少女は足のランチャーを武装解除し消滅させると、今度は腕についたチェーンソーで斬りかかった。

??「はぁっ!はぁっ!やーーーっ!」

バチバチバチッ!

火花を散らしながら、次々とマジカロイドは機能停止、もしくは爆発していった。

??「いっちょあがり!やで!」




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また別の、校内某所。

ここでもまた、マジカロイドと戦う少女がいた。

少女はエレキギターを振り回していた。

??「フー!いやっほー!い〜いぇい!」

いや、ただのギターではなかった。

ギターの側面が鋭利な刃物のような形状になっており、そこを当ててダメージを与えていた。

要領としては大きな斧を振り回しているかのようだ。

そんな少女の元にマジカロイドたちが集まる。

??「えーいっぱいきた!じゃあ一気に片付けちゃおう!」

少女はエレキギターを構え直し、よく見る楽器の構え方になる。

ギュイィィィン!!

少女はギターを一度勢いよく鳴らした。

そしてギターを地面に突き立てた。

側面の刃の部分が突き刺さる。

少女「勝利のメロディーいっくよー!《ロックサンダー》!!」

その状態で今度はギターで演奏をし始める。

やがて周囲には音の振動の波が発生する。

??「フィニーッシュ!!」

少女が最後に強くギターの弦を弾くと、空気の振動波が電気をまとった。

その電撃を喰らったマジカロイド達はショートを起こし、一斉に大爆発した。

??「いぇーい!!フー!!」



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また別の、校内某所。

生徒たちの集団が、マジカロイドの集団から逃げながら避難をしている真っ最中だった。

生徒「みんなこっちへ!落ち着いて避難して!」

その中で、生徒たちの流れに逆行し、生徒たちをかき分けてマジカロイドの方へ歩く生徒がいた。

生徒「お、おい君!そっちは危険だ!」

避難誘導をしていた生徒がその生徒を見ると。

生徒「あ、あれ…?」

すぐそこまで迫っていたはずのマジカロイドたちが、きれいさっぱり、いなくなっていた。

生徒「君がやったのか…?君は一体…?」

??「………。」

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高山「《ライティングマジック!”STONE”!”FIRE”!》

宙に浮かんだSTONEの文字が本物の石に、FIREの文字が火となりマジカロイドに襲いかかる。

松村「《大きなリンゴの木の下で》!」

地中から大きなリンゴの木が生え、マジカロイド達を飲み込む。リンゴの木下にいる形になったマジカロイド達に、リンゴの雨が降る。普通のリンゴではないのだろうそれは、マジカロイド達にダメージを与え、やがて爆発した。

高山「さぁみんなこっちへ!」

松村「焦らんとゆっくりでいいから、急ぎや!」

生徒「ありがとうございます!高山先生!松村先生!」



レイ「最後に!教員の皆さんや生徒達は避難の手助けで精一杯です、闘技場の近くにもたくさんのロボットがいます。だから!!」



レイ「クレシマとそのデカいロボを!」


レイ「この学園の未来をあなた達に託します!」


レイ「お願いします!この学園の最強の…」


レイ「魔法使い達よ!!」




〇〇「…ああ!!」




「星は微かに光り」

第11話 終

続く。

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