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「星は微かに光り」 第19話

闇魔導組織セブンス・シンの討伐を依頼された〇〇達。
ところが、出撃しようとした〇〇達の事を、作戦を予め知っていたセブンス・シンが襲撃。
更に、セブンス・シンと共にいたのは、行方不明になっていたはずの3年生、梅澤美波だった。

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美月「うめ…何でそいつらと一緒にいるの…?」

美波「…。」

史緒里「白石さんも私たちもずっと心配してたんだよ!?」

美波「…。」

蓮加「何とか言いなよ!うめ!」

美波「…。」



〇〇「あれが…梅澤美波…?」

咲月「行方不明になっていたはずの?」

桜「でも、何でセブンス・シンの奴らと一緒にいるの…?」

茉央「しかもなんか、様子が変やで…。」




強欲「フハハハハッ!!こやつは我々の仲間になったのだ。なぁ、いいとこのお嬢ちゃん?」

美波「……。」

蓮加「…そんなわけが!」

史緒里「違うよね?うめ!」

美月「お前ら…うめに…何をしたぁぁっ!!」

美月が岩石を持ち上げながらセブンス・シンの元に駆け出していく。

強欲「やれ。」

傲慢「あいよ。」

その瞬間、傲慢の姿が消える。

一瞬のうちに美月の真横に出現し、美月を蹴り飛ばした。

美月「ぐはっ!?」

美月(速い…!まさか、魔法…!?)

傲慢「俺の魔法は《高速移動》…仕事は速い方がいい。」



〇〇「おい!なんかやばくないか!?」

和「私たちも加勢しよう!」

咲月「了解!」

そうして駆け出した一年生たち。

その前に、憤怒、嫉妬が立ちはだかった。

憤怒「腹立たしい!お前たち如きの強さで俺たちに勝とうなど!腹立たしいにも程がある!」

憤怒の腕が真っ赤に染まり、煙が出始める。

憤怒「魔愚魔マグマ!!」

憤怒の腕からマグマが吹き出し、悪魔のような形を形どって〇〇たちに襲いかかる。

〇〇「なんだあれ!?溶岩!?」

憤怒「俺の魔法は《マグマ》だ!煮えたぎるこの怒り!お前たちで発散してくれるわぁ!」

茉央「いけない!《アームズオン!シールド!》

茉央の左腕が大きな盾に変わり、そこから防御エネルギーが展開され、マグマを弾き返す。

和「ありがとう…茉央ちゃん…!」

茉央「まおの魔法は《武器》!自分の手足を様々な道具に変えて戦うことができるんや!」

桜「さすが四天王…!」

そんな茉央の盾の後ろから〇〇が飛び出す。

〇〇「《武装!紅身!》

○○は赤い鎧をまとった。

飛び上がった○○は、寝ている怠惰の姿が目に入る。

怠惰「💤…。」

○○「お前!何寝てるんだよ!!?」

○○が怠惰に攻撃を仕掛ける。

嫉妬「でへへ〜!《ベタベタウィップ》!!」

その瞬間、嫉妬の体からドロドロとしたゼリー状の液体が噴き出し、まるで手足のように動いたかと思うと〇〇に絡みついた。

〇〇「何!?うおああっ!?」

嫉妬「怠惰は起こすと怖いんだ~。手を出すなよ~。でへへ~。」

〇〇はそのまま振り回されてしまう。

○○「何だこれ!べたべたしてっ!?離れない!」

嫉妬「でへへ〜!おでの魔法は《粘液》!全部ベタベタにしちゃうもんね〜!ねぇ、嫉妬した?嫉妬した?」

和「〇〇!今助けるからね!《ヒートナックル》!」

和の拳が炎を纏う。

嫉妬「お?それはやめておいた方がいいど?」

和「何ですって!?」

嫉妬「おでの粘液は可燃性だ。」

嫉妬は和の炎の拳を避けた。

からぶった和の拳はそのまま地面に散らかっていた粘液に着火し、それを辿って引火し、〇〇が炎に包まれてしまう。

〇〇「うわああああ!!」

和「〇〇!ごめん!」

咲月「《ウォータースプラッシュ》!」

咲月の手から水が発射され、〇〇に付いた火を消火する。

〇〇「あ、ありがとう咲月…!」

咲月「へへ、私の魔法は《水》!たゆたう水の蒼い力!」

嫉妬「だぁ〜!おでの邪魔をしたなぁ!許さないどぉ!」

嫉妬は粘液を噴射して〇〇達に襲いかかる。

それに対して咲月は両手をカメハメ波のように構えると、大量の水を発射して対抗する。

嫉妬「ぶぁ~!おでの粘液が~!」

咲月「うぐぐぐ!」

咲月はそのまま方向を変え、憤怒の方にも水を向ける。

憤怒「ぬぐおおおおお!!俺のマグマが!冷えて固まっていく!」


和「すごい!さっちゃん!対抗できてる!」

咲月「私、戦えてる…!これなら…!」

傲慢「お前、邪魔だな。」

一瞬だった。

一瞬のうちに咲月の一寸後ろには傲慢がいた。


そして咲月が振り向く暇もなく、傲慢がナイフを一振りした。


咲月の首が、飛んだ。

文字通り飛んだのだ。


傲慢のナイフによって首が切断され、宙を舞った。

ゴロゴロと咲月の首が転がり、首を失った胴体はその場にドサッと倒れた。


桜「えっ…?えっ…?」

茉央「キャーーーーーッ!!!」

アルノ「…!」

〇〇「咲月!!!!!」


美月「そんな!咲月ちゃん!」

遥香「咲月ちゃんが…死んだ…!?」


傲慢「まずは1人。」

その言葉を聞いた瞬間、〇〇はキッと傲慢を睨んだ。

〇〇「貴様ァァァッ!!よくも咲月をぉぉぉっ!!」

○○が青い鎧、《蒼杖》をまとい、傲慢に殴り掛かる。

だが、それは空振りに終わってしまう。

傲慢「おお、少し速くなったな!速いことはいいことだ!だが、まだ遅い!」

そう喋っている傲慢は空中にいた。

○○は《蒼杖》の跳躍力を利用し、傲慢のもとまで跳躍しようとする。


強欲「梅澤美波。」

美波「…。」コク


美波が手をかざす。

するとその瞬間、


ズンッ!!


○○「!?」

跳躍した○○は突如地面にたたきつけられた。

○○「うああっ!?」

それだけではなかった。

和「うぅっ…!?」

茉央「何や…これ…!」ドサッ

さくら「急に体が、重く…!?」ドッ

遥香「立っていられない…!?」ガクッ

○○たち一年生と二年生がその場にうずくまる。


美月「!?」

史緒里「やめて!うめ!」

蓮加「何をしているの!?」


○○は立ち上がろうとするが、身体が重くて立ち上がれない。

そして、○○には手をかざす美波の姿が視界に入る。

○○「まさか…これは梅澤さんの魔法なのか…!」

美月「そう…これが美波の魔法……」


美月「《重力》!!」




和「重力…!?」

遥香「そんな魔法が…!?」

あやめ「強すぎる…!」

○○「反則だろそんなの…!」


史緒里「今すぐ解除して!うめ!」

美波「…。」

美波は黙ったまま反応がない。手もかざしたまま動かない。

美月「あんたね…いい加減にしなさいよ!!」

美月が土のエネルギーを手にまとわせて美波に迫る。

蓮加「美月!」

美波「…!」

美波はかざした手を美月たちの方に向ける。

美月、そして史緒里と蓮加は重力の圧を受け、その場に膝をついてしまった。

蓮加「くっ…美波…!」

美月「ほんとにどうしちゃったのよ…!」

史緒里「ぐっ…うああああああっ!」

史緒里は大声をあげながら、その場に重々しく立ち上がった。

史緒里「美波を止める!《アイスグラディウス》!!」

史緒里は周辺に氷の剣を展開し、美波に向けて飛ばす。

美波「!」

強欲「《ダークモデラート》!!」

強欲が杖を振ると、黒いエネルギーが史緒里の氷の剣を砕いた。

史緒里「何!?」

強欲「ハエどもが。いい加減飽きたわ。消えよ。」

強欲が杖を○○たちに向ける。

杖には黒いエネルギーがたまり始まる。

○○たちは、美波の重力魔法によって、その場から動けない。

あやめ「何なの…!?この魔力量は…!?」

蓮加「この魔法は…まずい…!」

茉央「あかん…体が動かん…避けれへん…!」


強欲「《ダークシンフォニア》!!」


杖から巨大な黒いエネルギーの塊が放たれる。


○○「くそぉっ…!!」


誰もが死を覚悟し、目を閉じた。

しかし、○○たちに衝撃が届くことはなかった。

何が起こったのかわからない○○たちは、恐る恐る目を開ける。

そこに先ほどの黒いエネルギーの塊はなかった。

その代わり、○○たちの間に立っていたのは…。


アルノ「…。」


中西アルノだった。


○○「中西…さん…?」

和「中西さんが、守ってくれたの…?」


アルノはちらりと○○たちを見る。

アルノ「…大丈夫?」

○○「…中西さん、君の魔法は一体…。」





アルノ「私の魔法は………」






アルノ「《闇》。」





「星は微かに光り」 第19話 終

続く

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