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「星は微かに光り」 第24話
〇〇は星の魔法の力を使い、見事セブンス・シンの1人、傲慢を倒すことに成功した。
一方、和、咲月、蓮加、あやめの元には、同じくセブンス・シンの1人、暴食が現れた。
暴食の奇行に戦慄する和達だったが、その最中、咲月が暴食に吸収されてしまった。
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和「さっちゃん!!」
蓮加「これがあいつの魔法だっていうの…!?」
暴食「私の魔法は《爆食》!この世のありとあらゆるものを食い尽くし、捕食した物の能力を使うことができる魔法…だよぉっ!!」
言い終わるのと同時に、暴食は手に巨大な水の塊を発生させ、それを和達に投げつけた。
和「!!」
和達は間一髪それを避ける。
暴食「おお、これがこいつの魔力か…。感じるねぇ…水のように柔軟で自由な形の魔力…面白ぇなぁ!!」
和「さっちゃんを…返しなさい!!」
和は両手に炎を宿し、駆け出して暴食に向かって突っ込む。
和「《ヒートナックル》!!」
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暴食「ははっ!」
暴食は手に水を宿し和の拳を受け止める。
たちまち和の拳の炎はシュウウゥ…と音を立てて小さくなっていく。
それを見た和は手を振り払い飛び退く。
暴食「お前の魔法は炎か!!だったら私の水は相性が悪いなぁ!これは正解のやつを食うことができたみたいだなぁ!!」
和「くっ…!」
暴食「そうだ、アタシからお前らに良い情報を教えてやろう。アタシのこの魔法の唯一の弱点だ。」
あやめ「何ですって…?」
暴食「アタシは捕食した獲物からコピーした魔法を永久的に使えるわけじゃないんだ。何ならかなり短期的ですぐに使えなくなる。何でかわかるか?」
蓮加「…?」
暴食「30分後には消化が始まるからさぁ!完全に消化が終わった時、そいつはアタシの中で跡形もなくなり、同時にその魔法も使えなくなる!」
和「!!」
あやめ「じゃあ…!」
暴食「そう、お前達のお仲間も30分後には消化される。仲間を救いたければ30分以内にアタシを倒す他ない!できるものならだけどなぁ!!」
暴食は高笑いする。
和「さっちゃん…!」
蓮加「和ちゃん!あやめちゃん!絶対に咲月ちゃんを救い出すよ!!」
あやめ「はい!」
和「…はい!」
蓮加「《ゲーミングスーツ》…!」
蓮加が唱えると、蓮加の体をたちまち光の粒子群が囲む。
よく見るとそれらは細かな数字の羅列でできており、蓮加の体がその粒子群に囲まれていく様子は、まるでデータのインストールが行われているかのようだった。
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やがてそれらが晴れた時、蓮加はスポーツウェアのようなデザインを基調とし、腕や足に装甲のついた装備を纏っていた。
蓮加「《アクション》!!」
和「これが蓮加さんの魔法!?」
蓮加「私の魔法、《ゲーミングスーツ》は、さまざまなゲームそのものを装備して戦う魔法!戦いはゲーム!私が攻略してやる!」
蓮加が手のひらを空中に伸ばすと、周囲にレンガのブロックが大量に生成された。
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蓮加はまるでバネのようなジャンプ力でそのレンガに飛び乗って行く。
そしてその最中、レンガの一個をパンチで破壊した。
するとそのレンガの中からブーメランが出てきた。
蓮加「アイテムゲット!ブーメラン!!」
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蓮加はブーメランを暴食に向かって投げる。
しかし、暴食はそれを軽々と避けてしまった。
暴食はブーメランから蓮加に視線を戻すと、蓮加はすでに暴食の目の前にいた。
空中のレンガブロックから飛び降りていたのだ。
蓮加は暴食を蹴り飛ばすが、暴食は直前に腕をクロスして防御の姿勢を取っていた。
暴食「ざんねぇん!」
その時、暴食が避けたブーメランがレンガブロックを破壊。中から火の玉が出てきた。
蓮加「アイテムゲット!ファイヤーボール!」
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火の玉は暴食に向かって飛んでいき、当たって爆発した。
あやめ「すごい…。」
和「…!」
暴食は上半身が煙に包まれていたが、それを水の魔法で振り払う。
暴食「やるじゃん。」
蓮加「効いてない…!?」
和「頑丈な…。」
暴食「今度はこっちから行こうかねえ!!」
暴食は手のひらから人より大きな水の塊をあやめに向けて放つ。
その水はやがてあやめを飲み込み、巨大な水の球の中にあやめは閉じ込められた。
呼吸ができず、ブクブクと泡が溢れる。
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和「あやめさん!!」
蓮加「あやめちゃん!!」
暴食「おお!思いつきでやってみたが、案外できるもんだな!!」
あやめは少しの間苦しそうにしていたが、目を見開くと、一度小さくうずくまる。
あやめ(《凝縮糸•拡散》!!)
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あやめが体を広げると、水の牢獄はスパスパと小さく細切れになり、ただの水となって地に落ちた。
あやめ「げほっ!ごほっ!」
解放されたあやめは激しく咳き込む。
暴食「あん?こいつも妙な技を使うなぁ。」
和「何…今の!?」
あやめ「私の魔法は《糸》!自由で細く繊細な糸は、集まればあらゆるものを編み出す!!」
和「糸…!」
蓮加「ふっ…さすが今回の作戦に選抜されるだけはあるね!」
あやめ「はい!」
暴食「めんどくせぇ…だが、やっと使い慣れてきたぜぇ!!」
暴食は手から水を放出させると、それらを和たちに向けて、まるでホースで遊ぶ子供のように振り回し始めた。
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和「うわっ!?」
あやめ「っ…!?」
和たちはそれを何とか避けようと動くが、法則なく出鱈目に動くそれらを避けきれず、とうとう吹っ飛ばされてしまう。
吹っ飛ばされた3人は全員木や岩に叩きつけられる。
暴食「アッハハハハハハ!!」
和「くっ…。」
頭髪や身体中から水滴を垂らしながらうずくまる和。
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暴食「いいねぇその顔!今まで何人ものやつらに同じような条件で勝負を仕掛けた!
仲間を助けたければアタシを倒せってな!
そして全員30分以内には倒せず、人質になった仲間はアタシの中で消化されて溶けた!
その時のやつらの絶望の顔と言ったらもう!アッハハハハハハ!!」
暴食は額を抑えてゲラゲラと笑う。
和「ゲス野郎が…!!」
暴食「あぁ?ゲスで結構!最高の褒め言葉だよお!!」
暴食は水のムチを生成すると、それで和をめったうちにした。
和「ぐあっ!あぁっ!!」
あやめ「和ちゃん!!」
蓮加「やめなさい…やめろぉっ!!」
蓮加は気合いで立ち上がり、和の元へ向かう。
蓮加「《ゲーミングスーツ》!!」
蓮加は走り出しながら装備を変える。
蓮加の体がまたデータ状に光り、装備が変わる。
光が収まると、蓮加の体は鎧を纏っており、手には剣を持っていた。
蓮加「《クエスト》!!」
蓮加が剣に魔力を込めると、剣が氷のエネルギーを纏う。
蓮加「《アイシングソード》!」
蓮加が氷の剣で水のムチを弾くと、水が凍り砕ける。
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暴食「おっと…。」
蓮加「和ちゃん、大丈夫!?」
和「はい、ありがとうございます…。」
蓮加「あいつ、絶対倒す!」
和「はい、何としてもさっちゃんを助けなきゃ!」
和(私の推測通りなら…まだ勝機はある…!)
和は暴食を見つめながら立ち上がる。
和「あやめさん!あいつの動きを10秒だけ止められますか!?」
あやめ「え!?でもあいつは…!」
和「私の推測が合ってればあいつは…!」
和はあやめに近づき耳打ちをする。
あやめ「そうか!それなら私の魔法も!」
蓮加「ちょっと!私だけ除け者にしないでよ!」
和「蓮加さんはあいつに隙を作ってくれますか?あやめさんが動きを止められるように!」
蓮加「先輩を使いっ走りにするなんて随分だね。いいじゃん。乗ってあげる。」
暴食「アタシの動きを止めるぅ?無理無理ぃ!大人しくお前たちも食われろ!!」
暴食が大きく息を吸う。
暴食「《ロックヴォミット》!!」
暴食がまた大量の石を吐き出す。
和達一同はそれらを避けると一斉に動き出す。
蓮加「《ゲーミングスーツ》!!」
蓮加の体は再びデータ状に輝く。
光が収まると、蓮加の体はストールと軽めの武装をし、手にはハンドガンを持った、現代風兵士のような装備になっていた。
蓮加「《シューティング》!!」
蓮加は石を避けながら、手のハンドガンから弾を撃つ。
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暴食「っ!?危ねえな!撃ってくんじゃねえよ!!」
暴食は水の膜を張るが、弾は水を突き抜けて暴食に襲いかかる。
蓮加「水で弾丸が弾けるわけないでしょ!」
暴食「くそっ!役立たずの魔法が!」
暴食は水をそのまま石に置き換え、やっとちゃんとした盾を張る。
和(やっぱり…!あいつは…!
取り込んだ魔法を、オリジナルほど上手くは使いこなせてない!!)
あやめ「《縛り糸》!!」
あやめが糸の束を暴食に放ち、糸束は暴食の手を拘束する。
暴食「!?」
あやめ「本当だ。和ちゃんのいう通り。《リキッド》の魔法ですり抜けられて逃げられるかと思ったけど、あなた、《リキッド》は使えないわね?」
暴食「リキッド…!?なんだそりゃ…!?あぁ、鬱陶しいなぁ!」
暴食が拘束された腕を強く引くと、糸を引いていたあやめの体も引っ張られる。
あやめ「あっ…!?」
あやめが体制を崩した、その時。
ドンッ!!
暴食の腹の一部が突如突き出した。
暴食「うぐおっ…!?」
あやめ「何!?」
暴食「こいつ…食われてなお意識があるのか…!」
和「さっちゃんだ…さっちゃんがあいつの中で抵抗してるんだ…!」
暴食は腹を抑えながらよろめく。
ドン!ドン!ドンドンドン!
暴食「やめろ…!暴れるんじゃねえ…!!」
そして、その一瞬のうちに、暴食の懐には和が滑り込んでいた。
暴食「っ!?てめぇ…!!」
和「私はさっちゃんと何回も勝負してきた!表面だけトレースしたあなたに、私は、私たちは負けない!!」
和は両手に炎を纏い、暴食の鳩尾に拳を撃ち込んだ。
暴食「ぐほぁっ!?」
和「《ヒートナックル…連打ぁっ!!》」
和は燃える両の拳を高速で何度も暴食の腹部に撃ち込んでいく。
暴食「ぐぉっ!ぐはっ!?うおおっ!?」
和「吐け吐け吐け吐け吐け吐け吐け吐け吐けぇぇぇっ!!」
暴食「う、うぶっ…!?ぐほあぁぁっ!?」
ゴポッという音と共に、暴食の口から水の塊が吐き出される。
その水の塊は数秒のうちに咲月の形を型取った。
咲月「げほっ…!はぁ…!出られた…!胃酸で死ぬかと思った…!」
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和「下から出てこなくてよかったね。」
咲月「なぎ…。」
和「いける?」
咲月「もちろん!」
和は咲月に手を差し伸べ、咲月はその手をがっしりと掴んで立ち上がった。
暴食「てめぇら!このアタシを怒らせたなぁぁぁぁ!!」
暴食が鼻息を荒くしながら和達に怒りの目を向ける。
暴食は、岩、土、木、そして大きく息を吸って空気と風を、あたり構わず食い尽くし始めた。
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蓮加「何あれ、人間というより、ケダモノ…!」
暴食「くらいやがれ!!《ミクスドヴォミット》!!」
暴食が口を大きく膨らませる。
また食べた属性の物質を吐き出すつもりのようだ。
あやめ「《蜘蛛の巣の盾》!!」
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あやめが蜘蛛の巣状に糸を張り、それらに暴食が吐き出した岩や木は弾かれたり、スパッと切れていく。
暴食「は!?何でだよ!?糸だろ!?」
あやめ「糸の強度、なめないでよね!私の糸は水のように柔軟で、鉄のような高度を誇る!」
あやめが手をぐっと引くと、蜘蛛の巣状の糸に穴ができる。
あやめ「行って!和ちゃん!咲月ちゃん!」
その穴を和と咲月が走り抜け、暴食の元に迫る。
暴食「こうなったら、またお前ら2人とも食い尽くしてやる!!」
暴食が口を開けると、その口が人が飲み込めるほど肥大化する。
蓮加「させない!」
蓮加の手に持っていたハンドガンの形状が変化し、ライフルに変わった。
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蓮加は一瞬のうちに構え、暴食に狙いを定める。
蓮加「咲月ちゃんがいないならこれが撃てる!いっけぇっ!!」
蓮加が弾を放つと、その弾は人より大きく開いた暴食の口の中に入る。
ドォン!!
その瞬間、弾丸は大きな爆発を起こした。
暴食「ぐぼぉっ!!」
暴食は口から煙を吐き出して、人より大きな口は標準サイズに戻っていく。
蓮加「魔力で爆薬と火の魔法を濃縮させた特殊な弾丸よ!お味はどうかしら!」
暴食はそれらに返事をする余裕もない。
蓮加「今よ!!和ちゃん!咲月ちゃん!」
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和「ありがとう!あやめさん!蓮加さん!!」
和は右手に炎の魔力を、咲月は左手に水の魔力を纏う。
咲月「あなたに問題を出してあげる!右は大火事、左は洪水、これなーんだ!?」
暴食「左右!?上と下じゃなくてか!?💦」
和「残念!時間切れ!正解を見せてあげる!」
和と咲月は同時に拳を突き出した。
和「《炎と!!》」
咲月「《水の!!》」
和・咲月「《デュアルドライブ!!》」
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暴食「うあああああああっ!!」
炎と水、2つのエネルギーが螺旋状に混ざり、暴食に襲いかかった。
空中に吹っ飛ばされ落下した暴食は、ピクリとも動かなかった。
咲月「はぁ…はぁ…!」
和「はぁっ…!」
咲月「和!」✋
和「ん?…ふふっ。」✋
パチン🙌
2人はにこやかにハイタッチを交わした。
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和、咲月、あやめ、蓮加VS暴食
勝者 和、咲月、あやめ、蓮加。
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瑛紗「はぁ…!はぁ…!」
瑛紗は屋敷を出てツミの森の中を走っていた。
瑛紗「みんなとの距離が近ければ、テレパシーも強く通じるようになるはず…!伝えないと…!みんなに!」
瑛紗「《カルマ》の正体を!!」
そんな瑛紗の走る姿を見つけた者が一人。
嫉妬「ん〜?あれは、うちの子分のやつじゃねえなぁ?てことは…奴らの仲間だぁ…。でへへ…。」
「星は微かに光り」 第24話 終
続く。