『フリースタイルダンジョン』5年の放送に幕
最終回を迎えた『フリースタイルダンジョン』
火曜日の深夜、テレビ朝日で放送されていた『フリースタイルダンジョン』が、今週最終回を迎えました。約5年間放送され、私が見始めたのは3年前くらいでしょうか。たまたまつけていたテレビに、突然舞い込んできたフリースタイルバトル。
普段全くHIP HOPを聞く事はないどころか、むしろ好きではない部類の音楽です。
そんな私がフリースタイルにはハマりました。
放送終了も仕方なし
『フリースタイルダンジョン』も例に漏れず、新型コロナウイルスの影響によって、通常放送ができないでいました。なぜなら、唾が掛かるくらいの距離で面と向かってバトルします。それに、ライブハウスなどは使用できなかった為、まともに収録やバトルができず、この3ヶ月は、総集編がメインでした。今までのような放送がいつできるかの目処が立ちません。
そして、以前にも終了の危機がありました。それは、司会のUZIさんの大麻使用による逮捕です。逮捕後の放送は、映像を編集し、音声もカットして放送されていましたが、初代モンスターのサイプレス上野さんが後釜になり、モンスターも一新して2代目になって、危機を乗り切りました。しかし、今年の5月。初代モンスターにして、審査員も勤めていた、漢a.k.a. GAMIさんが大麻使用により逮捕されました。
放送復帰の目処が立たないことと、出演中の二人が大麻で逮捕という追い打ちによって、放送終了は決定的になったと言えるかもしれません。
バトルでは、大麻に関するライムをよく出てきて、コンプラに引っかかるので規制されています。HIP HOP界隈では、以前から大麻所持や使用の疑惑があります。そこに関しては、何も言えませんが、もちろん無関係の人も当然います。
バトルでは、ディスったり口が悪かったりしますが、瞬間的なアンサーやライムなど、頭の回転の速さやワードセンスなどは、目を見張るものがあります。
フリースタイルバトルとは?
フリースタイルバトルとは、ビートに乗せて、マイク一本で言葉のバトルをするので、MCバトルとも言います。
韻を踏んだりワードセンスが問われる「ライム」
リズムとビートに乗せる「フロウ」
印象に残るような印象刺さるような言葉の「パンチライン」
そ熱い情熱で臨む「バイブス」
この四つの要素で、バトルが繰り広げられます。
音楽としては、HIP HOPは好みではないし、相手をディスるのも好きではありませんが、思いつかないようなライムや印象的なパンチラインは、時に感動すら覚えます。MC同士、色んな因縁があったり、背景を知ると、込み上げるものもあったりします。
以前、「負けを受け入れた潔さは、試合に負けても勝負に勝っている」というコラムを配信したのですが、これはフリースタイルダンジョンから生まれた「創作ことわざ」です。
ダンジョンの2代目、3代目モンスターとして活躍した呂布カルマさんと、フリースタイルの到達点と言われるR指定さんの因縁対決によって、どんな感動を生み出すのか、ということについて述べています。
負けを受け入れる潔さと、自分と向き合い続けることで、負けを負けにするのではなく、「負けたからこそ」という、「せいをおかげに」したことで、呂布カルマさんは最強のモンスターとなりました。
ライムを取り入れた作曲活動
そんなMCバトルを観たことで、最近捗っている作曲では、韻を踏む歌詞がとても増えています(笑)。最近できた新曲にも、RAPパートがあったり、以前にも増して、韻を踏むことを意識するようになりました。
以前、道楽舎の仲間でもある、盟友・喜多ばぐじさんのテーマソング『喜多が来た来た』という曲も作りました。
タイトルからして、韻を踏むような、ダジャレです(笑)。実はこの歌詞の中にも、渾身のライムにしてパンチラインがあります。
「仮想通貨を溶かそうが
全ては俺のネタと化す」
喜多さんは仮想通貨を持っており、XRPが暴落した時に、「仮想通貨、溶かしちゃいました」という連絡が来たんです。その瞬間、この歌詞が生まれたんですが、私は一人、感動してました(笑)。自分で解説すると、ボケを自分で説明するようでダサいし恥ずかしいので、これ以上は言いません(笑)
親父ギャクになるかライムになるか
韻は、二つ踏むだけだったら、誰でもできるし、ダジャレと変わりません。なので、MCバトルでは、三つ以上重ねないとむしろダサい。モンスターのFORKさんは、ライム至上主義という方で、韻を7回重ねることもあります。そこまで重ねると、単純な韻でも見事なものです。
R指定さん、最高到達点と言われるだけあって複雑で長い言葉であっても、韻を踏んだりします。
一つしか韻を踏んでいなかったら、たとえ格好いいFORKさんでも、親父ギャグになってしまいます。
実はある意味、韻とダジャレって紙一重だったりするんですよね。なので、一歩間違えば、韻を踏んでも、親父ギャグにもなりかねません。大体の親父ギャクは、単純な韻であることが多いです。
ダウンタウンの松っちゃんも言っていました。
「親父ギャグになるかならへんかって、"間"やと思うんですよね」
MCバトルの場合、"間"の代わりにビートがあり、親父ギャグでもバイブスを込めたり、フロウに乗せてかませば、格好良くなるというものです。
そして、一つだけ韻を踏むのがなら親父ギャグというのなら、幾つも重ねたり、予想できないものであれば、ただの親父も格好いいライムになるわけです。
道楽という勉強法
こんな感じで、『フリースタイルダンジョン』を観たことで、特にライムを意識するようになりました。私は道楽家なので、ライムを学ぼうと思って『フリースタイルダンジョン』を観ていたわけでもないし、観ようと思ってもいませんでした。
HIP HOPは今でも好きになったわけでもないですが、好きではないものの中にも、魅力や価値を見出せば、そこから得るものがあります。そして、楽しみながら見ているだけで、結果的に学んでいたり、身についている。これぞ、道楽の真髄と言えるかもしれません。
「そんなに言うなら曲聴かせろ!」と言う方がいるかもしれませんが、いずれ発表したいと思っています。とりあえず今は、『喜多が来た来た』をお楽しみください(笑)
『フリースタイルダンジョン』が終わるのは残念ですが仕方ありません。次週からは、『フリースタイルティーチャー』という新番組が始まるそうです(笑)
むしろ、MCバトルを始めたい人は、必見ですね!